1ヶ月ほど前から、週に1度のペースでミーティングのようなものをしている友人がいます。
彼は、実現したいビジネスがあって、今はその準備をしているみたいなんですね。そういう意味では彼は半ばフリーターのような立場です。明るい笑顔の気持ちのいい若者です。

ミーティングの本題と、彼の「ビジネスの準備」は直接関係がないので、これまで真剣にどういうことをやっているのか聞いていなかったのですが、つい先日話を聞いてびっくりしました。ちょっと話は前後しますが、ミーティングの合間にほんの数分だけ話す彼との会話をはじめた会った頃からさかのぼってご紹介したいと思います。

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■1ヶ月前

僕:「○○さんは、今どんなビジネスにに取り組んでいるんですか?」

彼:「動画を利用した~~というようなビジネスをしたくて、今、勉強してるところです。まずはサイトをつくらなきゃいけないと思ってまして、HTMLの勉強をしているところです。なかなか難しいですね。」

僕:「そうなんだ。ウェブサイトつくったり、それ系の仕事したことってあるの?」

彼:「いや、それが全然なんですよ。一からの勉強なので、なかなか大変です。難しいですよねぇ~。今はなんとなくサイトをひとつ作ってみているところです。」

僕:「つくりながら勉強するのが一番だよね(←ちょっと偉そう)。どこかスクールとか通ってるの?」

彼:「今は本を読みながら、独学でやってます。」

僕:「そっか、頑張ってね。ビジネスのほうも軌道にのったらまた教えてくださいね。(しかし、HTMLの勉強を独学でしている状況だと、実際にサービスが始まるのは随分先のことになりそうだなぁ…)


■3週間前

僕:「どう、勉強のほうは進んでる?」

彼:「いやー。ちょっと、以前お話したビジネスのサイトはまだなんですが、練習がてら、簡単なサイトをひとつオープンしたところです。ちょっといろいろ勉強しなきゃいけないことが多いんですけど、手一杯ですねー。」

僕:「あ、前つくってるっていってたサイトオープンしたんですね。それは良かった。今度見せてくださいね。(←相変わらず偉そうなfukui。)」

彼:「はい、是非!!」


■先日

僕:「(ハッパをかけるつもりで)ビジネスのほうは順調?」

彼:「(ニコリ)おかげさまで!最近、順調になってきました。」

僕:「おぉーやりましたね。儲かってる?(仕事はじめた直後は厳しいもんだけど、これだけ笑顔だったら儲かる見込みも出てきたのかな)」

彼:「そうですね。昨日は○件ほど注文がきました!(にこり)」

僕:「(!…注文がきた?どういうことだろう。今は勉強中で、練習でつくったサイトをオープンしたって段階じゃあ…)注文がきたって、何の注文がきたの?」

彼:「あぁ、実は前お話していたビジネスの方はまだ始めることが出来てなくて、とりあえず練習がてら、以前つくったサイトでECみたいなことを始めたんですよ。こういうサイトです。(といってURLを見せる)」

僕:「おぉ、なかなかしっかりしたサイトですね。(確かに独学で勉強して作ったサイトらしい粗さはあるけれど、思ったよりしっかりしてるなぁ。)へー。こういう商品扱ってるんだ!結構いい値段するね。○件きたって、売上10万超えるよ?

彼:「いやー。やりました(にっこり)

僕:「利益率ってどれぐらいなの?」

彼:「だいたい50%ってところですね。」

僕:「(!…50%って…昨日だけで5万円近くの利益?でもまさか毎日そんなに注文きてるわけじゃないよね。)オープンって3週間前だよね?オープンしてから平均どれぐらい注文がきてるの?」

彼:「平均すると、○件ぐらいですね。」

僕:「え、何。ということは一日5万ぐらいコンスタントに売れてるわけ?すごいね。広告とか出してるの。(一人でやってて、3週間で売上100万、利益50万か…。)」

彼:「えぇ、今は集客を○○と○○広告に頼ってます。」

僕:「へーー。でも凄いなぁ。やりましたね。これでタネ銭をつくって、例のビジネスをはじめるの?」

彼:「これだけだと、稼げる資金に限界があるので、次は○○と○○(商材)やろうと思ってます。あ、そうだfukuiさん、僕に投資教えてください!全然自分やったことないんです。勉強したいです。」

