fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

思考法

13

意思決定、ふたつの思考

チェスや将棋など、洗練されたシンプルなゲームを遊ぶときに、

  1. 多くの選択肢を考えて、その中から最適なものを選ぶ、という人と
  2. 思いついたひとつの発想を夢中になって実行しようとする人

以上のように、思考のスタイルは大きく2種類にわかれる。深く考えず手を進める人もいるかもしれないが、それは除外する。もちろん強いのは、「多くの選択肢を考え、最適なものを選ぶ人」なのだが、残念ながら僕は「ひとつの発想を夢中になって実行する」傾向がある。

これはかつて上司に指摘されたこともあるし、僕自身も仕事がうまくいかないときは、大体「ひとつの発想」にとらわれてしまっているケースが多い。
孫正義は、最初の事業を興すときに、毎日ひとつの発明をするという取り組みを365日にわたって続け、その中で最も最適と思われたプラン ―自動翻訳機を形にし、最初の事業資金を得ることに成功した。
これなんかは、「現実社会で」多くの選択肢を挙げ、最適なものをひとつ選んだ分かりやすい例だと思う。

ただ、現実社会では必ずしも「多くの選択肢を考え、最適なものを選ぶ人」が成功するとは限らない。これは、選択肢を考えるのに時間をかけすぎて、最適なチャンスを失ってしまうからだろう。いってみれば、チェスや将棋の持ち時間がなくなってしまった状態だ。現実にはそのようなケースが非常に多い。

また、戦場に霧がかかったような状態であれば、動くことによって見晴らしの良い状況になることも少なくない。これはリスクを抑えたトライ&エラーにあたる。

だから実際には、時と場合に応じて最適と思われるだけの時間をかけることが重要。という非常につまらない答えに落ち着きがちなのだけれど、自分がどのような傾向(思考の癖)があるかを把握しておくだけでも、意思決定の精度は随分高まるのではないかと思う。

例えば僕の場合は、ひとつの発想に夢中になる傾向がある。

だから、僕みたいな人は時間にさえ余裕があるのであれば、可能な限りプランを出し、最も良いものをひとつ選ぶという活動をする努力をしてみるべきなのだろう。

シンプルなゲームは、自分の思考の傾向を客観的に掴むのに役に立つ。
現実の世界は油断していると際限なく複雑になっていく。
その現実の波から逃れるために、僕は時々ゲームをする。

23

猪突猛進な僕が「仕組み」に目覚めた、ある思考法

以前務めていた会社で、僕は非常に多くのことを学んだわけですが、その会社で行われた研修の中で、最も印象に残っているのは「システム思考」に関する研修です。

その研修を学ぶまでの僕は、どちらかというと猪突猛進型のビジネスマンで、気合と根性、そしてリーダーシップがあれば何とかなる。という現場の指揮官でした。そう、誰もが一度は見たことがある、悪い人じゃないんだけれど、迷惑な上司。という感じの人物だったんではなかろうかと思っています。

※自己弁護しておくと、こういうタイプは意外と現場では強かったりするわけです。それなりに成果も残したりするわけです。気合と根性が状況を打開する場面というのは確実に存在します。しかし、部下にも犠牲を強いるので、使いどころが難しい人物かもしれませんね。

さて、そんな僕が仕組みの重要性に本格的に目覚めたのは、このシステム思考の研修を受けてからなのではないかと思います。もっとも、仕組みの重要性を知らなかったかというと、そんな事はなくて、常日頃から、「仕組みをつくれ」「良循環構造をつくれ」「勝ちパターンが重要だ」と周囲に言いまくっていたわけですけど、具体的な方法論に落とせていなかった。

だから、口だけで終わっていたのです。
そんな恥ずかしい口だけ男だった僕を、一人前の男にしてくれたメソッドが、このシステム思考だったのです。

システム思考とは何かというと、要素と要素を因果で結び、ひとつの図に構造化する技術と、僕はとらえています。(かなりバクッとした解釈ですが、これぐらいでいいんじゃないかと思います。)


■システム思考を用いた構造化の技術

システム思考には、いくつかの簡単なルールがあります。

WS000001

  1. 要素には名詞を用い、まるで囲む(できるだけネガティブでないワードを用いる)
  2. 要素と要素を矢印でつなげる(正の影響は通常の矢印。負の場合は「-(マイナス)」をつける)

以上で終わりです。
続きを読む »
20

ハチの思考とハエの思考/個人のキャリア戦略を考える

生命は、地球環境を相手に、まさに「死ぬ」まで続くゲームをやっているのだ。(中略)そういう、種として対応しきれない環境変化が起こった時、種は絶滅する。

生物種の生き残りのための戦略はそれ故、「多様性」となる。

寒さに強いもの、暑さに強いもの、土に潜れるもの、空を飛べるもの。皆揃って討ち死にしないよう、いろいろな「生き残りの戦略」を試しているのだ。

そこでの鍵は「変化が起こる前から準備する」だ。環境の激変が起こってからでは間に合わない。出来ることは知れている。事前に多様性を生み出しておくこと、内包させておくことが企業にとっても「永続的成長」のための必勝法なのだろう。

