採用の仕事をしていると、必ずといっていいほど出てくる言葉が「社風」だ。
ただ、この社風って正直良く分からない。wikipediaで見てみると、
ただ、この社風って正直良く分からない。wikipediaで見てみると、
社風とは、その会社の風紀、性情を表すもので、一般に、体育会系、家族的、軍隊的、官僚的、野武士、お公家等の言葉であらわされることが多い。社風と企業倫理の実践は別のものであるが、いわゆるイケイケの社風の場合、企業倫理の徹底が末端の社員や経営者全般に行き届かないことがあり、不祥事を引き起こす場合もある。とある。ますます良く分からない。いわゆるイケイケって何だよ!と思わず、ツッコミを入れたくなってしまう。まぁ、OB・OGと話していると何となく感じることとか、オフィスやセミナーの雰囲気で何となく感じるものは確かにあるので、社風の存在そのものを否定することはないけれど、「考えるな、感じろ!」とばかり言っていてもしょうがないので、もう少しわかりやすく、納得出来る言葉で社風なるものを表現してみたいと思う。
ビジネスにおいて、社風と同じ意味で用いられ、もう少ししっかりした定義がある言葉が組織文化だ。MBA組織と人材マネジメントによると次のように定義されている。
■組織文化がもたらす効果
組織文化がしっかりしていると、次のような効果がある。
意思決定の基準と評価の軸が定まることで、その基準や軸に合致しない考え方や行動は自主的に切り捨てられる。これは意思決定と行動の迅速化をもたらすことにつながる。
同じく、例えばアクセンチュアの組織文化は、Think Straight, Talk Straight という言葉に表現される。アクセンチュア出身の多くの経営者とお会いしたが、本当にこの文化は徹底していて、いざ議論の場になると、本当に上下の関係なく接してくださったことが記憶にある。日本的な立場や面子で議論をすると、その意思決定は非効率になりがちだし、結論も間違いがちだ。まさに、意思決定と行動の迅速化をはかるための企業文化と言えるだろう。
#逆に、立場や面子にこだわる企業文化もある。年功序列的な組織ではそうなるだろう。立場や面子にこだわった意思決定、行動も必ずしも悪いことばかりではない。国であれ、組織であれ、安定して成長を続ける時期には、このやり方が効果的な場合もある。立場や面子を守り、上役の意思決定を重要視するやり方は、組織の安定につながる。ただし、それは同時に組織の腐敗と硬直化とイノベーション不足による停滞につながるため、変化の時期には極めて問題の多い考え方だ。(現代でいうと、例えば中国は立場と面子を気にして国策を決定しても良いかもしれない。日本はダメだ。)
さて、意思決定と行動の迅速化は、同時に組織の一体感と組織行動の整合性をもたらす。意思決定と行動の基準と評価の軸が定まるため、自然に組織は一体とした意思決定や行動を取るようになる。(ここで述べる一体化とは、多様性を損なうものではない。良き組織文化とは、一体感と多様性を同時に満たすものだ。)
そしてまた組織文化は、組織の構成員(要は社員)に、自由も与える。意思決定の基準と評価の軸が定まれば、意思決定や行動の際に上司の判断を仰ぐ必要がなくなることも意味している。上司も自分と同じ判断をするからだ。故に、権限が若手に委譲されている会社、個人で意思決定し、判断しなければならないことが多い会社は例外なく強固な組織文化を持っている。
■良き組織文化とは
以上、組織文化がもたらす3つの効果を述べてきたけれど、組織文化にも良い文化と悪い文化がある。良い組織文化とは、下記3点の条件を満たす文化だ。
一方で、必要以上に立場や面子を重視する会社は、不必要な承認が多くなったり、適切な意思決定がされなくなったり、優秀な人材が採用出来なくなったりと、組織の内部・外部に悪影響をもたらすだろう。これは、悪い文化と言える。
■組織文化をつくり、強化する3つの要素
組織文化をつくり、強化するのは下記の3つの要素だ。
■組織文化を判断する
なんとなく「社風」を感じ、その企業のことを理解したつもりになることが多い。結果、新卒でも中途でも「こんなはずじゃなかった」とミスマッチが生じることがある。
#下記は、本エントリを書くきっかけとなった敏腕人事、mariomantarioさんのツイート。
経営者、そして人事部門の責任者にとっての喜びのひとつは、良い組織文化をつくり、定着させていくことだ。それは、組織の内外に業績の向上をもたらし、社員の成長を促す。
優れた組織文化を持つ会社は、どの社員に話を聞いても、良い組織文化を表す自分なりのエピソードを語ってくれるものだ。(ただ、その場合、質問の仕方は工夫する必要がある。「会社の社風で誇りに思っている点と、その社風だからこその成功体験を教えてくれますか。」 という感じの質問が良いのだろうか。)
組織文化が自分と合うかどうか。組織文化は中長期的な企業の業績と密接に結びついている場合も多い。ただ感じるだけでなく、冷静な目で見極める努力も必要だろう。
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著者:グロービス経営大学院
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組織全体で、明示的、あるいは暗示的に共有されている、組織と組織の構成員の意思決定や行動に影響を与える価値観や求める資質。非常に納得できる説明ではあるが、もう少し具体的に説明してみたい。
■組織文化がもたらす効果
組織文化がしっかりしていると、次のような効果がある。
- 意思決定と行動の迅速化
- 組織の一体感と組織行動の整合性(≒ブランド)
- 自由の付与
意思決定の基準と評価の軸が定まることで、その基準や軸に合致しない考え方や行動は自主的に切り捨てられる。これは意思決定と行動の迅速化をもたらすことにつながる。
