本当は別のエントリを用意していたのだけど、面白かったのでちょっと紹介。
「100万円の商品を10万円で売りなさい。(しかも利益は出るようにしなさい)」と言われたら、どういう工夫なり、イノベーションを起こすか。というワークショップ。
6月26日(土)に東京で行う予定の「BOP理解ワークショップ」で、本題に入る前に参加者の皆さんにグループで考えてもらう、アイスブレイキングのお題だ。
収入に余裕がなく、限られた購買力しか持たない途上国の国々にプロダクトやサービスを提供するには、この「購買力の壁」を超えなければいけない。
現在会社で扱っている商品が100万円ではなく、6000円であれば、600円や60円で売る方法を考えるというようにお題を自分で変えてみてもいい。いくつぐらい思いつくだろうか?
「100万円の商品を10万円で売りなさい。(しかも利益は出るようにしなさい)」と言われたら、どういう工夫なり、イノベーションを起こすか。というワークショップ。
6月26日(土)に東京で行う予定の「BOP理解ワークショップ」で、本題に入る前に参加者の皆さんにグループで考えてもらう、アイスブレイキングのお題だ。
収入に余裕がなく、限られた購買力しか持たない途上国の国々にプロダクトやサービスを提供するには、この「購買力の壁」を超えなければいけない。
現在会社で扱っている商品が100万円ではなく、6000円であれば、600円や60円で売る方法を考えるというようにお題を自分で変えてみてもいい。いくつぐらい思いつくだろうか?
ちなみに、何で僕が面白いと思ったかというと
このお題を上記のようにSkypeのコメント欄に表示していたところ、ある会社の社長が妙に興味を持ったくださったようで、急に
「これって、社長から不良在庫一掃せよという指令が来たということ?」
と話しかけられたからだ。経営者というのは、こういう頭の体操がとても好きなようだ。
BOP(Base of Pyramid)というビジネスコンセプトは改めて説明するまでもないけれど、よく聞くのは、
「世界で40~50億人、1日4ドル以下の収入で暮らしている人たちがいる。しかし、彼らの所得は急拡大しており、市場としては5兆ドル規模。彼らを無視するのではなく消費者として捉えてみてはどうだろう。」
という説明だ。日本ではスカイライト・コンサルティングが翻訳・出版しているネクスト・マーケットという書籍で紹介されたことで一躍有名になった。BOPビジネスの話しをすると、「貧困層を喰い物にする貧困ビジネス」とか、そういう誤解を受けがちだけれど、実際は、ビジネスを通じて発展していこうとする、どちらかというと、インド人である故プラハラード氏の思いが詰まったビジネス・コンセプトだ。
※余談だけれど、僕は北陸の中小企業がこういった市場に進出する手助けみたいなことをしたくて、富山にいる。最近いくつか具体的に進み始めた案件があってとても面白い。
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しかし、日本でもBOPビジネスに対する気運は高まっているけれど、時期尚早という考え方は根強い。僕もその考えには一部同意なのだけれど、こういう「ある商品を1/10、1/00の価格で提供するにはどうしたらいいか。」という発想で、様々なプロダクト、サービスを捉え直してみる。という頭のトレーニングは面白いと思う。
先程紹介した社長に、「○○さんだったら、BOP市場を攻略するためにどういうアイディアを思いつきますか?」という挑戦的な問いを投げかけてみると、ものの30秒も立たないうちに、
というアイディアが出てきて正直驚いた。BOPのことを知っていたのかも知れないけれど、たぶんしらなくても、同じようなアイディアは出てきたことだろう。価格破壊をおこすというのは、かつては日本の経営発想の専売特許のようなものだったのだから。
5分、10分と時間をとったらもっと様々なアイディアが生まれてきたことだろう。
商品を小分けして売るのは、味の素やヒンドゥスタン・リーバ・リミテッドで実現されていることだし、商品をレンタルするのは、農機具や発電機、自動車をレンタルするという発想でBOP市場では日常的に行われている。
不良在庫をタダで引きとって‥。という発想はなかったが、日本で売れなくなった中古車を海外でうるというのは、まさにこの発想からきているだろう。
機能を特化して部品数を減らすのは、ジャイブル・フットや、かつての日本の「ウォークマン」や「写ルンです」なんかがそれに当たるだろう。
