僕はGIFT-Japanという団体に属して活動しています。
香港に本部があるNPOの日本支部なのですが、この団体が何をしているかというと、
アジアの途上国が抱える様々な問題を、ビジネスを通じて解決する。
ことをミッションとした団体で、途上国の政府やNGO、民間企業を巻き込んで、2週間の研修プログラムを提供しています。研修というと、
所詮お遊びでしょ?
という感想を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、GIFTが提供する、GIFT-YLPというプログラムは全てが本気。学ぶ、ビジネスプランを立てるだけではなく、実際に政府やNGO、金融機関から資金提供を受け、持続可能なビジネスを立ち上げることをゴールにしています。
GIFTは、BOP(Base of Pyramid)という言葉が日本に紹介された年、2004年から活動をはじめ、合計17回のGIFT-YLPを実行してきましたが、17回目にして初の投資・事業化案件が生まれたのです!!(ビジネスプランコンテストではないので、本当に現実的に実現可能で収益が見込めるビジネスでないと、誰も投資なんてしないのです。)
投資を決定したのは、ユニ・リーバ。
実際にヴェトナムが抱える公衆衛生の問題を、ビジネスを通じて解決する第一歩が踏み出されたのです。
国籍もバックグラウンドも様々な22人が集まり、リサーチとプランニングをしてきたわけですが、その投資決定に大きな役割を果たした日本人、岡部さんにお時間を頂き、インタビューしてきました。
インタビューがとても感動し、参考になるものだったので、今日はそのレポートをまとめたいと思います。
(※BOPビジネスに関して概要を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。)
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インタビューの前に少し岡部さんのことを紹介しておきます。
もともとは外資系コンサルティング会社のアクセンチュアに勤務。このころ、シカゴで5年、ロスで1年、コンサルティングに従事。その後、アクセンチュアとソフトバンクの合弁会社として設立された、イー・エントリー株式会社の代表取締役に就任。イー・エントリーは海外の技術を国内に輸入・展開する会社で2000年に設立。
本来であれば、僕なんておいそれと口も聞けないようなビジネスの、そして人生の大先輩なんですが、たまたま世界を変えるデザイン展で行われていた新・貿易ゲームのワークショップに参加したときに同じチームになりまして、それ以来気さくにお付き合いして頂いております。(ゲームって、侮れないよ!)
岡部さんは、アクセンチュア時代にシニア・マネージャークラスのみが参加できるエグゼクティブ向けの研修をシンガポールで受けておられたりするので、GIFT-YLPのプログラムと、コンサルティング会社のプログラムの違いがどこにあるか聞いてみる、というのもひとつの目標にしています。
さて、以下は僕が思いのままきかせてもらったインタビューの抜粋です。
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香港に本部があるNPOの日本支部なのですが、この団体が何をしているかというと、
アジアの途上国が抱える様々な問題を、ビジネスを通じて解決する。
ことをミッションとした団体で、途上国の政府やNGO、民間企業を巻き込んで、2週間の研修プログラムを提供しています。研修というと、
所詮お遊びでしょ?
