月と六ペンス (角川文庫)月と六ペンス (角川文庫)
著者:サマセット・モーム
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2009-01-24
クチコミを見る


ポケットに本を一冊忍ばせて、公園や浜辺で気がすむまで読書にふける。そんな休日の過ごしたい人に手にとってもらいたい小説。『月と六ペンス 』

株式仲買人を生業としている40男、ストリックランド。彼はある日突然、妻と子、安定した生活を捨てて姿を消す。社会と人間を拒絶し、彼は海に浮かぶ極彩色の島で「絵」を描き続ける。彼は「絵」を売ろうとはしない。また、買いたいという人もあらわれない。彼は「絵」を描き続け、いつしか死を迎える…。

まぁ、そんなストーリーです。
恥ずかしながらfukuiはこの小説と出会い、小説家を志すことを決めました。

作中でストリックランドは、明らかな「人でなし」として描写されます。成功者というよりは人生の落伍者として扱われます。しかし、「人でなし」や「成功」とは一体誰が決めることなのだろう。という疑問が読み進めるに従って自然と湧き上がってきます。

皮肉なことに、ストリックランドの絵は彼の死後、爆発的に売れ始めます。

しかし彼はそれを望んでいたのか。彼は幸せではなかったのか。
そしてまた、読者である自分自身は何を望んでいるのだろう。自分にとっての幸せとはいったい何なのだろうか。

そんなことを考えさせてくれる一冊です。

(オススメ)
-- 絵画、音楽、歌、舞台…。少なからずアートに興味がある方にとって
-- よく晴れた休日。波の音を聞きながら読書をしたい。という方にとって

#ストリックランドのモデルはポスト印象派の画家、ゴーギャン。つい先日まで美術館で開かれていたゴーギャン展、見に行きました。感動二倍。