これは、物語のキーマン、中学生のポンちゃんが、国会中継を通じ、世界に対して発するメッセージだ。
『希望の国のエクソダス
読んでみて強烈に感じたのが、村上龍の時代を読む感性の鋭さだ。
2000年に出版された本だが、今でも古さを感じさせない。
物語は、日本を捨てパキスタン北西部、アフガニスタンとの国境境でパシュトゥーン(戦闘的な部族民のひとつ)として生きる10代の少年がCNNに取材されるところから始まる。
村上龍は、執筆当時流行していたグローバリゼーション、アメリカ的な金融・経営システムとは異なる価値観を描くことで、価値観と多様性の理解の必要性を説きたかった。と語っているが、彼が感じていた問題が現実化する出来事が出版から1年後に起きる。言わずと知れた、9.11 同時多発テロだ。
この本を読むと、テクノロジーは進歩したかもしれないが、日本という国は2000年から何も進歩していないということがわかる。経済・雇用・少子化・外交といった日本が抱える様々な問題は悪くなりこそすれ、良くはなっていない。私達にも、それぞれが出来る方法で、希望の国をつくる努力が求められているのかもしれない。
(オススメ)
-- 自分にとっての希望を考えたいオトナに。まだ諦めていない全ての人に。
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