僕:「いや、投資ってあなた、十分稼いでるじゃない……。そっちに集中しなよ…。」

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どうでもいいんですが、彼と話したあと、俺、爆発しろ!って思いましたね。ホント…何、先輩面して偉そうに聞いてんだ、彼は立派な起業家じゃないかと…。(一応、年齢的に先輩ではあるのですが。)

■買う人はいても、売ろうと考える人は少ない

つい先日、ホリエモンがブログで起業してほぼ確実に成功する方法を書いていた。それによると、ほぼ確実に成功するためには、次のことをすればいいらしい。(ちなみに、ホリエモンファンの僕はアゴラ起業塾というセミナーでホリエモンが講演したときに話を聞きにいったのだけれど、ほぼ同様のことを話していた。)

利益率の高い商売
在庫を持たない商売
定期的に一定額の収入が入ってくる商売
資本ゼロあるいは小資本で始められる商売


をやればほぼ確実にうまくいくと指南してきた。
これは正しいと思うのだが、どうもたまに上手くいかない人がいるみたいだ。
なぜだろう?と疑問に思って考えてみた。

で、これなんじゃないか?と思ったことが一つだけあった。
それは睡眠時間以外のほぼ全てを仕事に使っていないということじゃないかと。

僕が凄いなと思ったのは、独学でECサイトをオープンした彼が、このホリエモンが述べている、起業してほぼ確実に成功するための4つの要素をしっかりと抑えていることだ。しかも、彼の場合はバッチリ睡眠時間もとっているように見える。(何故なら、週に一度の僕達とのミーティングは彼のビジネスとはまったく関係のないものだからだ。それに、彼の笑顔と肌つやの良さは、すべてを捧げて仕事に没頭している人にはとても思えない。)

彼自身が時間を使うことはこれからほとんど無くなるのだから(問い合わせから発送まで完全アウトソーシングしてもそんなにたいして費用はかからない。)、第二、第三の事業に取組むことだって可能だろう。川から村に水道をひくビジネスを実現しているのだ。(参考:どのような会社に入るべきか/どのような事業を興すべきか

ちょっと彼のビジネスを見てみよう。

  • 利益率 … 50%。仕入れ値がかかるビジネスとしては十分高い。
  • 在庫を持たない … 持ってない。注文を受けてから仕入れる。
  • 定期的に一定額の収入 … 今のところコンスタントに複数の顧客からオーダーがあるようだ。
  • 資本ゼロ、あるいは小資本で始められる … ウェブサイトを自前でつくっただけ。お金はいらない。

驚くほど、ホリエモンのいう起業してほぼ確実に成功する方法を満たしている。あえて付け加えていうのであれば、商材の選び方が素晴らしい。普遍的なニーズを満たすもので、お金持ちほど好むもの。(商材が特定されても彼のビジネスの邪魔になってしまうので、これぐらいにしておきます。)

ヤフーで良く、ナバホ族のシャンプーや、加齢臭が消える石鹸などの宣伝をやってますが、あんなアヤシイもの誰が買うの?とおもっちゃいますけど、Yahooに出続けている以上、相当買っている人がいるんでしょうね。ビリー・ブートキャンプも、深夜帯とはいえ、あんなにテレビで宣伝してていいの。って思ってましたけど、猛烈に売れてたんでしょうね。彼の商品はアヤシクなく、安い。

商品の魅力に気付き、急いでサイトをつくり、勇気を出して広告を出した。その取り組みの結果がこれ。おそらく、商品を買う人がいる以上、商品の魅力に気づいている人は何人もいるのでしょう。しかし、それを買う人はいても、売ろうと考える人は少ない。仕入れを工夫して、ちょっとした参入障壁を築いた。そのワンチャンスに気づいて取り組んだ彼は立派だなぁ、と思いました。


■最後に

成功した人の成功物語はよく聞く。感動するし、刺激にもなる。なるほどなぁ。と思う。
しかし、身近な人が短期間で(そして、ほんのひとつのアイディアで)行動し、結果を出すことほど、説得力のあるものもない。

僕自身はECはそろそろ古いウェブ時代の商売のように感じてしまっていた。全然そんなことはなかった。ビジネスの基本を抑えれば、短期間で成功できるし、ちょっとした時間でそれなりに食べることができるようになるんだ。(彼は「勉強します」が口癖なので、本でも読んで勉強して、忠実に実行したんだろう。)

僕が彼から学んだことはなんだろう。
それは学ぶこと、時間を投下すること、チャレンジすること。思い込みを捨てること。
そんなところだろうか。僕にはまだ、数多くの思い込みという敵がいるようだ。