fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

組織

26

古い大企業に見られる構造的な問題

個人が持つ強みを伸ばし、弱みを補完する組織が良い組織だと言われるけれど、現実にはそういう組織は多くない。トップマネジメントが企業戦略を決定し、各部門のマネジャーが担当分野の戦術を担当し、入社して10年は一担当(プレイヤー)として動くのが当たり前となっている組織も多いと思う。

このような組織には、ひとつ大きな問題がある。それは、プレイヤーとして成果を挙げなければマネジメントの分野にいけず、マネジメントの分野で成果をあげることが出来なければトップマネジメントの分野に行けないという問題だ。

management

優秀なプログラマや優秀な営業、研究者が、優秀なマネジャーになるとは限らない。しかし未だ多くの組織では、プレイヤーとして優秀な成績を残さなければマネジメントの地位に上がることが出来ない場合も多い。

同様に、マネジメントに求められる能力とトップマネジメントに求められる能力もまた違う。これもマネジメントとして成績を残さなければ、トップマネジメントに行くことが出来ないのは(組織の可能性を120%引き出さないという点で)残念なことだ。


続きを読む »
20

国防総省での「最適組織編成プロジェクト」

組織運営に役立った本を一冊あげろと言われたら、小林惠智氏が書かれたチー ムマネジメントをあげたいと思います。今は絶版となっている本ではありますが、Amazonマーケットプレイスで1円で購入できるので、経営者や組織のマネジャー、人材開発の担当者は是非ご一読頂きたいと思います。

人材開発や、組織論に関して書かれた書籍はよく読むのですが、満足できない内容のものも多かったりします。これは、

  • 人や組織の問題は、成果を定量的に示すことが難しい。
  • また、施策を実行した時としなかった時で、成果を比較することも難しい。
  • 故に、個人の経験や価値観をもとに書かれたものになってしまいがち。

であることが原因ではないかと感じています。

根拠に心理学などをもってくるケースもありますが、書籍やセミナーでは主催者の主張を語るために都合よく曲解されて語られる場合も多いと思います。(メラビアンの法則などは、この好例と言えるような気がします。)

もちろん、個人の経験や価値観に依って書かれた本も、様々な視点を得るという意味では大変有意義なものですし、事例などが豊富に盛り込まれていれば、自社への応用を考える際に参考になることは間違いないとは思うのですが、データで示された他の分野の本に比べ、人や組織に関する本は弱いものが置いなぁ。という思いをずっと抱えていました。

----

さて、そんな思いを抱えながら本を乱読していく中で出会ったのが、このチー ムマネジメント
僕は実際にこの本を読み、部下と接する態度を改める参考にしたし、組織のメンバーを考えたり、各人の特徴を把握する際の参考にしました。

世の中的にはそこまで高い評価を得ていないようにも感じますが、少数精鋭のプロフェッショナルチームで大きなビジネスを動かすことが可能になった現在では、この本はもっと再評価されるべきではないかと思うのです。



続きを読む »
4

コンテンツビジネスで勝負する方法をちょっと考えてみた

最近、出版関係者、音楽関係者、演劇関係者と立て続けにお話する機会を頂きました。いずれも現在不況に苦しむ業種です。しかし、彼らが強力なクリエイターであることは間違いないわけです。

既存のビジネスのやり方でどうにか儲けようとしているので苦しんでいるわけですが、発想を変えてみるというのも一つの手ではないかと思うのです。相談を受けたときに大体僕が提案するやり方を、この機会にちょっとまとめてみます。

デフレの時代は、コンテンツの作り手とコンテンツの消費者を可能な限りダイレクトにつなぐことが成功の条件だと思います(僕はこれをクリエイターたちの「悪巧み」とよんでいます。)。例えばマドンナが収益源をCDの販売収入からライブにシフトさせていったのもその流れの一環ですし、日垣隆さんなど、力のある書き手が有料メールマガジン等を通じて直接収入を得る体制を作っているのもその流れのひとつです。

昨日のエントリでも伝えたかったことですが、ネットビジネスの本質は、アクセスを集め、アクセスを(何らかの形で)お金に変えることにあるわけですから、コンテンツの創り手もこの原則を理解して利用すると何かと便利なのだろうと思います。