もちろん、いくら売れても、1/10~1/100で売っていては、市場も利益も小さいままだけれど、そういう発想を形にしていく間に、市場は急速な勢いで拡大を続け、事業はいつしか採算ラインに乗る。その頃には現地の文化や商慣習に関して、他の企業よりもはるかに多くの知見を得ていることだろう。
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日本で100円の飲料を10円で生産するには?日本で6000円の省エネ製品の製造原価を300円にするには?前提条件が無ければ様々なアイディアが生まれる。
ただ、実際に、ワークで出るような柔軟な発想を現実のビジネスに落とし込めるかというとなかなか難しい。日本の製品群は、高機能・高付加価値の製品をつくるモデルに最適化されているケースが多く、現実に思考が引っ張られてしまうからだ。
実際には、現状の製造ラインや商品群を前提に考える必要がなく、生産コストもやり方によっては大きく抑えることができるので、BOP市場でビジネスをはじめるのは多くの企業にとってチャンスの側面は多い。
もともと日本の技術者やビジネスパースンは、強烈な目標を強いリーダーに提示された場合に、とんでもない質と量のアイディアを生み出し、それを実現してしまう傾向がある。正直奇跡みたいな力を持っていると思うし、そういう商品はプロジェクトXに紹介されるまでもなく、日常のものとして周囲に溢れている。現在はその力がBOPにまだ十分向いていないように感じるが‥
後はBOP市場の消費者ニーズをしっかり掴むことだけだが、あちこちでその芽も生まれ始めている。
優れたビジネスは本当に成功するまでは、水面下で動くものだ。
ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
著者:C.K.プラハラード
販売元:英治出版
発売日:2005-09-01
おすすめ度:
クチコミを見る
※BOP市場を理解するためのバイブル的一冊。7/13に増補改訂版が出版されるようだ。
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
著者:クレイトン・クリステンセン
販売元:翔泳社
発売日:2001-07
おすすめ度:
クチコミを見る
※イノベーションに関するバイブル的一冊。破壊的イノベーションの考え方はBOPビジネスを成功させる上でも外せない考え方だろう。
このお題を上記のようにSkypeのコメント欄に表示していたところ、ある会社の社長が妙に興味を持ったくださったようで、急に
「これって、社長から不良在庫一掃せよという指令が来たということ?」
と話しかけられたからだ。経営者というのは、こういう頭の体操がとても好きなようだ。
BOP(Base of Pyramid)というビジネスコンセプトは改めて説明するまでもないけれど、よく聞くのは、
「世界で40~50億人、1日4ドル以下の収入で暮らしている人たちがいる。しかし、彼らの所得は急拡大しており、市場としては5兆ドル規模。彼らを無視するのではなく消費者として捉えてみてはどうだろう。」
という説明だ。日本ではスカイライト・コンサルティングが翻訳・出版しているネクスト・マーケットという書籍で紹介されたことで一躍有名になった。BOPビジネスの話しをすると、「貧困層を喰い物にする貧困ビジネス」とか、そういう誤解を受けがちだけれど、実際は、ビジネスを通じて発展していこうとする、どちらかというと、インド人である故プラハラード氏の思いが詰まったビジネス・コンセプトだ。
※余談だけれど、僕は北陸の中小企業がこういった市場に進出する手助けみたいなことをしたくて、富山にいる。最近いくつか具体的に進み始めた案件があってとても面白い。
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しかし、日本でもBOPビジネスに対する気運は高まっているけれど、時期尚早という考え方は根強い。僕もその考えには一部同意なのだけれど、こういう「ある商品を1/10、1/00の価格で提供するにはどうしたらいいか。」という発想で、様々なプロダクト、サービスを捉え直してみる。という頭のトレーニングは面白いと思う。
先程紹介した社長に、「○○さんだったら、BOP市場を攻略するためにどういうアイディアを思いつきますか?」という挑戦的な問いを投げかけてみると、ものの30秒も立たないうちに、
- 商品を小分けして売る
- 商品をレンタルで提供する新サービスを提供する
- 不良在庫をタダで引きとって、安く売る
- 機能を特化して部品数を減らす
というアイディアが出てきて正直驚いた。BOPのことを知っていたのかも知れないけれど、たぶんしらなくても、同じようなアイディアは出てきたことだろう。価格破壊をおこすというのは、かつては日本の経営発想の専売特許のようなものだったのだから。
