ハイパワー・マーケティング 先日書いた記事では、生きていくため、自己実現をしていくための小さな起業について触れた。まぁ、ぶっちゃけ大きな起業をしていない僕はそれ以外書けないのだけれど。

とはいえ、こんなことを書き続けているからか、おかげさまで月に1回ぐらいは富山・東京問わず、起業・独立の相談が来る。相談がきた時に、「もしまだ読んでいなかったら絶対読んで!」といって紹介するのが、

ジェイ・エイブラハムのハイパワー・マーケティングだ。

ジェイ・エイブラハムといえば全米No.1といっていいカリスママーケッターなわけだけれど、小さな起業をするときに参考になるアイディアがこの一冊に山ほど盛り込まれている。

多くの有名な日本人マーケッターのネタ本となった、この本。
ダイレクトメールの書き方などは、日本で部分的に取り上げられ、一世を風靡したけれど、小さな起業をはじめた人にもっともっと重要な視点が盛り込まれているので、それを紹介したい。

それが、卓越の戦略だ。

卓越の戦略とは、ひとことでいうと、

クライアントを大切な友人として考え、接する。

ということだ。

「え、当たり前のことじゃない?」

と思われる方もきっと多いことだろう。そういう人達は既に起業・独立されているか、いつでも出来る準備が整っている人達だ。

でも、出来ている人には信じがたいことかもしれないが、
もし、自分の成績が思うように伸びていない、という人がいたら、おそらく、この卓越の戦略が実行できていない。

目の前のクライアントに、「ベストじゃないけれど、悪くない商品だし、何より組織の目標が達成できる!」という発想で、その商品を販売したとしたら、それは卓越の戦略を実行できていないことになる。(残念なことに、顧客の信頼を得ることよりも、組織の目標を達成することを重要視する会社がたくさんある。こういう会社に入ったら、本当に大切なことに気付くまで時間がかかる。)短期的には売上も上がるし、会社に評価されるかもしれないけれど、中長期的には売上を下げ、会社からの評価も失うことに繋がる。

本当に大切で親しい友人に、ベストじゃない商品を提案できるだろうか。
出来ない、と感じる人が普通だ。

もし、自分が取り扱っている商品がベストでなければ、ベストな商品になるように自分が提供できる価値を増やさなければならない。商品を良くする以外にも、顧客を紹介するとか、顧客が迷っている問題を解決するとか、貢献の仕方はいろいろある。

とにかくそういう発想で顧客と接するのだ。
(ジェイによると、顧客という言い方からクライアントという言い方に変えなさい。ということも言っているが。)

この卓越の戦略が、ジェイのマーケティングの本質だとすると、
第二のキーワードは、ビジネスを大きくする方法は3つしかない。という原則だ。
  1. クライアントの数を増やす
  2. クライアントあたりの平均販売額を増やす
  3. クライアントの購入頻度を増やす
以上だ。

ジェイは、このすべてを10%ずつ伸ばすだけで、全体の売上を33%伸ばすことが出来る。と伝えている。
また、クライアントの増やし方、販売額の増やし方、購入頻度の増やし方の具体的な方法に関しても例を交えながら詳しく説明している。起業・独立したばかりの人は、自分ができることからひとつずつ取り組んでいけば、それでいい。


第三のキーワードは、ジョイント・ベンチャーだ。
これは、他の企業と共同で事業を行うことにより、ジョイント先の企業が長年かけて行なってきた投資、築いた信用、強いつながりを利用させて頂く(もちろん、ジョイント先の企業にはそれ以上のメリットを提供する)という方法だ。

営業代理店を持つとか、集客力のある店舗やウェブと組むとか、簡単なことから複雑なことまで、いろいろなやり方がある。

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もちろん、以上のことを実行するために、自社のUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)を明らかにする、とか、クライアントを獲得するためにDMを活用するとか、具体的な実践例はいくらでもあるのだけれど、僕自身が小さな起業をした後に、本当の意味で役立ち、使えたのはこの3点だ。

1回読んで、ひとつのことを学べばそれで充分という本がある。
何回読んでも、読むたびに気付きがあるという本がある。

ハイパワー・マーケティングは間違いなく後者のほうだ。
起業してから、3年目に突入した今、あらためて読み直しているけれど、新たな発見がいくつもある。

学ぶことは重要だけれど、実行することはもっと重要で、 
大体の場合、実行すべきことを忠実に実行することで事態は好転するものだ。
たぶん、きっと。


追伸:
 例えば、人材紹介業のように、「転職を希望する人材」と「優秀な人材を求める企業」と相反するクライアントがいる場合、どのように卓越の戦略を実行すればいいのだろう?答えは簡単で、時間をかけて人材と企業がともに高め合う環境・サービスを提供することに注力することだ。人材戦略を中長期で考えることが出来ない企業にはこれはなかなか難しいけれど。