すなわち、

   1. 良質のコンテンツを安定的に供給し、アクセスを集める。
   2. 営業部隊は設けずネットを通じて収益を得る。(アフィリエイト広告の活用など)
   3. より高品質なコンテンツをネットを通じて紹介・販売する。
(自作CDや、演劇チケット、有料メルマガ)
   4. セミナーや講演、コンサルティング、商品開発など、収入源を増やす。
   5. サイトやコンテンツを英語及び中国語で記述し、市場を国内から
国外(とくに新興市場)に広げる。


という取り組みです。続きを読む »
28

ルパン型組織でいこう!その2

個人的にチャレンジしていることとして、ルパン型組織をつくる。という取り組みがあります。

アニメのルパン三世って、子供向けにかなりカスタマイズされているけれど、原作のルパン三世は随分とハードボイルドだ。気が乗らないプロジェクトがあると、仲間は「俺は降りるぜ。」といってその盗みには二度と出てこないし、受けた依頼によっては、仲間同士敵対したりもする。不二子ちゃんに至っては、ルパンに「使えないから」という理由で、「お前とくむのはベッドの中だけと決めてるんだ。」という暴言をはかれたりしている(そんな二人の関係がアニメ版であんなに変わってしまうとは‥)。まぁ、とにかくルパンの仲間はプロフェッショナルなのだ。

ドラクエやFFに代表される国産RPGは皆レベル1でパーティをくんで、魔王を倒すまで生死をともにするわけだけど、現実世界ではこんなことはないと思うんですよね。殿様を江戸まで送り届けなきゃいけなかったら、その目的に合わせた最適なパーティをくむし、田畑を荒らす猪を退治するには、それに最適なパーティをくむ。近くに財宝が埋まっているという噂があれば、山っ気のある若者たちが、年寄りが静止するのもきかず、森に繰り出す。

そんな感じだったと思うんですよ。

----

そんなわけで、何か儲け話があって、その儲け話を達成するのに最適なメンバーを集め、儲け話を実現する。そういうプロフェッショナルたちが集まったチームを僕はルパン型組織と勝手に名付けているわけです。(参考:ルパン型組織でいこう!

続きを読む »
20

ハチの思考とハエの思考/個人のキャリア戦略を考える

生命は、地球環境を相手に、まさに「死ぬ」まで続くゲームをやっているのだ。(中略)そういう、種として対応しきれない環境変化が起こった時、種は絶滅する。

生物種の生き残りのための戦略はそれ故、「多様性」となる。

寒さに強いもの、暑さに強いもの、土に潜れるもの、空を飛べるもの。皆揃って討ち死にしないよう、いろいろな「生き残りの戦略」を試しているのだ。

そこでの鍵は「変化が起こる前から準備する」だ。環境の激変が起こってからでは間に合わない。出来ることは知れている。事前に多様性を生み出しておくこと、内包させておくことが企業にとっても「永続的成長」のための必勝法なのだろう。

僕はこの一節が好きで、ことあるごとに引用しているのだが、個人のキャリア戦略にもこの考え方は活かすことが出来る。

ワークスアプリケーションズの牧野社長( @masayukimakino )は、ベンチャー企業経営者の中でもとびきり人材採用と育成に時間とお金をかける方だが、彼は優秀な人材の定義について長年考え続け、「ロジカルシンキング」「クリエイティブシンキング」に長けた人材という結論を導き出したという。

ロジカルシンキング/クリエイティブシンキングという言葉を使うと、「横文字でわかったように語るなよ」という批判も出そうなので、より僕が好む例えを用いて説明しよう。それはハチ(蜂)の思考とハエの思考というものだ。

ハチというのはまっすぐ直線的に飛ぶ。だからこそ、目的地まで最短距離で辿りつくことが出来る。一方、ハエというのは、ランダムに飛ぶ。あっちにいったりこっちにいったり、無規則に飛び回る。故に目的地までスピーディーに辿りつくためにはハチのように飛ぶことが大事なのだが、一方で問題もある。

