今日、東京から富山に帰る新幹線の中でファイナンスに関する本を読んでいたのだけれど、途中から、
「やっぱファイナンスについて楽しく理解するにはモノポリーが一番だよなぁ…。」
なんて面白いことを思いついてしまったものだから、モノポリーをつかってどうやってファイナンスを説明するか考えることに集中してしまって、全然本を読み進めることが出来なかった。実際には、モノポリーで説明できないファイナンスの要素なんて山のようにあるのだけど、それでもやっぱりモノポリーは基礎的なファイナンスについて知るにはいいゲームだと思うんですよね。
なんといっても楽しいしね。
そんなわけで、少しモノポリーの思い出を語ってみようと思う。
1)キャッシュを保有している人は強い
僕がモノポリーをはじめてやったのは中学1年生のとき。部活の友達がモノポリーという有名なボードゲームを買ったというので、時間だけは有り余るほどあった地方の中学生の僕たちは部活の仲間で集まって、そいつの家に集まったのである。
※余談だが、そのモノポリーを買った友人のことを、僕を含め部活のメンバーは中学時代散々からかっていた(カバ男というあだ名だった)が、ハッキリいって天才だった。お年玉に手をつけず、郵便貯金で運用した資産(つまり利子)でモノポリーを買ったのだから。当時は郵貯の定期預金は利子率も相当高く、彼は複利の凄さを力説していたが、僕も含む部活の仲間でその凄さをわかるやつなんて(あたりまえのことだけれど)一人もいなかった。今、彼は自分の弁護士事務所を経営し、おおいに豊かな生活を送っている。
モノポリーのことはよく知らなかったけれど、すごろくのようなゲーム盤上にある土地を買って家を建てて、そこに止まった他のプレイヤーから家賃収入を得るゲームだということはなんとなくわかったので、僕たちはマスに泊まるたびに、(だいたいは)土地の権利を買っていた。
しかし、ひとりだけ土地も買わずにどんどんゲーム盤上を一周する友人Aがいた。彼は、土地を買わず、ぐんぐんキャッシュを貯めた。(モノポリーでは1周するたびに200ドルのサラリーがもらえる。)
そんな彼を、僕たちは「ゲームを知らないやつめ…。これはお子様向けのすごろくじゃないんだぜ。。」と内心冷ややかな目で見ていたのだけれど、2,3週して潤沢なキャッシュを貯め込んだ彼の逆襲はそこからはじまった。(ちなみにその間、他のプレイヤーは適当に止まったところの土地をかったり、家を立てたりして、キャッシュはほとんどない状態だった。)
僕を含め他のプレイヤーは土地や家を買いすぎて、ほとんどキャッシュを持っていない。だから他の人の土地にとまったり、何かトラブルがあると、いきなりキャッシュが底をつきて、家や土地を安値で売るハメになったり、抵当に入れるハメになったりしたのだ。
彼は、潤沢なキャッシュがあるため、少々のトラブルではびくともしない。狙いを絞り、欲しいと思った土地に止まった場合だけ、その土地を買う。或いはお金に困った他のプレイヤーから安値で買い上げる。その回は圧倒的大差で彼が一位となった。考えてやったのか、無意識のうちにやったのかわからないけれど、僕たちは(そのモノポリーの所有者である天才君も含め)おおいに敗北感を味わったのである。
これは、彼以外のプレイヤーが土地を買った後、家を建てることを急ぎすぎたためにおこった現象で、上級者たちの間ではこのような勝負になることはまずない。しかし、僕はこの経験からとても大切なことを学んだ。
そういうことだ。となりの億万長者に書かれている、蓄財優等生になることの重要性はここでも示されている。
「やっぱファイナンスについて楽しく理解するにはモノポリーが一番だよなぁ…。」
なんて面白いことを思いついてしまったものだから、モノポリーをつかってどうやってファイナンスを説明するか考えることに集中してしまって、全然本を読み進めることが出来なかった。実際には、モノポリーで説明できないファイナンスの要素なんて山のようにあるのだけど、それでもやっぱりモノポリーは基礎的なファイナンスについて知るにはいいゲームだと思うんですよね。
なんといっても楽しいしね。
そんなわけで、少しモノポリーの思い出を語ってみようと思う。
