fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

社会問題

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起業の大きな物語と小さな物語

起業の〈大きな物語〉が信じられない時代の起業・働き方を読んだ。非常に考えさせられる内容だった。

石橋さんの言葉から気になった言葉をピックアップしてみたい。


上場することによって、地位やお金、その他様々なものを得られることは確かだ。しかし一方で失われるものもある。例えば個人の意思決定の自由度や時間、プライバシーなどだろうか。時には会社のビジョンですら奪われてしまうこともあるかもしれない。

また、現在のような景気低迷下では上場を目指すことのハードルが上がっていることも、「大きな物語」を目指すことを踏みとどまらせる一因になっていることだろう。


「(起業の)大きな物語」「小さな物語」というネーミングは絶妙だ。石橋さんはhigh growth venture(上場を目指すVenture)「大きな物語」と呼び、lifestyle venture(自由を得るための起業)「小さな物語」という名を与えている。

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雑感:大人になるということ

誰のツイートだったか、ちょっと忘れてしまったのだけど、何らかの家庭の問題を抱えている女子が彼氏を両親に引き合わせた時に、彼がその問題をしって引かなければいいな。という感じのツイートだったと思います。

うーん。せつなくて、なんともいじらしい。

確かに人にいいたくない家庭の問題のひとつやふたつ、どの家庭にもあるし、誰でも持っているな。と思います。程度の差こそあれ、多くの家族はいろいろな悩みを抱えていて、それを乗り越えるなり、噛みしめるなりしながら生きているわけで。

何不自由なく、何の問題もなく暮らしてる人なんてそんなにいない。
受け入れて前に進むことが出来るか、どうかなんだろうと思います。

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日本は移民三世の国になっていないか

資産を形成する。という分野に関して言えば、親が無意識の間に子の学ぶ機会を奪ってしまっている例がある。アメリカの億万長者を実証的に研究した、となりの億万長者に掲載されている例を紹介したい。
ビクターはアメリカに移住して、成功した起業家である。移民一世は一般的に倹約家で、社会的な地位は低い。自分に対して厳しく、ものをあまり買わない。リスクをとることを恐れず、熱心に働く。さて、移民一世が成功したあかつきには子どもたちに何というだろう?パパをお手本にしろと言うだろうか。パパの後を継いで屋根職人、掘削工、スクラップのディーラーになれと言うだろうか。いやいや、それは5人に1人もいないだろう。
ビクターのような起業家精神旺盛な移民はアメリカ経済を牽引する大きな原動力となっているが、彼らは子には自分と異なる道を進めるそうだ。子供にもっとよい暮らしをさせたいと思っている。子供には大学に進学して、医者、弁護士、会計士、会社役員などになれ、と勧めている。日本であれば公務員も候補にあがるかもしれない。

子供たちが自分で事業を起こすことには水をさし、無意識のうちに子どもが社会に出る時期を遅らせ、つましい我慢の連続の生活をしないようにと話してきかせている。
ビクターの子どもたちは、大学、大学院と進み、金を使うことを覚えてしまった。彼らは今やりっぱな蓄財劣等生。事業に成功したブルーカラーの父とは正反対になってしまった。彼らはみごとにアメリカナイズされ、お金を使うことを楽しみ、社会人になる時期を遅らせる世代として育ってしまった。ビクターの子どもたちのように。移民の二世、三世がアメリカナイズされるのに、たいした時間はかからない。一世代からに世代のうちに「普通のアメリカ人」になってしまう。だからアメリカは、ビクターのように勇気とねばり強さを持つ移民を常に必要とするのだ。
この文章を読み、不思議なデジャヴを感じる人はいないだろうか。
そう、僕らが暮らしているこの日本全体が、ビクターとその子どもたちのような状況に陥っている可能性はないだろうか。


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セミナー告知) ソーシャル・イントラプレナー養成講座 3月18日(木)開催


先程、こんなエントリも投稿しましたが、社会問題の解決がすなわち企業の利益に繋がる時代が到来しつつあると思います。私が所属しているGiftという香港に本部を置く団体でも、様々な社会問題をビジネスを利用して解決していこうという取り組みを行っています。

