本日2月20日、GIFT-Japanの活動の一環として、ソーシャル・イントラプレナー養成講座を実施いたしました。 講師を務めたのは、GIFT-Japanのメンバーである玉沖貴子。僕は運営スタッフのひとりとして参加させて頂きました。

ソーシャル・イントラプレナーというコンセプトを伝え、効果的に力を発揮してもらうための道筋とネットワークの場をつくる。そういう思いで実施した、第一回ソーシャルイントラプレナー養成講座(基礎編)ですが、30名弱の方に参加頂き、おおいに盛り上がりました。参加頂いたみなさま、本当にありがとうございました。

本日はセミナーの内容をサマリーしてお伝えしたいと思います。


■ソーシャル・イントラプレナーとは?

まずはじめにソーシャル・イントラプレナーとは何なのか説明させて頂きました。
ソーシャル・イントラプレナーとは、一言でいうと企業内社会企業家。

21世紀にはいり、環境・貧困・格差・資源と様々な社会問題が表面化してきたこともあり、社会企業家(ソーシャル・アントラプレナー)という言葉がにわかに注目を集めるようになりました。

ただ、経済誌等で社会企業として取り上げられている企業のみが「社会企業」なのではありません。本来すべての企業が、ビジネスを通じて社会に対して貢献する「社会企業」といえます・

しかし、一方で組織の利益を追求した結果、社会や環境、組織の構成員やその家族に悪影響を与えてしまっている企業も中には存在します。中長期的にはそういった企業は淘汰される運命にあるので、センスのいいビジネスパースンは、社会や環境が抱える問題の解決が企業の利益につながるように、ビジネスモデルを再設計しています。

近年様々なメディアで紹介されている社会起業家は素晴らしい活動をされていますが、ひとつだけ課題があるとすれば、規模が小さく、社会や環境の問題解決に発揮できる力が限定的な企業も多いことでしょう。

そこで必要になってくるのがソーシャル・イントラプレナー(企業内社会起業家)の存在です。組織が持つ巨大な力を、社会と環境が抱える問題解決に役立て、それを企業の利益に結びつけることができる人材です。
■社会が抱える様々な問題

その次に社会が抱える様々な問題をデータを用いて紹介しました。人口問題、環境破壊の問題、格差の問題、教育や家族の問題など、様々な問題を紹介させて頂きました。玉沖が用意した資料には、僕自身もしっかりとデータを抑えていなかった問題もありますので、セミナーで紹介したスライドを2枚ほど、ご紹介させて頂きます。

・失われる環境と生物多様性

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実は恥ずかしながら、僕自身は環境問題や生物多様性の問題には大きな関心を払っていませんでした。(むしろ、シー・シェパードの問題などもあったので環境活動家に関して若干冷やかな視線すら送っていました。)ただ、本日のセミナーを通じて、Coca-Colaや味の素の取り組みを知り、自然資源を原料として扱っている企業(ほとんどのメーカーが該当すると思います。)にとって、持続可能な成長を実現するためには環境との共生が必要不可欠であり、環境の維持がもっともリスク要因が高く、コストにもなるのだと改めて知らされました。


・進まないサービスのグローバル化

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もうひとつ気になったのが、日本のサービス業の問題です。製造業に比べ日本のサービス業の生産性の低さは極端なものだと知ってはいました。しかし改めてデータで見るとそのドメスティックさに愕然とさせられます。金融であれ、小売であれ、サービス業に従事する人の数が増え続けている以上、海外にもビジネス機会を求めていかなければ、成長は打ち止めになります。どうすれば、サービス業が海外にビジネス機会なり市場なりを見つけられるか。そういったことを真剣に考えていかねばならない時代になったと思います。


■ソーシャル・イントラプレナーの事例紹介

ソーシャル・イントラプレナーの事例として、Microsoft、Vodaphone、Coca-Cola、Fordの事例と、同様の取り組みを行っている日本企業の事例を紹介しました。

海外の事例もさることながら、ユニクロや味の素など、やはり日本企業の事例が大変興味深かったです。まだ新たな利益を産み出すことにつながっていない事例も多くあるとは思いますが、5年後10年後を見据えて準備するとは、こういった活動のことを指すのだな。と感じました。


■グループワーク

参加者の方々に、身近に感じている問題意識を5つずつ挙げてもらった後、グループ毎にテーマを決めグループワークに取り組みました。

「どのような企業が、具体的にどのようなことに取り組めば、社会問題の解決と利益追求を両立出来るか」


というテーマで取り組んだのですが、具体的な案もいくつか出てきて大変興味深いものとなりました。

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■最後に

社会起業はもちろん素晴らしいのですが、世に大きなインパクトを与えるには、ソーシャル・アントレプレナーやNPO、政府の活動と、ソーシャル・イントラプレナーの活動をうまく結びつけて行かなければ、大きなムーブメントにならない。と、僕自身思いを新たにしました。

セミナーの最後には、ソーシャル・イントラプレナーとして活躍するための5つの資質をご紹介させて頂きましたが、4月に行う予定のソーシャル・イントラプレナー養成講座(実践編)では、資質を身につけ、磨く方法以外に、自分が今属する組織で、どのように活動すれば社会問題や環境問題の解決に寄与できるか、具体的にプランニングするという内容でおくりたいと思っています。

興味のある方は、是非ご参加ください。