5分、10分と時間をとったらもっと様々なアイディアが生まれてきたことだろう。
商品を小分けして売るのは、味の素やヒンドゥスタン・リーバ・リミテッドで実現されていることだし、商品をレンタルするのは、農機具や発電機、自動車をレンタルするという発想でBOP市場では日常的に行われている。
不良在庫をタダで引きとって‥。という発想はなかったが、日本で売れなくなった中古車を海外でうるというのは、まさにこの発想からきているだろう。
機能を特化して部品数を減らすのは、ジャイブル・フットや、かつての日本の「ウォークマン」や「写ルンです」なんかがそれに当たるだろう。
もちろん、いくら売れても、1/10~1/100で売っていては、市場も利益も小さいままだけれど、そういう発想を形にしていく間に、市場は急速な勢いで拡大を続け、事業はいつしか採算ラインに乗る。その頃には現地の文化や商慣習に関して、他の企業よりもはるかに多くの知見を得ていることだろう。
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日本で100円の飲料を10円で生産するには?日本で6000円の省エネ製品の製造原価を300円にするには?前提条件が無ければ様々なアイディアが生まれる。
ただ、実際に、ワークで出るような柔軟な発想を現実のビジネスに落とし込めるかというとなかなか難しい。日本の製品群は、高機能・高付加価値の製品をつくるモデルに最適化されているケースが多く、現実に思考が引っ張られてしまうからだ。
実際には、現状の製造ラインや商品群を前提に考える必要がなく、生産コストもやり方によっては大きく抑えることができるので、BOP市場でビジネスをはじめるのは多くの企業にとってチャンスの側面は多い。
もともと日本の技術者やビジネスパースンは、強烈な目標を強いリーダーに提示された場合に、とんでもない質と量のアイディアを生み出し、それを実現してしまう傾向がある。正直奇跡みたいな力を持っていると思うし、そういう商品はプロジェクトXに紹介されるまでもなく、日常のものとして周囲に溢れている。現在はその力がBOPにまだ十分向いていないように感じるが‥
後はBOP市場の消費者ニーズをしっかり掴むことだけだが、あちこちでその芽も生まれ始めている。
優れたビジネスは本当に成功するまでは、水面下で動くものだ。
ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
著者:C.K.プラハラード
販売元:英治出版
発売日:2005-09-01
おすすめ度:
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※BOP市場を理解するためのバイブル的一冊。7/13に増補改訂版が出版されるようだ。
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
著者:クレイトン・クリステンセン
販売元:翔泳社
発売日:2001-07
おすすめ度:
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※イノベーションに関するバイブル的一冊。破壊的イノベーションの考え方はBOPビジネスを成功させる上でも外せない考え方だろう。
Comment
上の無茶振りにまじめに答える現場は伝統ですよね。
そしてそれは実行した人間の手柄にしてくれればいいんですが。。。
という中間管理職の愚痴はさておき、システム屋からみると
人=財産=コスト
の業界でこの問いは厳しい。
ASPやクラウドはひとつの答えだけど、それだけでシステム屋の腹はいっぱいにならない。
ちなみに海外開発(Off Shore)あくまで手足の問題。
頭脳は結局、高い費用をかけて維持する必要がある。
どうしたものだか。
「100万円のものを10万円で売る/しかも利益は出しなさい。」とても刺激になりました。
美容師は低所得者が多い割に美容師になりたい人は未だ多い状況です。ある美容求人雑誌では10年前のスタイリスト平均年収が300万に対して2013年も300万という調査結果がでました。
スタイリスト数は2万人から1万5000人へと減っているので業界全体の市場規模が少なくなっている現状を感じます。
この発送で大きくイノベーションを起こして多くの美容師が活躍できる業界へと改善させていきたいと考えています。
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