Giftの日本事務局では、日本が誇る企業(中でも、大企業)の力を社会問題の解決に活かすこと、そして自社の利益に繋げることが重要だと考え、イギリスのサステナビリティ社が出している論文をもとに、ソーシャル・イントラプレナー(企業内の社会起業家)養成講座を実施しています。

次回は3月18日の開催になりますが、興味のある方は是非ご参加頂ければと思います。
詳細は下記をご覧ください。


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環境、貧困、教育、紛争、家庭、仕事etc..
現在の日本、そして世界は本当に様々な問題を抱えています。

これらの問題を事業機会と捉え、社会起業家として、立ち上がる人たちがいます。
また、NPOやボランティアとして出来る限りの支援をする人たちがいます。
しかし、その力はまだまだ小さい。

もし、自分が属する企業が持つ大きな力を社会が抱える問題の解決に役立てることができたら…。
そんなことを考えたことはありませんか?

ボーダフォン、コカ・コーラ、フォード、マイクロソフト。
世界的企業の多くで、ビジネスを通じ社会問題を解決する。という動きが生まれてきています。
これは、我々が住む社会にとって、素晴らしい価値があるばかりでなく、企業にとっても新たなビジネスチャンスを生み出す取組みです。

そういった活動を仕掛けたのは高い志と能力、そしてちょっとしたコツを知っている一握りの人々。
彼らのことを、ソーシャル・イントラプレナー(社会問題を解決する社内起業家)と呼びます。

今回、Gift-Japanでは、好評につき、2月20日(土)に続き、

・ソーシャル・イントラプレナーに関する海外の研究成果を紹介し、
・「自分が今いる会社で」どうやったら、社会問題を解決する動きができるか
・そのために、どのような力を磨き、身につけなければならないか。


を紹介するワークショップを開催いたします。

会社の力を利用して、社会問題を解決したいと考えている方、
社会問題を解決することが新たなビジネスチャンスを生み出すと考えている方、
前回のセミナーには都合が合わなく参加できなかった方、

是非ご参加ください。

詳細はこちらになります。
>> http://www.jobweb.co.jp/gift/seminar/new_seminar/654/

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社会起業とか、持続可能性といった言葉に関しての雑感


今はどちらかというと社会起業やエコはブームになっていて、本質を見失っているんじゃないか。

という意見がある。これは正しい認識だ。去年は農業、今年は社会起業(とかチェンジ・メーカーとか)はバックに電通を代表する広告代理店がついて、ビジネスとして広めようとしている動きは確かにある。

この意見に対しては、僕はブームを利用して、本物になろう。というスタンスだ。かつてのネットベンチャーブームもそうで、随分煽られたし、叩かれたけれど、そこから楽天やサイバーやDeNAや様々な「本物」のベンチャーが生まれた。それと同じだと思う。

「いろはす」が売れること自体がそんなにエコに貢献するとは思えないけれど、それがきっかけで様々な商品がエコ仕様になっていくのはいいと思う。プリウスは生産工程も考えると、到底エコとはいえないけれど、技術が向上し、生産効率が高まってくると、真にエコな車になる時代も来る。(きっとそんなに遠くない未来だ。)

農業でも、エコ関連ビジネスでも、その他社会起業の分野でも、いまそれらの分野に足りないのは人材だ。ブームを利用して、或いは広告代理店にいる優秀な人材を活用して、真に価値ある存在になってしまえばいい。


社会に貢献しない企業なんて、存在しない。

という意見がある。この意見には、半分賛成で、半分反対だ。

賛成の部分は、本来全ての企業は企業活動を通じて、市民の生活水準の向上に貢献する存在であるということ。また、市民の生活水準の向上に貢献し続けてきた企業が成長し、大企業になるということ。これは変えられない事実だ。だからこそ、本来全ての企業は社会企業と言える。

