「経済や経営を取り巻く外部環境の変化を読む力を磨くためにはどういった本を読めばいいんですかね?」
そんな質問をある人から受けた。以前行った経営に関するセミナーで、「外部環境の変化を利用し、自社の強みを活かし弱みを補う戦略を立てることが重要」みたいなことをいってしまったからだと思う。
まぁ、実際に外部環境の変化を読み取ることは、経営においてこの上なく重要なことではある(参考:とっても簡単な事業企画のたて方)のだけれど、その力を磨くためにはどうしたらいいかというとなかなか難しい。
「新聞を読めばいいんじゃない?」「政治・経済関係のブログをRSSリーダーに数十ほど登録して毎日読めばいいと思うよ。」と答えることは簡単だけれど、本当はそれだけでは不十分なのだろう。読んだ上で、自分なりの考察が出来るようにならなければ。それに、どういったポイントに注目して読めばいいかもある程度把握しておいたほうが、変化を読み取りやすくなる。
そういうわけで、真面目に外部環境の変化を読む力の磨き方について考えてみた。おそらくもっとも重要なのは、
の2点になるのではないだろうか。
そんな質問をある人から受けた。以前行った経営に関するセミナーで、「外部環境の変化を利用し、自社の強みを活かし弱みを補う戦略を立てることが重要」みたいなことをいってしまったからだと思う。
まぁ、実際に外部環境の変化を読み取ることは、経営においてこの上なく重要なことではある(参考:とっても簡単な事業企画のたて方)のだけれど、その力を磨くためにはどうしたらいいかというとなかなか難しい。
「新聞を読めばいいんじゃない?」「政治・経済関係のブログをRSSリーダーに数十ほど登録して毎日読めばいいと思うよ。」と答えることは簡単だけれど、本当はそれだけでは不十分なのだろう。読んだ上で、自分なりの考察が出来るようにならなければ。それに、どういったポイントに注目して読めばいいかもある程度把握しておいたほうが、変化を読み取りやすくなる。
そういうわけで、真面目に外部環境の変化を読む力の磨き方について考えてみた。おそらくもっとも重要なのは、
- 因果関係を把握する力
- 3つの大きな変化要因を抑える
の2点になるのではないだろうか。
■因果関係を把握する力
因果関係と言うのは、原因と結果の関係だ。成り立つためには、
因果関係を把握する力というのは、何らかの事実や事象(原因)を読み取り、何が起きるか、起きているか(結果)を推定する力だ。多くのアナリストや経済評論家、社会学者は、この原因と結果の因果関係を、センス良く解釈し、知識というスパイスを加えて説明することで飯を食っているんじゃないかと思う。
この因果関係をより直接的にビジネスに役立てているのは、金融商品のトレーダーだろう。経験者の手記などを読むと、ある事実をもとに何が起きるかを予測する力を持つのはもちろんのこと、ある事実から、何がおきて、その起きたことから更に何が発生するか‥という因果の連鎖の先の先を読んで儲ける。というようなことが書かれている。
こういった、因果関係を把握する力は外部環境を抑えるのにおおいに役立つ。因果関係という難しい言葉を使わなくとも、直感的に利用している経営者は多い。
例えば、
景気が悪化する → 採用を控える企業が増える。
これは、とてもわかりやすい因果関係の例だ。景気が悪化することがわかっていれば、例えば採用を支援している企業であれば来るべき業績悪化に備えた組織をつくっておかねばならないし、社労士事務所であれば、人員を解雇する企業の増加に備えて、より多くの仕事を受け、処理する体制を整えておく必要がある。
■3つの大きな変化要因を抑える
日経新聞や、経済系のブログを読むときは、抑えておくべき分野を絞っておくといいのではないかと思う。代表的な変化の要因としては、下記の3つが挙げられるのではないだろうか。
一番わかりやすく、将来が予測しやすいのが人口構造の変化。将来少子化になるのがわかっているのであれば、それに応じたビジネスを展開すればいい。また、現在若年人口が多く、教育水準が高く、政治が安定している国は、5~10年後に確実に第ニ、第三の中国やインドとなる。
規制緩和や強化も大きな変化だ。ひとつ規制が緩和されると、それに関連したビジネスが次々と立ち上がる。自分の業界に関連する規制の緩和や強化の動きは注意して追っておく必要があるだろう。
最後にテクノロジーの進化だ。テクノロジーの進化は業界構造を短期間で激的に変えてしまうインパクトを持つ。
以上3点に関連して、自社が属する業界と関連する業界、そして主要国の状況に関して抑えておけば、かなり外部環境の変化が読みやすく、因果関係を把握しやすくなるのではないかと思う。
■最後に‥。因果関係と世界を知る面白さ
ビジネス書ではないけれど、因果関係を壮大なスケールで解き明かした本に「銃・ 病原菌・鉄」がある。これは、1998年にピュリッツアー賞を受賞した本だけれど、僕はこの本に、因果関係を解き明かすことの面白さを感じた。
たとえばこの本では次のような問いが立てられる。
「何故、スペインがインカ帝国を征服出来て、その逆ではなかったのか?」
僕も含め多くの人は因果の不思議を解き明かそうとせず、人類がその大陸に進出した時が遅かったから。とか、厳しい気候の中でヨーロッパ人は技術を発展させたから。とか思いつきで答えてしまいそうだ。本当にそれが事実であれば、人類発祥の地であるアフリカが世界中の国を征服していたはずだし、カナダなどでも同様の技術発展が生じたはずだ。
この本では、その究極の要因を、ヨーロッパを含むユーラシア大陸が東西方向に長く伸びる大陸だったから。と結論づけている。
それが、栽培に適した食物の種が発見され、容易に広い地域に広まった理由であり、それが、多くの作物の収穫と家畜の確保を可能にし、それが多くの人口を養う結果になった。と述べている。多くの人口は働かないで住む専門職を産み出すことに繋がり、それが技術や政治の発展を促し、ついには大洋に出て、他の大陸を侵略することにつながったのだ。と。
ものごとの因果を把握すると言うことは、かくも面白い。
因果を把握する力と、大きな変化要因をおさえる力を磨けば、現在を理解し未来を予測する手助けになる。仕事や人生にもきっと役立つに違いない。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