1)キャッシュを保有している人は強い
僕がモノポリーをはじめてやったのは中学1年生のとき。部活の友達がモノポリーという有名なボードゲームを買ったというので、時間だけは有り余るほどあった地方の中学生の僕たちは部活の仲間で集まって、そいつの家に集まったのである。
※余談だが、そのモノポリーを買った友人のことを、僕を含め部活のメンバーは中学時代散々からかっていた(カバ男というあだ名だった)が、ハッキリいって天才だった。お年玉に手をつけず、郵便貯金で運用した資産(つまり利子)でモノポリーを買ったのだから。当時は郵貯の定期預金は利子率も相当高く、彼は複利の凄さを力説していたが、僕も含む部活の仲間でその凄さをわかるやつなんて(あたりまえのことだけれど)一人もいなかった。今、彼は自分の弁護士事務所を経営し、おおいに豊かな生活を送っている。
モノポリーのことはよく知らなかったけれど、すごろくのようなゲーム盤上にある土地を買って家を建てて、そこに止まった他のプレイヤーから家賃収入を得るゲームだということはなんとなくわかったので、僕たちはマスに泊まるたびに、(だいたいは)土地の権利を買っていた。
しかし、ひとりだけ土地も買わずにどんどんゲーム盤上を一周する友人Aがいた。彼は、土地を買わず、ぐんぐんキャッシュを貯めた。(モノポリーでは1周するたびに200ドルのサラリーがもらえる。)
そんな彼を、僕たちは「ゲームを知らないやつめ…。これはお子様向けのすごろくじゃないんだぜ。。」と内心冷ややかな目で見ていたのだけれど、2,3週して潤沢なキャッシュを貯め込んだ彼の逆襲はそこからはじまった。(ちなみにその間、他のプレイヤーは適当に止まったところの土地をかったり、家を立てたりして、キャッシュはほとんどない状態だった。)
僕を含め他のプレイヤーは土地や家を買いすぎて、ほとんどキャッシュを持っていない。だから他の人の土地にとまったり、何かトラブルがあると、いきなりキャッシュが底をつきて、家や土地を安値で売るハメになったり、抵当に入れるハメになったりしたのだ。
彼は、潤沢なキャッシュがあるため、少々のトラブルではびくともしない。狙いを絞り、欲しいと思った土地に止まった場合だけ、その土地を買う。或いはお金に困った他のプレイヤーから安値で買い上げる。その回は圧倒的大差で彼が一位となった。考えてやったのか、無意識のうちにやったのかわからないけれど、僕たちは(そのモノポリーの所有者である天才君も含め)おおいに敗北感を味わったのである。
これは、彼以外のプレイヤーが土地を買った後、家を建てることを急ぎすぎたためにおこった現象で、上級者たちの間ではこのような勝負になることはまずない。しかし、僕はこの経験からとても大切なことを学んだ。
- 知識や戦略がないままに、やみくもに投資をするのは危険。
- 自由に使えるキャッシュ(流動資産)を保有している人は強い。
そういうことだ。となりの億万長者に書かれている、蓄財優等生になることの重要性はここでも示されている。
2)リスクとリターンをしっかりと計算する
僕たちの敗因のひとつは、土地を買っては家を1件ずつ地道に立てていたことにもあるだろう。下記の図は土地への投資に対して、その土地に他のプレイヤーが止まったら、どれだけの料金を徴収出来るかを表にしたものだ。
たとえば、インディアナ通りの場合、土地を持っているだけだと、そのマスに他のプレイヤーが止まっても、18$しかもらえない。(220$も投資しているも関わらず、だ!)それに対して、ホテル(家を5つ)を建てていたら、投資額は970$かかるが、一回他のプレイヤーが止まるだけで1050$も収入が得られる。それまでに行った投資が一回(正確には0.92回の停泊)でもとがとれるのだ。
当時はそんなことは露も知らなかったが、グラフを見て頂ければわかるように、モノポリーの各土地は家が3つたったあたりから急速に収益性が高まるのだ。それまでは3回、4回と止まってもらわなければもとがとれなかったのに、家が3つ建ってからは一回で元が取れるようになる。(実際にモノポリー上級者は通常は家を一気に3つたてる。)