ハチの進行方向にあわせてコップをかぶせるとする。(図参照)

bee


ハチはまっすぐ直線的に飛ぶがゆえに、コップの片方の口は大きく開いているにも関わらず、コップから出られなくなってしまうというのだ。こういう場合、ハエは強い。無作為に飛び回るので、3方向が閉ざされていても、一方向が空いていれば、簡単に抜け出てることが出来る。

hae

続きを読む »
18

センゴクに学ぶ、組織の規律と情報統制

遅ればせながら、センゴク天正記8巻を読みました。
以下、ネタバレ含みますので、読んでない方はご注意ください。


センゴク天正記(8) (ヤングマガジンKC)センゴク天正記(8) (ヤングマガジンKC)
著者:宮下 英樹
販売元:講談社
発売日:2010-03-05
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


僕は歴史オタクまでいかないまでも、歴史好きで、フィクションが含まれる歴史モノであっても結構楽しんで読むことが出来ます。

このセンゴクという漫画は結構スゴくて、もちろん戦国時代を舞台にした漫画なので、どうしても戦いのシーンが中心になるんですが、合戦のシーンのみならず、戦国時代の経済やテクノロジーの発展の描写も細かくて、あたりまえだけど、戦国時代と言うのは戦いの巧拙だけではなくて、国全体を巻き込んだサバイバルだなぁ。と改めて感じさせてくれる点で大変素晴らしい漫画だと思います。


センゴク第8巻は、マンガのオビに、

----
「信長公記」「歴代古案」「越賀雑記」
あらゆる史料から手取川合戦を多角的に検証!!
「北徴遺文」「北越軍記」「長家家譜」
そこで何があったのか?

----

とでかでかと書かれているのですが、今回のメインテーマは、織田軍(総大将:柴田勝家)と上杉謙信の激突。上杉軍がさんざんに織田軍の打ち破った、手取川の合戦がテーマです。一番の見所は、上杉謙信のすさまじさ

岩明均の名作、雪 の峠・剣の舞にも上杉謙信は出てくるのですが、

雪の峠・剣の舞 (KCデラックス)雪の峠・剣の舞 (KCデラックス)
著者:岩明 均
販売元:講談社
発売日:2001-03-21
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

上杉謙信と言えば、当時の戦国武将にとって、カリスマだったみたいですね。

自分のことを毘沙門天の生まれ変わりだと信じていて、単騎城の間近までいって、鉄砲の弾幕に身をさらしながらゆうゆうと酒を飲みながら敵を偵察したり、と狂ったようなエピソードがわんさと出てきます。

まぁ、当時の鉄砲の射程距離と命中精度を知り尽くした上での偵察とも取れますが、やはり戦場の運を味方につけていたというのはあるのかもしれません。

戦場の運と言えば、東郷平八郎ですよね。日本海海戦の司令官に東郷は「運が良い」から選ばれたというのは有名な話ですが、(もちろん他にも国際法に詳しいとかあったのでしょうが、運はかなり多真面目に理由にされたみたいです。)実際にもの凄く強運だったらしく、日本海海戦の時に艦橋に身をさらし、周囲が砲撃される中、東郷平八郎のいる周囲だけは、最後まできれいなままだった。というのも伝説のひとつでしょう。ここらへん、艦橋に身をさらしつつ指揮をとり、その身と引換に英国を守ったネルソンに比べ、格の違いを感じさせます。(もっとも、艦砲に対する信仰と現人神とされた東郷元帥が、その後の日本軍の硬直化を招いた可能性は否めませんけどね。)

----

さて、余談が過ぎました。

続きを読む »
6

モチベーションに関して、難しく考えるのをよそう

昨日、ある企業の方から「組織のモチベーションが下がって困っている。」という話を聞いた。
長引く不況で、組織のモチベーションが低下している企業も多いだろう。

モチベーションをマネジメントするサービスを提供する企業も存在するが、あんまりモチベーションに関しては難しく考えない方がいいと思うのだ。組織の構成員のモチベーションが下がる原因の大部分は、業績の悪化に起因するものだからだ。業績の悪化が、
  1. 頑張っても業績向上に繋がらない(対組織)
  2. 業績向上に繋がらないから、個人の評価にも繋がらない(対個人)
  3. 頑張っても社会に好影響を与えない(対社会)
組織、個人、社会に対して、頑張っても報われないという徒労感から、現状に関しての閉塞感が発生しているのだ。

この関係をきっちり把握していないと、経営者は判断を誤るし、個人は行き場を見失い心が病む。モチベーションを上げれば業績向上につながると言う理屈もわからなくはないが、今の仕事のやり方を変えなければ、たぶん根本的解決にはならない。今の仕事のやり方そのものを変える方向に、モチベーションの向上が活かされるのであれば、まぁいいことだと思う。