という感想を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、GIFTが提供する、GIFT-YLPというプログラムは全てが本気。学ぶ、ビジネスプランを立てるだけではなく、実際に政府やNGO、金融機関から資金提供を受け、持続可能なビジネスを立ち上げることをゴールにしています。
GIFTは、BOP(Base of Pyramid)という言葉が日本に紹介された年、2004年から活動をはじめ、合計17回のGIFT-YLPを実行してきましたが、17回目にして初の投資・事業化案件が生まれたのです!!(ビジネスプランコンテストではないので、本当に現実的に実現可能で収益が見込めるビジネスでないと、誰も投資なんてしないのです。)
投資を決定したのは、ユニ・リーバ。
実際にヴェトナムが抱える公衆衛生の問題を、ビジネスを通じて解決する第一歩が踏み出されたのです。
国籍もバックグラウンドも様々な22人が集まり、リサーチとプランニングをしてきたわけですが、その投資決定に大きな役割を果たした日本人、岡部さんにお時間を頂き、インタビューしてきました。
インタビューがとても感動し、参考になるものだったので、今日はそのレポートをまとめたいと思います。
(※BOPビジネスに関して概要を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。)
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インタビューの前に少し岡部さんのことを紹介しておきます。
もともとは外資系コンサルティング会社のアクセンチュアに勤務。このころ、シカゴで5年、ロスで1年、コンサルティングに従事。その後、アクセンチュアとソフトバンクの合弁会社として設立された、イー・エントリー株式会社の代表取締役に就任。イー・エントリーは海外の技術を国内に輸入・展開する会社で2000年に設立。
本来であれば、僕なんておいそれと口も聞けないようなビジネスの、そして人生の大先輩なんですが、たまたま世界を変えるデザイン展で行われていた新・貿易ゲームのワークショップに参加したときに同じチームになりまして、それ以来気さくにお付き合いして頂いております。(ゲームって、侮れないよ!)
香港出発前の岡部さん。トレードマークは最高の笑顔!
岡部さんは、アクセンチュア時代にシニア・マネージャークラスのみが参加できるエグゼクティブ向けの研修をシンガポールで受けておられたりするので、GIFT-YLPのプログラムと、コンサルティング会社のプログラムの違いがどこにあるか聞いてみる、というのもひとつの目標にしています。
さて、以下は僕が思いのままきかせてもらったインタビューの抜粋です。
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■22人の素晴らしいメンバーが集まった
fukui:GIFT-YLPへの参加、お疲れさまでした。GIFTの本部は、投資を得るにあたって「マサはスゴイ貢献したよ!」と大興奮だったんですが、2週間のプログラムの感想を一言でいうとどんな感じでした?
岡部:いやー、もうとにかくめちゃくちゃ楽しかった。参加したメンバーも、チームも最高でした。これが参加したメンバーの集合写真なんですが、本当に見事に面白い人が揃っていましたね。
例えば、中国のポルシェのマーケティング担当、ヴェトナムの医師、日本の大学教授、中国のマスターカードの社長‥、そんな感じのメンバーが今回のプログラムに参加していました。
中でも印象に残った人物がひとりいます。それは、Sunlabobという、ラオスにある会社のシンガポール支社長(マネージング・ディレクター)なのですが、この方はまさに、BOPビジネスのプロフェッショナルという感じの人でした。Sunlabobは彼の父親が始めた会社らしいのですが、現在は100人ぐらい社員がいるのではないでしょうか。
Sunlabobが何をやっているかというと、大企業も政府機関も僻地過ぎて入り込めないような市場でビジネスをしているわけです。四方八方からお金を集めてきて、そういった僻地で必要とされるプロダクトをデザインして、レンタルする形で提供している。こういった市場にいちはやく目をつけて、いくつものビジネスを成功させているという経験や、成功させるためのノウハウを蓄積している点は本当に素晴らしいと思いました。プログラム中、彼の経験や感覚には随分助けられたものです。
fukui:それにしても面白いメンバーが集まったものですね。
岡部:そうですね、彼らとは今でもFacebookで毎日のようにやりとりしているのですが、アジア、BOPという視点で信頼して相談できる仲間が世界中に出来たという感じがします。本当にこれは一生の財産です。まさか2週間でこんな関係を築けるとは思ってもいませんでした。
■何故、GIFT-YLPに参加したのか?
fukui:ところで話が前後してしまうのですが、岡部さんは何故、GIFT-YLPに参加されることにしたのですか?
岡部:もともと40代は、社会により直接的に貢献できる、社会問題を解決するようなことを仕事にしたいという希望を持っていました。どのように取り組めばいいか、考え悩んでいたときに、BOPという概念に出会いました。ただ、私はBOPビジネスの現場であるアジアの貧困地域に住んだこともなければ、行ったこともありません。だからまずは行ってこの目で見て、経験しようと思いました。それがきっかけです。
fukui:参加して、抱えていた悩みは解決できましたか?