ゲームの長さにもよるけれど、キャッシュが尽きる前に、他のプレイヤーが自分の土地に止まってくれるかどうかはわからない。これはリスクだ。1回で投資額が回収出来るのであれば、投資回収までの期間を短くし、リスクを減らすことが可能になる。お金もないのに、ひとつふたつとちまちまと家を建てていたから、僕たちは負けてしまったのだ。
投資額と投資回収までの期間(それとリスク)に関して計算するちょっとした知恵があれば、無様な負け方をすることもなかっただろう。
3)目には見えない大事な情報に気付くことが出来るかどうか
モノポリーでは、基本的に投資に多くのお金がかかる土地ほど、そこに止まった他プレイヤーから得られる資金量は大きくなる。では、高い土地はいい土地なのか。というとそういうことはない。目に見えにくいもうひとつの土地の価値に、その土地への止まりやすさがある。
たとえば、モノポリーのゲーム盤は次のようになっているけれど、オレンジ色の土地が優良物件、グリーンの土地が不良物件といわれる。グリーンの土地の方が高い土地で、止まった時のリターンも大きくなるのだが、止まりやすさが違うのだ。
モノポリーは毎回プレイヤーがサイコロを2個振りながら進むのだが、7がでる確率がもっとも高く(16.7%)、2と12がでる確率がもっとも低い(2.8%)。
そしてゲーム盤の特徴として刑務所というマスがあり、カードを引いたり刑務所に行けのマスに止まることによってことある毎に刑務所に入らなければいけなくなるのだ。他のマスに比べ刑務所のマスからスタートする確率は非常に高く、そこから6,8,9という7の次に出やすいマス目にオレンジの物件がある。これが優良物件と言われる所以だ。(逆に刑務所に行けのマスがあるせいで、止まりにくくなるのが、グリーンの土地だ。)
現実世界にも、誰の目にもわかりやすい情報と、目には見えないが大事な情報がある。
その、目には見えないが大事な情報に気付くことが出来るかどうかが、ビジネスを成功させる上で、そして生きていく上で大事な情報となるのだろう。
----
さて、モノポリーから学べることはまだ他にもたくさんある。
交渉の妙味や独占に向けた戦略の重要性、相手のコマの位置に合わせて細かく物件を抵当にいれるなどのマイクロマネジメントの重要性。そういうものがたくさん学べる。思っている以上に楽しいと思います。
だから、
皆さん、
いつかどこかで僕とモノポリーしてください。
※追記
タイトルを思わず「ファイナンス」としてしまいましたが、正確にはモノポリーで資金の調達が学べるというわけではないので、ファイナンスというタイトルは不適切かもしれませんね。「ビジネス」あるいは「投資のキホン」ぐらいにしておけばよかったかもしれません。
モノポリー
販売元:タカラトミー
発売日:2008-04-24
おすすめ度:
クチコミを見る
※最高のボードゲームのひとつです。
モノポリーで学ぶお金持ちの法則
著者:アラン・アクセルロッド
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2004-03-05
おすすめ度:
クチコミを見る
※こんな本があるんですね。読んだことなかったですが、このエントリを書いたついでに買ってみました。
僕たちの敗因のひとつは、土地を買っては家を1件ずつ地道に立てていたことにもあるだろう。下記の図は土地への投資に対して、その土地に他のプレイヤーが止まったら、どれだけの料金を徴収出来るかを表にしたものだ。
たとえば、インディアナ通りの場合、土地を持っているだけだと、そのマスに他のプレイヤーが止まっても、18$しかもらえない。(220$も投資しているも関わらず、だ!)それに対して、ホテル(家を5つ)を建てていたら、投資額は970$かかるが、一回他のプレイヤーが止まるだけで1050$も収入が得られる。それまでに行った投資が一回(正確には0.92回の停泊)でもとがとれるのだ。
当時はそんなことは露も知らなかったが、グラフを見て頂ければわかるように、モノポリーの各土地は家が3つたったあたりから急速に収益性が高まるのだ。それまでは3回、4回と止まってもらわなければもとがとれなかったのに、家が3つ建ってからは一回で元が取れるようになる。(実際にモノポリー上級者は通常は家を一気に3つたてる。)
