先日、以前からTwitter上ではやり取りさせていただいていた菊池さん(@t_kikuchi)とお会いする機会を得ました。時間もなかったので、お互いに簡単に取り組んでいるプロジェクトの話などをするにとどまったのですが、僕が感覚的に実践してきた「仕事の選び方」を「面白い」と評価頂いたので、この機会にまとめておこうと思います。

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若手社員の頃は、考えずともインプットとアウトプットのサイクルが効果的にまわる時期だと思います。仕事をすることそのものが、新しい知識や経験を得る場となり、それが次の仕事に生きてきます。

これがある程度経験を積むと、効果的にタイムマネジメントをして、インプットとアウトプットのバランスを整えていくことが、成果を産み出すために必要なスキルとなってきます。(大前研一の言葉を借りれば「自分を変えるために、時間配分を変える」例ですね。)

しかし、僕はそれ以外に取り組んでいる仕事のバランスも、短期-中期-長期ぐらいに分けて、意識してコントロールしていくのがいいのではないかと思います。これを図で表すと次のようになります。

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短期ビジネスとは、1年以内に収益に繋がるもの、中期ビジネスとは2~3年で結果に繋がるもの、長期ビジネスとはそれ以上の期間を経て収益に繋がるものをイメージしています。

例えば僕の場合、短期ビジネスとしては特定の企業のコンサルティングが挙げられます。比較的短期間で収入に繋がるけれど、自分の時間と能力によって上限が来てしまうビジネスです。事業を営む上で欠かせない仕事ではありますが、そればかりに取り組んでいると、事業そのものは楽にならない。というものです。


中期ビジネスとしては、新たな事業や商品を立ち上げるようなプロジェクトがこれにあたります。
この中期ビジネスに向いているのは、成功までに時間が必要なビジネスです。例えば、世間ではあまり誰も注目していないようなコンセプトや商材、規制緩和を待たねば利益を得られないビジネスに目をつけ、それを細々とでも扱い続けることが出来たら、市場が一気に拡大する時には、大きな先行者利益を得ることが出来ます。

僕が関わっているものとしては、BOPマーケットの開拓に長けた人材を育成する体験型研修「GIFT-YLP」の普及などが挙げられるでしょうか。


長期ビジネスとしては、(種類問わず)資産運用や、レベニューシェア型でのコンサルティング、会員制のビジネス等がこれに当たると思います。少しずれますが、個人のブランディングや個人メディアをつくるという活動もこれに含まれるかもしれません。いずれにしても、時間はかかるものの、ゆっくりと確実に成果が出ていくタイプのビジネスです。

基本的には下ごしらえに時間をかけているぶん、短期より中期、中期より長期のビジネスの方が得られる果実(収益)は大きくなる傾向にあると思います。(もちろん例外はありますが。)

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安定してビジネスを回していくために、短期/中期/長期で何に取り組むかは通常、経営者が考えてくれるもので、一社員として活動している間は目の前の業務をただ行っていればよい。というケースが大半です。

しかし、短期での成功を目指すあまり、過剰に投資をしてしまう経営者も見受けられますし、長い目で見れば取り組むべきなのに、短期の仕事に目を向けすぎて、将来の果実を育てるという活動に乏しい企業も多くあるように思います。その逆に、中長期の視点でばかりものを見て、短期的に危険な経営状況に陥ってしまうケースもあると思います。

経営者に限らず、個人でもこの視点は重要だと思います。

出来る営業担当者は、直近3ヶ月の売上ではなく、その後の3ヶ月のことを考えて行動し、継続して成果を生み出すと聞きますが、この期間をもう少し長く伸ばして、数年単位でも自分の仕事や稼ぎ方に関して設計、構想する人が増えるといいのではないかと思います。

実際には自分が得意なレンジというものがあって、短期でしかモノゴトを考えられない人、中期でしか考えられない人、長期でしか考えられない人と分かれていると思います。たくさんの従業員を抱える経営者は中~長期で考える人がほとんどだと思いますし、事業再生ファンドなどにつとめる人は短期~中期の思考が得意な気がします。

いずれにしても、今取り組んでいる仕事は、いつ果実を得るための仕事で、そのために投下していい時間や予算はいくらか。を常に考えて行動するようにしておくと、仕事も安定し、効果的に人生を設計出来るのではないかと思います。

もっとも、こんなことを述べている僕も、短期でモノゴトを考えがちなところが弱点なのですけどね。