起業の〈大きな物語〉が信じられない時代の起業・働き方を読んだ。非常に考えさせられる内容だった。
石橋さんの言葉から気になった言葉をピックアップしてみたい。
上場することによって、地位やお金、その他様々なものを得られることは確かだ。しかし一方で失われるものもある。例えば個人の意思決定の自由度や時間、プライバシーなどだろうか。時には会社のビジョンですら奪われてしまうこともあるかもしれない。
また、現在のような景気低迷下では上場を目指すことのハードルが上がっていることも、「大きな物語」を目指すことを踏みとどまらせる一因になっていることだろう。
「(起業の)大きな物語」「小さな物語」というネーミングは絶妙だ。石橋さんはhigh growth venture(上場を目指すVenture)を「大きな物語」と呼び、lifestyle venture(自由を得るための起業)に「小さな物語」という名を与えている。
「大きな起業」を実現する起業家の登場を待望する「老人」たちが取り組むべきことは、起業をよびかけることではなくて、規制を緩和することだろう。それが結果的に「大きな起業」を生み出すことにつながる。
例えば、若者の起業意欲が減退している根拠として、IPO(新規上場)数の低下が持ち出されることがある。しかし、IPO数の減少をもって、起業家精神の減退の根拠とする考えには疑問を感じる。
IPOの増減は景気及び法令と密接な関係があり、起業家精神との関係は不明だ。実際IPOに至るまで、短い会社で5~6年はかかる。GoogleやAppleと戦うのは、ソフトバンクや楽天、DeNAであり、これから起業する若者ではないともいえる。
現在の景気低迷や上場数の少なさを嘆くのであれば、短期的には規制緩和がもっとも有効な手段だ。IPOと法令は、あずさ監査法人も示唆しているように
(1)規制の強化→(2)IPO市場の低迷→(3)市場活性化のための規制緩和→(4)問題企業の発生
といったサイクルを繰り返しており、それがIPO数の増減に影響を与えている。規制緩和は、同時に問題発生の可能性も生み出すが、景気回復が現政権の一番の課題であるならば、規制緩和に取り組むべく力を結集することが大事なのだろう。
景気が回復すれば、小さな起業(自由を得るための起業)をした人の中から事業を拡大してより多くのリターンを得ていこうと考える人も出てくることだろう。また、小さな起業ではなく、大きな起業を目指す人も大勢出てくることだろう。(それこそ、日経ビジネスいうところのバブル時代に学生生活を送った「肉食」起業家たちのように。)
事業所・企業統計調査によると、1991年から2006年にかけて激減したのは個人事業主(375万→274万)であって、法人の事業所数は高止まり(276万→294万)している。(2006年のデータが最新)
これは、個人事業主が小規模の法人に流れただけとも考えられるが、起業しやすい環境を整え、会社設立を身近なものにしてきたことは、ひとつの成果と言えるだろう。企業というものに慣れ親しんだ、今の世代は見ようによってはブレイク寸前ともいえる。(しかも、お金を出したい人はたくさんいる。)
「起業家精神不在」「大きな企てや志」不在を嘆くのはやめ、今の状況を肯定的に活用する道を考えるのが良いのではないだろうか。
石橋さんの言葉から気になった言葉をピックアップしてみたい。

zerobase: 上場とは、それが起業家に幸福をもたらすという「大きな物語」だ、と捉えたとき、その有効性をいまだに信じるVCと、もはや信じていないウェブ起業家の間に、コミュニケーションが成立しない状況が散見される。これは変形したジェネレーションギャップか。
上場することによって、地位やお金、その他様々なものを得られることは確かだ。しかし一方で失われるものもある。例えば個人の意思決定の自由度や時間、プライバシーなどだろうか。時には会社のビジョンですら奪われてしまうこともあるかもしれない。
また、現在のような景気低迷下では上場を目指すことのハードルが上がっていることも、「大きな物語」を目指すことを踏みとどまらせる一因になっていることだろう。

zerobase: 20世紀的な起業家像と、21世紀的なそれを、日経ビジネスは「肉食」「草食」とレッテル貼りした。たしかに、ロスジェネ起業家の起業観は、バブル期の学生起業家のそれとは大違い。この両者に「大きな物語」「小さな物語」という言葉を与えたくなる。
「(起業の)大きな物語」「小さな物語」というネーミングは絶妙だ。石橋さんはhigh growth venture(上場を目指すVenture)を「大きな物語」と呼び、lifestyle venture(自由を得るための起業)に「小さな物語」という名を与えている。

zerobase: 一大産業を生み出す起業家の登場を待望する「老人」達に違和感。もはや、そのような古き良き時代の夢を見るべきではない。むしろ小さな起業が無数に起こるフリーエージェント化、ノマドワーキング化の状況を肯定したほうがよいのではないかと思っている。
「大きな起業」を実現する起業家の登場を待望する「老人」たちが取り組むべきことは、起業をよびかけることではなくて、規制を緩和することだろう。それが結果的に「大きな起業」を生み出すことにつながる。
例えば、若者の起業意欲が減退している根拠として、IPO(新規上場)数の低下が持ち出されることがある。しかし、IPO数の減少をもって、起業家精神の減退の根拠とする考えには疑問を感じる。
(資料: あずさ監査法人ホームページ 株式公開(IPO)に関する情報)
IPOの増減は景気及び法令と密接な関係があり、起業家精神との関係は不明だ。実際IPOに至るまで、短い会社で5~6年はかかる。GoogleやAppleと戦うのは、ソフトバンクや楽天、DeNAであり、これから起業する若者ではないともいえる。
現在の景気低迷や上場数の少なさを嘆くのであれば、短期的には規制緩和がもっとも有効な手段だ。IPOと法令は、あずさ監査法人も示唆しているように
(1)規制の強化→(2)IPO市場の低迷→(3)市場活性化のための規制緩和→(4)問題企業の発生
といったサイクルを繰り返しており、それがIPO数の増減に影響を与えている。規制緩和は、同時に問題発生の可能性も生み出すが、景気回復が現政権の一番の課題であるならば、規制緩和に取り組むべく力を結集することが大事なのだろう。
景気が回復すれば、小さな起業(自由を得るための起業)をした人の中から事業を拡大してより多くのリターンを得ていこうと考える人も出てくることだろう。また、小さな起業ではなく、大きな起業を目指す人も大勢出てくることだろう。(それこそ、日経ビジネスいうところのバブル時代に学生生活を送った「肉食」起業家たちのように。)
事業所・企業統計調査によると、1991年から2006年にかけて激減したのは個人事業主(375万→274万)であって、法人の事業所数は高止まり(276万→294万)している。(2006年のデータが最新)
これは、個人事業主が小規模の法人に流れただけとも考えられるが、起業しやすい環境を整え、会社設立を身近なものにしてきたことは、ひとつの成果と言えるだろう。企業というものに慣れ親しんだ、今の世代は見ようによってはブレイク寸前ともいえる。(しかも、お金を出したい人はたくさんいる。)
「起業家精神不在」「大きな企てや志」不在を嘆くのはやめ、今の状況を肯定的に活用する道を考えるのが良いのではないだろうか。