fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

学び方

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何かをモノにするために必要なたったひとつのこと

日垣隆さんの「ラクをしないと成果は出ない」には、プロフェッショナルとして成果を出すための100の方法が述べられている。競争の厳しい世界で生き抜いてきた、一人のプロフェッショナルの実体験に基づいた経験論がまとまっており、ハッキリいって「個人のブランディングのために書きました」「会社のマーケティングのために書きました」という趣の薄っぺらい本に比べ、示唆に富む内容であり、読み応えがある。

その中でも僕がなるほどと思った一節が、

「何かをモノにしたければ、ひとつのことに1,000時間費やせ」

というもの。逆に言うと1,000時間費やせば、それなりにモノゴトが身につくということだ。

1,000時間というのはどれぐらいの時間かというと、毎日3時間その勉強に費やして1年間かかる時間だ。この考え方は非常に説得力があるし、僕たちに勇気を与えてくれる。

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何かに取り組もう、何か努力しようと思っても、続かないことが多い。はてブでブックマークされる定番記事に「英語の勉強法」というものがあるが、TOEIC3~400点台から900点台を獲得した人の勉強法、あるいはTOEFLでアメリカの有名大学の受験資格を得られるぐらいの点数を得た人の勉強法は突き詰めていうと、集中して勉強に1,000時間費やしましたよ。というものが多い。それぐらい、時間を費やすこと、集中することの価値は大きい。

この前提にたつと、例えば時々聞く「MBAに価値はあるや否や」という議論も全く無意味であることがわかる。価値があって当たり前なのだ。2年間勉強に集中すると言うことは、1日8~10時間勉強に費やすとして、2年間で5~6,000時間を勉強に費やすことになる。

語学で1000時間、異文化コミュニケーションで1000時間。経営学のベースとなる学習に1000時間。その他2~3つぐらい専攻に関して身につけることも可能になるだろう。

「不毛地帯」「沈まぬ太陽」「華麗なる一族」など多くのヒット作を世に生み出してきた、山崎豊子氏。彼女は1年にひとつしか作品を作らない、と決めているそうだ。半年間は取材に費やし、その取材は精緻を極める。やはり魂のこもった作品を創り上げるにはそれなりの時間が必要だということを知っているが故だろう。

大前研一さんなんかも、毎年ひとつテーマを決めて、集中して学ぶようにされているということを著書の中で述べておられた。
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ハチの思考とハエの思考/個人のキャリア戦略を考える

生命は、地球環境を相手に、まさに「死ぬ」まで続くゲームをやっているのだ。(中略)そういう、種として対応しきれない環境変化が起こった時、種は絶滅する。

生物種の生き残りのための戦略はそれ故、「多様性」となる。

寒さに強いもの、暑さに強いもの、土に潜れるもの、空を飛べるもの。皆揃って討ち死にしないよう、いろいろな「生き残りの戦略」を試しているのだ。

そこでの鍵は「変化が起こる前から準備する」だ。環境の激変が起こってからでは間に合わない。出来ることは知れている。事前に多様性を生み出しておくこと、内包させておくことが企業にとっても「永続的成長」のための必勝法なのだろう。

僕はこの一節が好きで、ことあるごとに引用しているのだが、個人のキャリア戦略にもこの考え方は活かすことが出来る。

ワークスアプリケーションズの牧野社長( @masayukimakino )は、ベンチャー企業経営者の中でもとびきり人材採用と育成に時間とお金をかける方だが、彼は優秀な人材の定義について長年考え続け、「ロジカルシンキング」「クリエイティブシンキング」に長けた人材という結論を導き出したという。

ロジカルシンキング/クリエイティブシンキングという言葉を使うと、「横文字でわかったように語るなよ」という批判も出そうなので、より僕が好む例えを用いて説明しよう。それはハチ(蜂)の思考とハエの思考というものだ。

ハチというのはまっすぐ直線的に飛ぶ。だからこそ、目的地まで最短距離で辿りつくことが出来る。一方、ハエというのは、ランダムに飛ぶ。あっちにいったりこっちにいったり、無規則に飛び回る。故に目的地までスピーディーに辿りつくためにはハチのように飛ぶことが大事なのだが、一方で問題もある。

ハチの進行方向にあわせてコップをかぶせるとする。(図参照)

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ハチはまっすぐ直線的に飛ぶがゆえに、コップの片方の口は大きく開いているにも関わらず、コップから出られなくなってしまうというのだ。こういう場合、ハエは強い。無作為に飛び回るので、3方向が閉ざされていても、一方向が空いていれば、簡単に抜け出てることが出来る。