ゲームの長さにもよるけれど、キャッシュが尽きる前に、他のプレイヤーが自分の土地に止まってくれるかどうかはわからない。これはリスクだ。1回で投資額が回収出来るのであれば、投資回収までの期間を短くし、リスクを減らすことが可能になる。お金もないのに、ひとつふたつとちまちまと家を建てていたから、僕たちは負けてしまったのだ。
投資額と投資回収までの期間(それとリスク)に関して計算するちょっとした知恵があれば、無様な負け方をすることもなかっただろう。
3)目には見えない大事な情報に気付くことが出来るかどうか
モノポリーでは、基本的に投資に多くのお金がかかる土地ほど、そこに止まった他プレイヤーから得られる資金量は大きくなる。では、高い土地はいい土地なのか。というとそういうことはない。目に見えにくいもうひとつの土地の価値に、その土地への止まりやすさがある。
たとえば、モノポリーのゲーム盤は次のようになっているけれど、オレンジ色の土地が優良物件、グリーンの土地が不良物件といわれる。グリーンの土地の方が高い土地で、止まった時のリターンも大きくなるのだが、止まりやすさが違うのだ。
モノポリーは毎回プレイヤーがサイコロを2個振りながら進むのだが、7がでる確率がもっとも高く(16.7%)、2と12がでる確率がもっとも低い(2.8%)。
そしてゲーム盤の特徴として刑務所というマスがあり、カードを引いたり刑務所に行けのマスに止まることによってことある毎に刑務所に入らなければいけなくなるのだ。他のマスに比べ刑務所のマスからスタートする確率は非常に高く、そこから6,8,9という7の次に出やすいマス目にオレンジの物件がある。これが優良物件と言われる所以だ。(逆に刑務所に行けのマスがあるせいで、止まりにくくなるのが、グリーンの土地だ。)
現実世界にも、誰の目にもわかりやすい情報と、目には見えないが大事な情報がある。
その、目には見えないが大事な情報に気付くことが出来るかどうかが、ビジネスを成功させる上で、そして生きていく上で大事な情報となるのだろう。
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さて、モノポリーから学べることはまだ他にもたくさんある。
交渉の妙味や独占に向けた戦略の重要性、相手のコマの位置に合わせて細かく物件を抵当にいれるなどのマイクロマネジメントの重要性。そういうものがたくさん学べる。思っている以上に楽しいと思います。
だから、
皆さん、
いつかどこかで僕とモノポリーしてください。
※追記
タイトルを思わず「ファイナンス」としてしまいましたが、正確にはモノポリーで資金の調達が学べるというわけではないので、ファイナンスというタイトルは不適切かもしれませんね。「ビジネス」あるいは「投資のキホン」ぐらいにしておけばよかったかもしれません。
モノポリー
販売元:タカラトミー
発売日:2008-04-24
おすすめ度:
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※最高のボードゲームのひとつです。
モノポリーで学ぶお金持ちの法則
著者:アラン・アクセルロッド
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2004-03-05
おすすめ度:
クチコミを見る
※こんな本があるんですね。読んだことなかったですが、このエントリを書いたついでに買ってみました。
Comment
僕もちょうど中学生の頃に友人4人とモノポリーにはまって、毎回煮え湯を飲まされたものです。
オレンジと緑の優良・不良は感覚的には把握していましたが、こうして書いてあるとなるほどなーと面白く読ませてもらいました。
しかも緑がリスキーだとわかっていながら、あえてそこで攻めるという戦略も何もないゲーム進行。
面白かったです!
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