僕はこの一節が好きで、ことあるごとに引用しているのだが、個人のキャリア戦略にもこの考え方は活かすことが出来る。

ワークスアプリケーションズの牧野社長( @masayukimakino )は、ベンチャー企業経営者の中でもとびきり人材採用と育成に時間とお金をかける方だが、彼は優秀な人材の定義について長年考え続け、「ロジカルシンキング」「クリエイティブシンキング」に長けた人材という結論を導き出したという。

ロジカルシンキング/クリエイティブシンキングという言葉を使うと、「横文字でわかったように語るなよ」という批判も出そうなので、より僕が好む例えを用いて説明しよう。それはハチ(蜂)の思考とハエの思考というものだ。

ハチというのはまっすぐ直線的に飛ぶ。だからこそ、目的地まで最短距離で辿りつくことが出来る。一方、ハエというのは、ランダムに飛ぶ。あっちにいったりこっちにいったり、無規則に飛び回る。故に目的地までスピーディーに辿りつくためにはハチのように飛ぶことが大事なのだが、一方で問題もある。

ハチの進行方向にあわせてコップをかぶせるとする。(図参照)

bee


ハチはまっすぐ直線的に飛ぶがゆえに、コップの片方の口は大きく開いているにも関わらず、コップから出られなくなってしまうというのだ。こういう場合、ハエは強い。無作為に飛び回るので、3方向が閉ざされていても、一方向が空いていれば、簡単に抜け出てることが出来る。

hae

続きを読む »
2

学生時代に学ぶべき学問:衰退の10年を生きる その1


さて、年頭の挨拶で宣言させて頂いたとおり、今年はいま必要とされている学び方をまとめ、提言していく活動をひとつの軸にしていきたいと思います。

「衰退の10年」の生き方 - 池田信夫 blog

本エントリのタイトルは、池田信夫氏のblogから頂きました。現在の延長線上にあるのはまさに、緩やかな衰退。緩やかな衰退を避けるために、一人一人が強くなり、緩やかな衰退を避ける知恵を身につけ、努力をしなければいけないと思うのですが、僕自身ができる「努力」のひとつとして、学び方をまとめていきたいと考えています。

これからの10年は、人口減少とグローバリゼーションが一層進む社会になるに間違いありません。これらはほぼ確実に予測出来る未来です。

グローバリゼーションの進展により、途上国は驚くべき速さで成長し、経済的に先進国の水準にかなり近づくことでしょう。国内企業は厳しい競争にさらされるものの、硬直化した雇用制度と組織がイノベーションの妨げになり、満足できる成長は成し遂げられないと考えます。

琴坂氏が 構造的に不可能に等しい挑戦 のエントリでまとめられているように、
  • グローバル化により、世界的な富の移転がおこり
  • 人材に明確な区切りがつき、
  • 日本は、全ての日本国民を守ることは出来なくなる
ことは間違いないと思われます。
だからこそ、そういった時代に必要な学び方を、今の段階から考察し、まとめて行きたいと思います。

結果的に勝間和代さんの 年収10倍アップ勉強法 と似た内容になるかもしれない、と感じていますが、もう少し「学生」にフォーカスしてまとめていこうと思っています。スキル中心の話であれば、社会に出てからも十分学べますが、正義や倫理、歴史といった、学校で教えられる教養を楽しんで学び、理解することがより正しい「生き方」につながっていくと思うからです。また、僕のブログは学生の読者の方、企業の人事担当者の方によく見て頂いているようなので、読者の期待に答える意味あいもあります。

さて、それでは僕が考える学生時代に学ぶべき学問について、考察していきます。
(※下記のリストは未完です。みなさんから意見を頂いて、より素晴らしいリストにできればと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。)
続きを読む »
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

記事検索
最新コメント
推進中プロジェクトのご紹介

株式会社プロジェクトデザイン

ビジネスゲーム研修の開発・実施 人と組織のコンサルティング 株式会社プロジェクトデザイン

純国産品の精油、エッセンシャルオイルの製造・販売

はてなブックマーク
見た、読んだ、役立った
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

今すぐできる「戦略思考」の教科書
今すぐできる「戦略思考」の教科書
超一流のセールスマンが書いた「戦略の教科書」
紹介エントリ

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
営業/データをもとに大型商談を科学
紹介エントリ

となりの億万長者
となりの億万長者
資産形成/資産形成の原理原則がデータと共に
紹介エントリ

ラクをしないと成果は出ない
ラクをしないと成果は出ない
フツーの人のために書かれた仕事術
紹介エントリ

すごい会議
すごい会議
トップマネジメントが経営に行き詰まったときに
紹介エントリ

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
社長失格
転ばぬ先の杖として/成功譚以上に学ぶものは多い
紹介エントリ1

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
ネクスト・マーケット
BOPという新たなコンセプトを世に提示したバイブル
紹介エントリ

ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)
ミクロ経済学
大人になってから経済学に興味を持った人のための入門書
紹介エントリ

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか
プロフェッショナルの条件
読むたびに新たな発見がある一冊
紹介エントリ1

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する
教育×破壊的イノベーション
教育関係者に/新しい教育の形を提示
紹介エントリ1

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
貧乏はお金持ち
雇われない生き方を模索し始めたときに
紹介エントリ

信長の洞察力 秀吉の速断力―歴史に学ぶ組織管理 (学研M文庫)

  • ライブドアブログ