著者:ジャレド ダイアモンド
販売元:草思社
発売日:2000-10-02
おすすめ度:
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※文化人類学の傑作であり、因果関係を読み取ることの面白さを教えてくれる本だと思います。
[新版] MBAクリティカル・シンキング
著者:グロービス・マネジメント・インスティチュート
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2005-11-05
おすすめ度:
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※因果関係に代表される思考の技術を大変わかりやすく教えてくれる本です。
因果関係と言うのは、原因と結果の関係だ。成り立つためには、
- 時間的順序が正しいこと
- 相関関係が存在すること
- 第三因子が存在しないこと
因果関係を把握する力というのは、何らかの事実や事象(原因)を読み取り、何が起きるか、起きているか(結果)を推定する力だ。多くのアナリストや経済評論家、社会学者は、この原因と結果の因果関係を、センス良く解釈し、知識というスパイスを加えて説明することで飯を食っているんじゃないかと思う。
この因果関係をより直接的にビジネスに役立てているのは、金融商品のトレーダーだろう。経験者の手記などを読むと、ある事実をもとに何が起きるかを予測する力を持つのはもちろんのこと、ある事実から、何がおきて、その起きたことから更に何が発生するか‥という因果の連鎖の先の先を読んで儲ける。というようなことが書かれている。
こういった、因果関係を把握する力は外部環境を抑えるのにおおいに役立つ。因果関係という難しい言葉を使わなくとも、直感的に利用している経営者は多い。
例えば、
景気が悪化する → 採用を控える企業が増える。
これは、とてもわかりやすい因果関係の例だ。景気が悪化することがわかっていれば、例えば採用を支援している企業であれば来るべき業績悪化に備えた組織をつくっておかねばならないし、社労士事務所であれば、人員を解雇する企業の増加に備えて、より多くの仕事を受け、処理する体制を整えておく必要がある。
■3つの大きな変化要因を抑える
日経新聞や、経済系のブログを読むときは、抑えておくべき分野を絞っておくといいのではないかと思う。代表的な変化の要因としては、下記の3つが挙げられるのではないだろうか。
- 人口動態の変化(教育水準/政治の安定性/産業)
- 規制の緩和、強化
- テクノロジーの進化
一番わかりやすく、将来が予測しやすいのが人口構造の変化。将来少子化になるのがわかっているのであれば、それに応じたビジネスを展開すればいい。また、現在若年人口が多く、教育水準が高く、政治が安定している国は、5~10年後に確実に第ニ、第三の中国やインドとなる。
規制緩和や強化も大きな変化だ。ひとつ規制が緩和されると、それに関連したビジネスが次々と立ち上がる。自分の業界に関連する規制の緩和や強化の動きは注意して追っておく必要があるだろう。
最後にテクノロジーの進化だ。テクノロジーの進化は業界構造を短期間で激的に変えてしまうインパクトを持つ。
以上3点に関連して、自社が属する業界と関連する業界、そして主要国の状況に関して抑えておけば、かなり外部環境の変化が読みやすく、因果関係を把握しやすくなるのではないかと思う。
■最後に‥。因果関係と世界を知る面白さ
ビジネス書ではないけれど、因果関係を壮大なスケールで解き明かした本に「銃・ 病原菌・鉄」がある。これは、1998年にピュリッツアー賞を受賞した本だけれど、僕はこの本に、因果関係を解き明かすことの面白さを感じた。
たとえばこの本では次のような問いが立てられる。
「何故、スペインがインカ帝国を征服出来て、その逆ではなかったのか?」
僕も含め多くの人は因果の不思議を解き明かそうとせず、人類がその大陸に進出した時が遅かったから。とか、厳しい気候の中でヨーロッパ人は技術を発展させたから。とか思いつきで答えてしまいそうだ。本当にそれが事実であれば、人類発祥の地であるアフリカが世界中の国を征服していたはずだし、カナダなどでも同様の技術発展が生じたはずだ。
この本では、その究極の要因を、ヨーロッパを含むユーラシア大陸が東西方向に長く伸びる大陸だったから。と結論づけている。
それが、栽培に適した食物の種が発見され、容易に広い地域に広まった理由であり、それが、多くの作物の収穫と家畜の確保を可能にし、それが多くの人口を養う結果になった。と述べている。多くの人口は働かないで住む専門職を産み出すことに繋がり、それが技術や政治の発展を促し、ついには大洋に出て、他の大陸を侵略することにつながったのだ。と。
ものごとの因果を把握すると言うことは、かくも面白い。
因果を把握する力と、大きな変化要因をおさえる力を磨けば、現在を理解し未来を予測する手助けになる。仕事や人生にもきっと役立つに違いない。

著者:ジャレド ダイアモンド
販売元:草思社
発売日:2000-10-02
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※文化人類学の傑作であり、因果関係を読み取ることの面白さを教えてくれる本だと思います。
![[新版] MBAクリティカル・シンキング](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51GARGDRY1L._SL160_.jpg)
著者:グロービス・マネジメント・インスティチュート
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2005-11-05
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※因果関係に代表される思考の技術を大変わかりやすく教えてくれる本です。
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また遊びにきます。
ありがとうございます。
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