一方で、総合的に見て社会に貢献していない企業も存在すると思っている。そういう企業は短期的にしか存在できないし、規模は小さくなりがちだ。しかし、社会の淘汰を受けるまでタイムラグがあったり、見過ごされたりするので、確かに存在する。例えば違法行為を行っている企業などがそれにあたる。

脱税をしたり、粉飾決算をしたり、人を騙して商品をうる商売であったり。
それらは低度の差こそあれ、顧客や中で働いている人、すなわち市民の人生に悪影響を及ぼすと思う。


社会に与えるインパクトや、持続性を考えて企業ほど、社会に貢献する存在はないと思う。だから社会起業という言葉を声高に使うと反感を買ってしまうかもしれない。しかし、要はしたたかにその言葉を利用すればいいのだ。そして本物になればいい。

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一連の中学受験の話題に関する私的まとめ

教育問題に関して、感動するエントリと出会ったので、一人でも多くの方とこの感動を分かち合いたいと思い、筆をとる。後で詳しく述べるが、感動したというのは芦田氏のエントリだ。ただ、このエントリはそのまま読むと誤解を招く可能性もあるので、時系列で様々なブログの記事を引用しながら教育に関して感じたこと、考えたことを述べた上で、芦田氏のエントリを紹介したい。

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ここ数日、Twitter上で教育問題に関しての話題が尽きることはなかった。発端は下記のエントリだ。

教育の改革は火急の問題 - 松本徹三

このエントリに関してはぼくも既に見解を述べた。各論には反対する部分もあるが、松本氏が主張するところの、「画一的な価値観ではなく、多様な価値観に支えられた教育。それぞれの人間の多種多様な興味を尊重し、それを育てていくような教育。」この点に関しては賛同できる。

ただ、そういった教育を実現するためには教育システムの改革の前に、親(つまり僕の世代の意識)の改革が必要だ。と僕は主張した。問題としている部分に違いこそあれ、この松本氏のエントリは大きな論争を起こし、考えるきっかけを与えたという点で、非常に良いエントリだったのではないかと思う。

そんな、松本氏の主張に真っ向から噛み付いたのが藤沢氏。

中学受験こそ日本のエリート教育の本流、東大なんてクソ


それなりにこの記事の支持者がいることが何より日本の教育の問題点を表していると言える。教育について論じる場合は以下の3点を抑えた上で語るべきだろう。
  1. 人には自分が受けた教育を良い(あるいは悪い)と思い込むスキーマがある。
  2. 知能が発達する時期は人によって異なる
  3. 知能の定義は多様でテストで図れるのはごく一部
少し詳しく説明する。

まず1に関してだが、自分が受けた教育を良いと感じている場合は、その教育を子供にも受けさせようとする傾向があることは知っておいたほうがいい。(悪いと感じている場合は、その逆の教育を受けさせようとする。)田舎の公立学校でのびのび育って良かったと感じている人はその教育がいいと語るだろうし、都会の私立で猛烈な受験を勝ち抜いて、人生うまくいっている人はそれがいいという。教育について考えるときに陥りがちな罠はこれだ。世の中には多様な教育環境があり、時代や場所、人によって最適な教育環境は当然異なる。

2に関してだが、これも大事だ。中学で神童でも大学になると馬鹿になる人はいくらでもいる。スポーツ選手を思い浮かべるとよくわかるが、将来を期待されながら潰れてしまう人もいれば、年齢を経てから実力を伸ばす人もいる。人によって知能が成長する時期は各々異なるのだ。早い段階で選抜を行いそこで将来を決めてしまうことの危険性はここにある。

3に関してはこれまで繰り返し述べてきたことだ。知能は多様であり、テストではかることが出来るのはほんの一部である。

藤沢氏の意見は、1)他の教育の可能性を論じていない。2)知能の発達時期の違いを考慮していない、3)知能の定義を非常に狭い範囲に限定しているという点で、反論のための反論になっている。続きを読む »
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労働生産性の低さにビビるのはもうやめよう