同じく、例えばアクセンチュアの組織文化は、Think Straight, Talk Straight という言葉に表現される。アクセンチュア出身の多くの経営者とお会いしたが、本当にこの文化は徹底していて、いざ議論の場になると、本当に上下の関係なく接してくださったことが記憶にある。日本的な立場や面子で議論をすると、その意思決定は非効率になりがちだし、結論も間違いがちだ。まさに、意思決定と行動の迅速化をはかるための企業文化と言えるだろう。
#逆に、立場や面子にこだわる企業文化もある。年功序列的な組織ではそうなるだろう。立場や面子にこだわった意思決定、行動も必ずしも悪いことばかりではない。国であれ、組織であれ、安定して成長を続ける時期には、このやり方が効果的な場合もある。立場や面子を守り、上役の意思決定を重要視するやり方は、組織の安定につながる。ただし、それは同時に組織の腐敗と硬直化とイノベーション不足による停滞につながるため、変化の時期には極めて問題の多い考え方だ。(現代でいうと、例えば中国は立場と面子を気にして国策を決定しても良いかもしれない。日本はダメだ。)
さて、意思決定と行動の迅速化は、同時に組織の一体感と組織行動の整合性をもたらす。意思決定と行動の基準と評価の軸が定まるため、自然に組織は一体とした意思決定や行動を取るようになる。(ここで述べる一体化とは、多様性を損なうものではない。良き組織文化とは、一体感と多様性を同時に満たすものだ。)
そしてまた組織文化は、組織の構成員(要は社員)に、自由も与える。意思決定の基準と評価の軸が定まれば、意思決定や行動の際に上司の判断を仰ぐ必要がなくなることも意味している。上司も自分と同じ判断をするからだ。故に、権限が若手に委譲されている会社、個人で意思決定し、判断しなければならないことが多い会社は例外なく強固な組織文化を持っている。
■良き組織文化とは
以上、組織文化がもたらす3つの効果を述べてきたけれど、組織文化にも良い文化と悪い文化がある。良い組織文化とは、下記3点の条件を満たす文化だ。
- 組織の内部に経済的価値をもたらす
- 組織の外部に経済的価値をもたらす
- よき市民として行動することを要求する
一方で、必要以上に立場や面子を重視する会社は、不必要な承認が多くなったり、適切な意思決定がされなくなったり、優秀な人材が採用出来なくなったりと、組織の内部・外部に悪影響をもたらすだろう。これは、悪い文化と言える。
■組織文化をつくり、強化する3つの要素
組織文化をつくり、強化するのは下記の3つの要素だ。
- 創業者の意志
- 組織の構成員の行動(伝説、エピソード)
- 採用
■組織文化を判断する
なんとなく「社風」を感じ、その企業のことを理解したつもりになることが多い。結果、新卒でも中途でも「こんなはずじゃなかった」とミスマッチが生じることがある。
#下記は、本エントリを書くきっかけとなった敏腕人事、mariomantarioさんのツイート。
mariomantario: 中途の入社後のパフォーマンス低下は、風土との相性の問題が大きい気がします。インターンでそこを解消するということかな。
経営者、そして人事部門の責任者にとっての喜びのひとつは、良い組織文化をつくり、定着させていくことだ。それは、組織の内外に業績の向上をもたらし、社員の成長を促す。
優れた組織文化を持つ会社は、どの社員に話を聞いても、良い組織文化を表す自分なりのエピソードを語ってくれるものだ。(ただ、その場合、質問の仕方は工夫する必要がある。「会社の社風で誇りに思っている点と、その社風だからこその成功体験を教えてくれますか。」 という感じの質問が良いのだろうか。)
組織文化が自分と合うかどうか。組織文化は中長期的な企業の業績と密接に結びついている場合も多い。ただ感じるだけでなく、冷静な目で見極める努力も必要だろう。
グロービス MBA組織と人材マネジメント著者:グロービス経営大学院
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2007-12-14
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Comment
「評価基準・給与(ボーナス)決定の基準」もあると思います。
それらは結局、「こういう行動をとる社員になってほしいんだよ」というメッセージなので。
理想を述べると、組織文化を順守していれば個人の業績が自然と伸び、給与に反映される形が望ましいですね。
実際は風土と給与がそれぞれ部分最適になっていて、不公平感を発生させたり、風土の信頼性が揺らぐケースも多いのだと思いますが。
去年の4月にそれなりに大きな企業で初めての人事異動を受け、痛感しています。
>>理想を述べると、組織文化を順守していれば個人の業績が自然と伸び、給与に反映される形が望ましいですね。
組織文化の方向性が揃っていないと、理想からは遠ざかりますね…
それも大企業の弱点の一つなんでしょう。
確かにそういった面もありますね。同じ組織のハズなのに、部門や勤務地が違うとガラリと異なる組織風土が形成されているという…
組織風土は、「どうしても外せない本当に大事なこと」を抑えるべきと思いますが、それが徹底されていないと、コンフリクトの原因となりますね。営業部門と開発部門がぶつかったりするのもここらへんに原因があると思います。また、合併後の企業運営が難しいのもそういった点に原因があるように思います。
コンパクトにまとめる。組織が大きくなってくると、ある程度小さなユニットに分割する。そういう形しかないのでしょうか。
古代中国の中央集権と分権統治のどちらが良いか。という議論を彷彿とさせます。
風土が本質的なものであれば、他の会社にも受け入れられることが多いでしょうし(受け入れられない人は辞めていく)、飾り物の風土に過ぎなければ、コンフリクトは強まり、崩壊の原因となるでしょうね。
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