先日、Twitterで告知されていた有志の勉強会「ツイ勉」に参加してきました。今回の講師は岡本さん(@okamoto4433)。株式会社アムの代表取締役であり、NPO法人フローレンスの理事でもあられます。

テーマは

「オーディエンスの行動を変えるプレゼン講座」


マーケティング・コミュニケーションの専門家として、数々の人の心を動かし、ムーブメントを作ってきた岡本さんのワザを知り、自分のものにすることが目的です。実はこのツイ勉、参加費無料だったのですが、

数万円のセミナーと同等の価値がある!


と感じるほど学ぶことが多かったので、学んだことのエッセンスをご報告したいと思います。

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この講座の素晴らしかった点はまず第一に、一橋大学の米倉教授や竹中平蔵教授を前に岡本さんが実際に行なったプレゼンテーション資料をもとに構成されている点でした。プレゼン時間は8分間。無数のコンペティターが存在します。その中で圧倒的な支持を得て選ばれたプレゼンテーションはどういうものか。

誰もが興味のあるところだと思います。

岡本さんは、勝負は最初の2枚目までで決まる。と述べ、実際に作られたスライドを紹介されました。実際のスライドは頂けていないのですが、僕の記憶をもとに再構成して紹介したいと思います。

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(1枚目:差は既につきはじめている)

岡本さんが用意された一枚目の資料はこういう感じの資料。正確なものではなくて、記憶を頼りに僕が再現したものなんですが、この一枚目にも相当工夫が入っています。

  1. 競合はスライドのタイトルに、「西小中台団地」という固有名称を入れていたが、岡本さんは差別化するためにあえて抜いた。皆が固有名詞を使うと印象に残らないし、余計な情報である。と判断したから。
  2. プレゼン当時、審査員の一人である米倉教授は「ソーシャル・ベンチャー」に興味があり研究されていたので、そのワードをタイトルに盛り込んだ。岡本さん自身、フローレンスの理事だったので、ソーシャルベンチャー的なアプローチに説得力を持たせる効果もあったかもしれない。
  3. 背景色が緑のスライドにした。競合は「白」の通常のスライド。多くのプレゼンの中でひときわ目を引く効果があると同時に、提案内容の「社会性」や「緑化」のイメージを強化する役にたった。
・余計な情報を徹底的にそぎ落とす
・評価者のことを踏まえたプレゼン
・差別化を意識し、埋もれない内容


こういった点がポイントでしょうか。


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(2枚目:勝負はここで決まる)

勝負は最初の2枚で決まる。これが問題の2枚目の資料です。プレゼンの肝になるインパクトの数字を徹底的に吟味して、それだけを載せる。聴き手の注意を惹きつけ、意識をプレゼンに集中させる。

たとえプレゼンの内容を忘れても、数字だけは記憶に残るように印象づける。これがその2枚目です。


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(3枚目:事実に出会うページ)

そして、3枚目。数字の種明かしをします。

築30年以上の集合住宅が全国に100万戸あり、建て替えられたのはそのうちわずか69件。

建替がいかに困難で、既存のアプローチでは実現できない(しにくい)かを雄弁に物語ります。
また、数字だけではその問題の大きさを実感出来ないため、実際に築30年の団地の画像を挟みます。(とんでもなくボロボロな団地な写真でした…)


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さて、講座の内容としてはこのような形で、最初の1分半で話す6枚目の資料まで説明があり、その後はチームごとに、NPO法人フローレンスを題材にしてのプレゼン資料づくり。

レクチャーとワークを通じて本当に細かい部分のTIPSを教えてもらいましたが、blogで細かく書いてもおそらく印象にのこらないと思うので、僕が強烈な印象を受けた、最初の3枚の作りだけご紹介しましたが、やはり直接聞かないと凄さが伝わりにくいと思います。

このプレゼンのやり方は、コンサルティング畑出身の方から見ると「?」と思われるかもしれません。今回は戦略コンサルタントやマーケター出身の方が非常に多く、僕のグループも、僕以外の2名は戦略コンサルティングファーム勤務で、もう2名はマーケターという非常に、やりにくい(笑)グループだったのですが、自分たちのやり方とは違うが効果的な手法で、目から鱗、と感心されていました。(というか、そういう、プレゼンのプロがうじゃうじゃいる中で、プレゼン講座を行う岡本さんに僕は正直びびりましたよ。)

戦略コンサルタントが通常作る資料とどこが違うかというと、ビジネスに関しての充分な知識・経験のある人に対して行うプレゼンか、多くのオーディエンスを動かすためのプレゼンか。という違いでしょうか。僕は、特に多くの人の心を惹きつけるプレゼンのやり方を学びたかったので、非常に勉強になりました。(
今だから告白しますが、僕は過去のお恥ずかしい自分のプレゼンを思い出して、心をチクチク痛ませながら、話を聞いておりました。)

最初の2枚で勝負はキマるわけですが、その2枚をつくるために、徹底的な下準備とかストーリー作りなどがあるので、形ばかりマネしても、思ったような効果は得られないかもしれません。それでも、僕が紹介した部分だけでも、今後プレゼンを考える際のヒントみたいなものは得られるのではないかな。と思います。

ツイ勉は2回目以降もあるようですし、動画もとっていたみたいなので、続報があればまた本blogにてご報告したいと思います。

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※本セミナーは下記書籍ぐらいは当然よんでいるものとして、始まりました。あぁ、プレゼンの勉強をしなきゃなぁ…


プレゼンテーション Zenプレゼンテーション Zen
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著者:高田 貴久
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