昨年、3週間ほど休暇をとってヨーロッパを1週してきた後輩から次のような質問を受けた。
fukuiさん、なんで日本の労働生産性は低いんですかねえ。スペイン人なんて、良い若いモンが昼間からシエスタだのなんだのいって、ビール飲んで遊んでいるんですよ!!これだけ頑張っていて生産性低い僕ら日本人って馬鹿なんじゃないですかね…。
このもっともな疑問に、今こそ答えるときが来たようだ。

「いや、シエスタしてる彼らは単に失業してるだけだし。失業者が多いと労働生産性は高くなるよ。」


労働生産性とは、就業者一人当たりの付加価値で計算される。実際、日本生産性本部が出している労働生産性の国際比較の2009年度版では次のように書かれ、我々の危機感を煽っている。

  • 2008年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、68,219ドル(795万円/購買力平価換算)でOECD加盟30カ国中第20位、先進7カ国では最下位
  • 米国の労働生産性を100とすると日本は69
  • 日本の製造業の労働生産性水準(2007年)は80,400ドル(947万円)で、OECD加盟国でデータが得られた25カ国中第14位(図4)。ドイツに抜かれ、2006年の第13位から1つ順位を下げた。先進7カ国でみると米国、フランス、ドイツに次ぐ第4位となっている。
日本の労働生産性は、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた、高度経済成長期には世界1位だった。失われた20年を迎え、ゆっくりと生産性は低下していった。良く言われるのは、製造業の生産性は今でも世界のトップクラスだが、サービス業の生産性が極めて低い。というものだ。

しかし、僕はいいたい。労働生産性の国際比較を持ち出して危機感を煽るのなんて、そろそろやめようよ。ということを。もっと、中身を見る必要があると思うのだ。

規制産業の存在と硬直的な労働市場、イノベーション不足がよく生産性低下の原因として挙げられるが、それらは失業率の国際比較を見るとよくわかる。

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日本のWebは残念だったのか

日本語のブログの質が低いという意見を聞くことがある。
ブログの目的が曖昧なものが多い。というのがその理由のようだ。

海外にいて通常は英語やその他の言語で現地のブログを読んでいる人にそういう感想を持つ人が多いようだ。真偽はさておくとして、何度か同じような意見を耳にしたことがある(しかも、親日・知日的な人から)ので、実際にそう感じる人が一定の割合でいることは確かなようだ。

そう感じたときに思い出したのが次のエントリだ。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)

文章中に触れられているが、梅田望夫氏は以前、「日本のWebは残念」とTwitterで呟き、その後バッシングを受けた経緯がある。また、記事中では、ウェブはバカと暇人のものという中川淳一郎氏が書かれた書籍にも触れられている。

僕は日本のウェブを成長途上にある大変好ましいメディアだと捉えている。その一方で、確かに残念な時期もあったのではないかと思う。ただ、国民性や特定のメディアやサイト、個人に問題の原因を求めてはならない。(問題の原因を国民性や文化の違いに求める議論は多いが、それは多くの場合考える作業を放棄しているだけだ。)

1年たった今だからこそ、仮に日本のウェブが残念だとして、その原因はどこにあるのか。冷静に考えてみたい。
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ベーシック・インカム論に関する私的まとめ

山森亮さんのベーシック・インカム入門を読んだ。

ベーシック・インカムとは簡単にいうと、全国民一人一人に、一律・一定の金額が支給される制度のことだ。(ベーシック・インカム入門では、成人に10万円、子どもに7万円を支給するという例を出している。同様に、後述する弾言では、一律5万円を支給するという家庭を想定している。)

僕がベーシック・インカムという考え方に関して意識するようになったのは、小飼弾さんの弾言を読んでからなのだけど、最近になって下記のBlogを読み、自分なりに調べてみようと思い立ったのだ。