最近、社会企業の考え方が流行っているのは、少なくとも社会に対しては好影響を与えられるような気がするからではないだろうか。また、自己啓発ブームは、自分を磨けば少なくとも自分自身は報われるという確信からのようにも感じる。(もちろん、自分を磨くことで、組織や社会に好影響を与えられるようにもなるが。)

このような時代に経営者が取り組まなければいけないのは、業績向上につながる戦略を描くこと(あるいは受け入れること)だし、何はともあれ黒字化を実現することだろう。

一方、個人が取り組まなければならないのは、業績を向上させるために考えることだ。頑張っても報われないというのは、これまでの戦略が通じ無くなっていることを示すシグナルなのだから、違うやり方を見いだせねばならない。慎重に策を練り、経営者に提案し、意見を通さねばならない。どうしても意見が通らず、それがストレスになっているのであれば、それは組織を離れる時期だろう。

組織も個人もやみくもに頑張るのではなく、頑張れば報われる環境を作る。その意識が大事だ。

もちろんこの考えは政治や行政にもあてはまる。
どうも最近はその点が理解されていないような気がするが。
29

ルパン型組織でいこう!


すごく共感できる内容のblogがあったので、今のうちにfukuiなりの感想を書いておく。

物事を深刻にしすぎる人達(切込隊長BLOG)


えっと、要点をまとめると

・何となくおもいついて、さらさらっと企画を書いてヒットさせちゃう創造的な人がいる。
・いったんヒットし、世間が騒ぎ始めると、統制屋たちが動き出す。(広報部や経営企画部、ライツ部)
・統制屋達は特定分野のプロフェッショナルたちだが、それ単体でみるとコストセンター。
・統制屋が仕事をすればするほど、組織は窮屈になる。


こんな感じかな。創造的な仕事をして、それがヒットする。ヒットしたとたんに、統制屋たちが動き始める。ヒットした商品やサービスがきちんと形になるためには、広報や権利関係もしっかりしなきゃいけないから、統制屋たちが全部悪いってわけじゃない。

でも、世の中には、顧客に求められる創造的なサービスがとても生まれにくい、ルールと仕組みでがっちり縛った企業が存在する。創造性あふれる人が、その創造の価値を世に広めるために、統制屋たちを雇ったのに、統制屋たちの役割と発言権が肥大化して、どんどん創造性を発揮する場を奪っていく。最後に残るのは、価値を生み出す人がいなくなり、ゆっくりと死んでいくだけの恐竜のような企業群だ。

続きを読む »
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

記事検索
最新コメント
推進中プロジェクトのご紹介

株式会社プロジェクトデザイン

ビジネスゲーム研修の開発・実施 人と組織のコンサルティング 株式会社プロジェクトデザイン

純国産品の精油、エッセンシャルオイルの製造・販売

はてなブックマーク
見た、読んだ、役立った
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

今すぐできる「戦略思考」の教科書
今すぐできる「戦略思考」の教科書
超一流のセールスマンが書いた「戦略の教科書」
紹介エントリ

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
営業/データをもとに大型商談を科学
紹介エントリ

となりの億万長者
となりの億万長者
資産形成/資産形成の原理原則がデータと共に
紹介エントリ

ラクをしないと成果は出ない
ラクをしないと成果は出ない
フツーの人のために書かれた仕事術
紹介エントリ

すごい会議
すごい会議
トップマネジメントが経営に行き詰まったときに
紹介エントリ

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
社長失格
転ばぬ先の杖として/成功譚以上に学ぶものは多い
紹介エントリ1

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
ネクスト・マーケット
BOPという新たなコンセプトを世に提示したバイブル
紹介エントリ

ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)
ミクロ経済学
大人になってから経済学に興味を持った人のための入門書
紹介エントリ

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか
プロフェッショナルの条件
読むたびに新たな発見がある一冊
紹介エントリ1

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する
教育×破壊的イノベーション
教育関係者に/新しい教育の形を提示
紹介エントリ1

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
貧乏はお金持ち
雇われない生き方を模索し始めたときに
紹介エントリ

信長の洞察力 秀吉の速断力―歴史に学ぶ組織管理 (学研M文庫)

  • ライブドアブログ