岡部:解決できた部分と、出来ていない部分があります。2週間のプログラムのうち、現地でフィールドワークやインタビューに取り組めるのは2~3日です。正直申し上げると、これでわかることはたかが知れているんじゃないか、と思っていました。しかし、実際に取り組んでみると思った以上に多くのことがわかりました。やはり、現場を見たり、直接話を聞くことで理解できることは本当に多いと思います。
また、限られた期間で多くのことが理解できたのは、GIFT-YLPが「本当の実践」だったことです。私たちが体験した2週間のプログラムの間にも次々と状況が変わりました。IDEOに依頼して作成に入っていた携帯手洗器の開発が遅れたり、突然ヴェトナムのユニ・リーバ社長とのブレックファーストミーティングが設定されたりしました。
皆、本気で投資を引き出して、持続可能なビジネスを立ち上げようとしているから、学べることも多かったように思います。
そして一番大切なことは、ビジネスを通じて実際に社会に貢献できる、私が出来ることはまだまだたくさんある、という実感を持てたことです。今回の投資もそうですけれど、社会に対して働きかければ実際にいろいろなものが動くんだ。ということを強く感じました。
fukui:逆に解決できなかった悩みというのは、なんなのでしょう?
岡部:私は将来、教育に関する事業をするためにかなり大きな規模の資金を集めたいと思っているのですが、BOPの分野に取り組むベンチャー企業には既に(Sunlabobのような)先駆者がいることを知りました。また一方で、P&Gやユニリーバといった大企業は20~30年かけて市場を開拓するという長期視点でBOP市場の開拓に取り組んでいます。自分自身の人生の目標を達成しようとした場合に、彼らと同じようにBOPに取り組んでいてはだめだと感じました。社会に貢献しつつ、大きな収益が得られる自分なりのやり方を見つけなければ、と。ただ、これも行ってみてはじめて理解できたことです。
fukui:なるほど、なかなか難しいですね。今回のチームで提案されたビジネスプランは比較的小規模なビジネスなのですか?
岡部:いや、それがそうとも言えないところです。今回投資を決定したユニリーバにとっては、今回のビジネスプランはリスクがなく、非常に大きなメリットがある内容だと感じています。非常にメリットがある内容なので、GIFTと相談しながら、花王やライオンといった日本の企業にも話をしていきたいと思っています。
fukui:資本のある大企業にとっては非常に魅力的なビジネスというわけですね。少し詳しく教えて頂けますか。(以下、次回へ続く)
fukui:GIFT-YLPへの参加、お疲れさまでした。GIFTの本部は、投資を得るにあたって「マサはスゴイ貢献したよ!」と大興奮だったんですが、2週間のプログラムの感想を一言でいうとどんな感じでした?
岡部:いやー、もうとにかくめちゃくちゃ楽しかった。参加したメンバーも、チームも最高でした。これが参加したメンバーの集合写真なんですが、本当に見事に面白い人が揃っていましたね。
10月25~11月6日に行われたGIFT-YLPヴェトナム・プログラムのメンバー
例えば、中国のポルシェのマーケティング担当、ヴェトナムの医師、日本の大学教授、中国のマスターカードの社長‥、そんな感じのメンバーが今回のプログラムに参加していました。
中でも印象に残った人物がひとりいます。それは、Sunlabobという、ラオスにある会社のシンガポール支社長(マネージング・ディレクター)なのですが、この方はまさに、BOPビジネスのプロフェッショナルという感じの人でした。Sunlabobは彼の父親が始めた会社らしいのですが、現在は100人ぐらい社員がいるのではないでしょうか。
Sunlabobが何をやっているかというと、大企業も政府機関も僻地過ぎて入り込めないような市場でビジネスをしているわけです。四方八方からお金を集めてきて、そういった僻地で必要とされるプロダクトをデザインして、レンタルする形で提供している。こういった市場にいちはやく目をつけて、いくつものビジネスを成功させているという経験や、成功させるためのノウハウを蓄積している点は本当に素晴らしいと思いました。プログラム中、彼の経験や感覚には随分助けられたものです。
岡部さんが所属した、セールス&マーケティングのチーム。プロフェッショナルなスキルを持ったメンバーには随分助けられたそうです。岡部さんはといえば‥、日本的飲みニケーションを活用して、いつの間にか22人の裏リーダーに!日本式も侮れません。
fukui:それにしても面白いメンバーが集まったものですね。
岡部:そうですね、彼らとは今でもFacebookで毎日のようにやりとりしているのですが、アジア、BOPという視点で信頼して相談できる仲間が世界中に出来たという感じがします。本当にこれは一生の財産です。まさか2週間でこんな関係を築けるとは思ってもいませんでした。
■何故、GIFT-YLPに参加したのか?