若き学生のための読書BLOG
みんなが就くべき「労働」というのは、賃労働を前提としている。賃労働というのは、その報酬として給料が支払われるような労働のことを指す。このモデルの「みんなが賃労働に就くべきだ」という理想は、現在いくつかの問題を抱えている。例えば、専業主婦のことを考えてみてほしい。専業主婦は、直接に賃金を生み出さない家事労働をしている。だが専業主婦は、夫の賃労働を支えるという点で、間接的に賃労働に貢献していると言える。同じことは専業主婦以外にも当てはまる。直接にお金を生み出さないが、あらゆる形で社会に貢献している人はたくさんいる。従来の保険保護モデルは、彼らのような賃労働に従事していない人たちを「賃労働をしていない」という理由で、評価することができなかった。
実際に家事はすごく大変だ。にも関わらず、正当に評価されていない気がする。他にも、機械やITに代替出来る仕事や、公共事業という形で無理やり創り出している仕事の存在が、国民一人当たりの生産性を低下させる一因になっているんじゃないかと思う。

上記のような代替可能、あるいは無理やり創り出している仕事をしている人1000人にベーシック・インカムという形で生きていくに必要なお金を支給し、労働時間を個々人が心からやりたいと思う好きなことに費やせば、1000人のうち1人ぐらいは、ブレイクする人が出て、1000人分の税金を払うことにつながるんじゃないかとも考えてしまう。

実際は他の政策同様にベーシック・インカムで解決される問題もあれば、新たに発生する問題もあるだろう。ただ、長期的に見たらベーシック・インカムに似た制度は先進国の間で徐々に取り入れられていくと思われる。

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現代日本と貧困時代のインドの共通点

ネクスト・マーケットを読み直していて興味深い記述に気付いた。ネクストマーケットは2002年にC.K.プラハラードが書いた論文をもとに作られており、世に初めてBOP(=Bottom of the Pyramid)という50億を超える市場の存在を明確に示した書籍だ。

BOP市場を狙う企業や社会起業家にとって今はバイブルとなっている。

さて、この本で僕が気になったのはインドについて書かれた、下記の一連の記述だ。20~70年前のインドが抱えていた構造的な問題に言及しているのだが、まるで今の日本のことを述べているかのように感じたからだ。

インドは、「民間企業への深い疑い」を抱いたまま始まっている。その背景には、この国が東インド会社や植民地主義と関わっていた影響があり、現地の民間企業との付き合いも、あまり前向きに捉えられていなかった。「民間企業は貧困層を搾取するもの」という疑念は、「正しく道徳的なこと」を行う政府機関に対する絶大な信頼と結びついた。
つい先日、日本でもあまりにも株主を重視した風潮という言葉を国会議員が用いて、ブログで大きな論争を起こした。(原文は削除されているが、引用文を用いた反論は BLOGOS:株主至上主義って? で確認できる。 )

サブプライムローン問題を発端とする一連の金融危機がトリガーとなって、現行の株式会社制度に対する批判が生まれたのだが、単純な「株式会社が貧困層を搾取している。政府は正しく道徳的なことを行う。」という方向に議論を誘導すると、かつて貧困から抜け出せなかったインドの二の舞とならないか。

この疑いは民間企業の規模や広がりを管理することへとつながり、いくつかの分野は小規模産業として固定されてしまった。たとえば、繊維産業における手織機の分野は、優遇された小企業によって独占されていた。
民間企業に不要な規制を設けたり、競争を阻害するような行動を政府が取ることは、一部の企業による非効率な独占をまねくことにならないか。不必要なターゲティング政策を実行することも規制や阻害の要因になりうる。

公共政策が力を注いだのは、富を生み出すことよりも「公平に分配する」ことだった。富の所有に格差があり貧困層が多数を占めていたため、政府は富の分配を「公平にする」政策を最優先にすべきだと考えたのである。
子ども手当の考え方が全て悪いとは思わない。しかし、本当に少子化は問題なのか。手当て以外の解決策はなかったのか。僕は少子化対策として子ども手当はほとんど機能しないと思っている。それは婚外子問題に対する理解不足から、片手落ちの政策となってしまっているからだ。(過去エントリ: 少子化ってホントのところ、どれほど問題なんだろうか。 )今の子ども手当は、人気を取るための単なる富の分配政策になっている。

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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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