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「はたらく」ことは、知識をお金にかえること

■「はたらく」の本質ってなんだろう

はたらくことについて少し突っ込んで考えてみた。
はたらくことに関して、次のような理解をしている人も多いのではないだろうか。

in-out

実際のところ、あまり難しく考えても特にメリットもなさそうだし、僕も長い間ずっと上記のように理解をしていていた。つまり、労働というInputをして、、お金というOutputを得るという活動だ。(労働の対価を名誉や社会貢献、やりがいといったお金以外に求める人もいるだろうから、付加価値という表現に変えても良い。)

ただ、最近自分の仕事を振り返ってみると、このような理解をしているままだと、自分のキャリアアップの方向性や取るべき戦略を誤ってしまう。と感じることが多くなった。実際のところ、現代社会は上記の図のようには動いていない。

今の社会の「はたらく」をより正確に表すと次のようになるんじゃないだろうか。

in-out_2

まず、知識があって、それを労働で加工して、お金に変えている。これがはたらくってことなんじゃないだろうか。

たとえば、小説家の場合、物語の流れや着想といった知識(コンテンツ)があって、それを文章にする、製本するという労働があって、最後にそれが売れることによって対価を得る。こういう流れなんじゃないだろうか。

製本やレイアウトなどは昔は人力でやっていたけれど、今は多くの部分をITや機械が代替してくれるようになった。文章にするところも、実は必ずしも自分がやる必要はなくて、面白いストーリーを思いついたら、それを書くことに長けたライターに文章にしてもらうことも出来る。

労働というものが、どんどんITや機械など自分じゃない誰かに代替できるようになってきたので、お金(付加価値)の源泉(Input)という意味で、知識の重要性が飛躍的に高まっているのが現在の状況じゃないだろうか。

知識-労働-お金の関係をもう少し詳しく事例で示すと、次のようになる。
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国がトップダウンで決める教育のあり方では、もう間に合わない

今日はいくつか教育に関しての気になるエントリを見かけた。ひとつは下記。

教育の改革は火急の問題 - 松本徹三

前半部分の日本の塾システムの馬鹿馬鹿しさに関しては、一方的な見解で納得出来るものではないが、後半部分の松本氏の主張には賛同できる。
画一的な価値観ではなく、多様な価値観に支えられた教育。それぞれの人間の多種多様な興味を尊重し、それを育てていくような教育。表面的なものではなく、真に自らが誇れる「実力(競争力)」を身につけられる教育。そういう教育こそを、日本の若者達の為に、我々はこれから作り出していかなければならないのではないでしょうか。
もっとも、上記のような教育を実現するためには、教育システムの改革の前に親の改革が必要だ。(記事中に出てくる夫妻は、中高一貫校以外の選択肢を考えていないのだろうか?)

しかし、多様な価値観が認められ、多種多様な興味が尊重されるようになれば、それは個人が持つポテンシャルを最大限発揮する社会につながると思う。(この点に関しては、もし宜しければ過去エントリ 知能を幅広く捉える をご覧頂きたい。)

もうひとつは、Twitterでkojisato515さんが、大学の分野別品質保証の在り方検討委員会に呼ばれたという話だ。

前述のように、僕は教育に関して多様な選択肢が選べれば良い、と思っているのだが、行政主導のトップダウン形式で大学の学びの品質を定義することは危険を感じる。

現在、ゆとり教育が問題になっているが、ゆとり教育とは第二次ベビーブームの頃の過酷な受験戦争が社会問題化したときに、提唱された。実際に施行されたのは少子化が進み、大学全入時代が始まってからだった。この頃には学生の学力不足が問題にされるようになっていた。

たとえ良い施策であっても、時期を間違えると効果的に機能せず、逆に歪みを作り出す。
そして、政府や行政の意思決定は多くの場合において、市場の調整機能よりも遅く、硬直的だ。
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11年目の宣言。晴耕雨読の生活で得られるものって何なのか

彼はコンサルティングファームでマネジャーを務めたあと、世界一蹴の旅に出ている。南アフリカW杯に参加する32カ国を巡るということをしているのだが、そのアホらしさが受けたのか、あのnakata.netで連載を始めることになったらしい(かなりうらやましい)。よくわからんが、思いついたことを実際に実行するそのアクティブさと無邪気さが学生時代から変わらないところは心から尊敬する。
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ひとりひとりの人生にある小さなconnecting the dots(ジョブズの言葉より)

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Twitterで経営戦略・マーケティングを実践的に学ぶ

昨日まで、学生時代に起業して成功する方法について3回にわたって書いてきました。僕はTwitterで情報収集をしながら書いているのですが、書いていてぼんやりと感じたことは、