fukui:ところで話が前後してしまうのですが、岡部さんは何故、GIFT-YLPに参加されることにしたのですか?
岡部:もともと40代は、社会により直接的に貢献できる、社会問題を解決するようなことを仕事にしたいという希望を持っていました。どのように取り組めばいいか、考え悩んでいたときに、BOPという概念に出会いました。ただ、私はBOPビジネスの現場であるアジアの貧困地域に住んだこともなければ、行ったこともありません。だからまずは行ってこの目で見て、経験しようと思いました。それがきっかけです。
fukui:参加して、抱えていた悩みは解決できましたか?
岡部:解決できた部分と、出来ていない部分があります。2週間のプログラムのうち、現地でフィールドワークやインタビューに取り組めるのは2~3日です。正直申し上げると、これでわかることはたかが知れているんじゃないか、と思っていました。しかし、実際に取り組んでみると思った以上に多くのことがわかりました。やはり、現場を見たり、直接話を聞くことで理解できることは本当に多いと思います。
また、限られた期間で多くのことが理解できたのは、GIFT-YLPが「本当の実践」だったことです。私たちが体験した2週間のプログラムの間にも次々と状況が変わりました。IDEOに依頼して作成に入っていた携帯手洗器の開発が遅れたり、突然ヴェトナムのユニ・リーバ社長とのブレックファーストミーティングが設定されたりしました。
皆、本気で投資を引き出して、持続可能なビジネスを立ち上げようとしているから、学べることも多かったように思います。
そして一番大切なことは、ビジネスを通じて実際に社会に貢献できる、私が出来ることはまだまだたくさんある、という実感を持てたことです。今回の投資もそうですけれど、社会に対して働きかければ実際にいろいろなものが動くんだ。ということを強く感じました。
fukui:逆に解決できなかった悩みというのは、なんなのでしょう?
岡部:私は将来、教育に関する事業をするためにかなり大きな規模の資金を集めたいと思っているのですが、BOPの分野に取り組むベンチャー企業には既に(Sunlabobのような)先駆者がいることを知りました。また一方で、P&Gやユニリーバといった大企業は20~30年かけて市場を開拓するという長期視点でBOP市場の開拓に取り組んでいます。自分自身の人生の目標を達成しようとした場合に、彼らと同じようにBOPに取り組んでいてはだめだと感じました。社会に貢献しつつ、大きな収益が得られる自分なりのやり方を見つけなければ、と。ただ、これも行ってみてはじめて理解できたことです。
fukui:なるほど、なかなか難しいですね。今回のチームで提案されたビジネスプランは比較的小規模なビジネスなのですか?
岡部:いや、それがそうとも言えないところです。今回投資を決定したユニリーバにとっては、今回のビジネスプランはリスクがなく、非常に大きなメリットがある内容だと感じています。非常にメリットがある内容なので、GIFTと相談しながら、花王やライオンといった日本の企業にも話をしていきたいと思っています。
fukui:資本のある大企業にとっては非常に魅力的なビジネスというわけですね。少し詳しく教えて頂けますか。(以下、次回へ続く)
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