起業のプロセスとTwitterのフォロワーを増やすプロセスは大変似ている。

ということです。うまく使えば、自宅にいながらにして、ビジネススキルを身につける実践的なトレーニングになると思うので、ビジネス力を高めるためには、どのようなことを意識しながらTwitterを活用すればいいのか、この機会にまとめてみたいと思います。

もちろん、Twitterは自由なツールですし、人それぞれ自分なりの楽しみ方を見出せばよいのだろう、と思います。今回のエントリはあくまで、Twitterをビジネスのトレーニングとしても活用したい。という人を対象としています。就職活動を控えた学生さんや、起業準備中のビジネスパースンであれば、面白く読んで頂けることと思います。特に、経営戦略やマーケティングを学んでいる学生さんや、マスコミへの就職を志される方は「実践の場がない!」という問題意識を日頃から感じていらっしゃるでしょうから、良い実践の機会になると思います。

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学生時代に学ぶべき学問:衰退の10年を生きる その2


前回のエントリはこちら
学生時代に学ぶべき学問:衰退の10年を生きる その1

昨日に引き続き、学生時代に学ぶべき学問に関して考察していきたいと思います。学ぶべき学問として3つ目に挙げたのは、会計/ファイナンスです。あまり当たり前のことばかり述べていてもつまらないので、僕自身の感想を率直に述べてみたいと思います。


3.会計/ファイナンス

会計/ファイナンスの必要性については今更述べるまでもないと思うのですが、僕なりの視点からその必要性が年々高まっていることを示したいと思います。かつて、僕のブログで紹介したグラフ(平成19年度版 法人企業統計調査より作成 縦軸の単位は億円)で恐縮なのですが、下記をご覧ください。

付加価値分配の変化

リーマンショックが起こる前、2007年までの企業の経常利益と従業員給与を示したグラフです。このグラフによると、
  • 金融危機前の10年間で、企業の経常利益は28兆円から53兆円(+25兆円)に増加
  • 一方、従業員給与は147兆円から125兆円(-22兆円)に減少
となっています。この期間、雇用形態は変われども労働者の数はゆっくりと増えています(※過去のエントリをご覧ください。)から、一人当たりの労働所得は長期低下傾向にあることが見てとれます。2009年以降、この傾向はより顕著になっていることでしょう。

このグラフから見てとれるのは、
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学生時代に学ぶべき学問:衰退の10年を生きる その1


さて、年頭の挨拶で宣言させて頂いたとおり、今年はいま必要とされている学び方をまとめ、提言していく活動をひとつの軸にしていきたいと思います。

「衰退の10年」の生き方 - 池田信夫 blog

本エントリのタイトルは、池田信夫氏のblogから頂きました。現在の延長線上にあるのはまさに、緩やかな衰退。緩やかな衰退を避けるために、一人一人が強くなり、緩やかな衰退を避ける知恵を身につけ、努力をしなければいけないと思うのですが、僕自身ができる「努力」のひとつとして、学び方をまとめていきたいと考えています。

これからの10年は、人口減少とグローバリゼーションが一層進む社会になるに間違いありません。これらはほぼ確実に予測出来る未来です。

グローバリゼーションの進展により、途上国は驚くべき速さで成長し、経済的に先進国の水準にかなり近づくことでしょう。国内企業は厳しい競争にさらされるものの、硬直化した雇用制度と組織がイノベーションの妨げになり、満足できる成長は成し遂げられないと考えます。

琴坂氏が 構造的に不可能に等しい挑戦 のエントリでまとめられているように、
  • グローバル化により、世界的な富の移転がおこり
  • 人材に明確な区切りがつき、
  • 日本は、全ての日本国民を守ることは出来なくなる
ことは間違いないと思われます。
だからこそ、そういった時代に必要な学び方を、今の段階から考察し、まとめて行きたいと思います。

結果的に勝間和代さんの 年収10倍アップ勉強法 と似た内容になるかもしれない、と感じていますが、もう少し「学生」にフォーカスしてまとめていこうと思っています。スキル中心の話であれば、社会に出てからも十分学べますが、正義や倫理、歴史といった、学校で教えられる教養を楽しんで学び、理解することがより正しい「生き方」につながっていくと思うからです。また、僕のブログは学生の読者の方、企業の人事担当者の方によく見て頂いているようなので、読者の期待に答える意味あいもあります。

さて、それでは僕が考える学生時代に学ぶべき学問について、考察していきます。
(※下記のリストは未完です。みなさんから意見を頂いて、より素晴らしいリストにできればと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。)
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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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