昨日まで、学生時代に起業して成功する方法について3回にわたって書いてきました。僕はTwitterで情報収集をしながら書いているのですが、書いていてぼんやりと感じたことは、

起業のプロセスとTwitterのフォロワーを増やすプロセスは大変似ている。

ということです。うまく使えば、自宅にいながらにして、ビジネススキルを身につける実践的なトレーニングになると思うので、ビジネス力を高めるためには、どのようなことを意識しながらTwitterを活用すればいいのか、この機会にまとめてみたいと思います。

もちろん、Twitterは自由なツールですし、人それぞれ自分なりの楽しみ方を見出せばよいのだろう、と思います。今回のエントリはあくまで、Twitterをビジネスのトレーニングとしても活用したい。という人を対象としています。就職活動を控えた学生さんや、起業準備中のビジネスパースンであれば、面白く読んで頂けることと思います。特に、経営戦略やマーケティングを学んでいる学生さんや、マスコミへの就職を志される方は「実践の場がない!」という問題意識を日頃から感じていらっしゃるでしょうから、良い実践の機会になると思います。

■どこが起業のプロセスと似ているのか

1.ツイートは商品、フォローは営業

Twitterを始めると、政治家や芸能人など、Twitterを使っている有名人をまずフォローしたくなるのではないでしょうか。僕はそうでした。ただ、有名だからといって、期待しているようなツイートが聞けるかというと、そういうことばかりでもなく、使い始めの頃、喜びいさんでフォローした人の中には、政治家なのに政治の話をしなかったり、お笑い芸人なのに、1日に数回無難なつぶやきをするだけだったりする人もいて、がっかりしてリムーブしてしまった経験があります。

また、数千人からフォローされている、Twitter世界の人気者と思しき人からフォローされることがあります。「おっ?」と思ってフォローを返すのですが、つぶやきこそ多いものの、自分に興味・関心のないことばかりつぶやかれると、やっぱりリムーブしたくなります。逆に、Twitterを通じて相互にいい情報を与えあうような関係を築けるのは、やはり、自分の興味・関心に合致した人です。

これらのことを通じて感じたのが、ツイートは商品(コンテンツ)であり、フォローは営業である。ということです。(この概念で考えると、RTは他者への商品紹介になるのでしょうか。)


2.Twitter開始直後は、創業期のベンチャーに似ている

特に、Twitter開始直後は自分の存在が誰にも認知されていません。これは創業間もないベンチャーの状況に似ています。創業間もないベンチャーであれば、自分を知ってもらい、商品を買ってもらうために営業をしなければなりません。

そのために役立つのが、フォローです。他のユーザーをフォローすることで自分の存在を知ってもらい、自分に興味を持ってもらうのです。

かくして面白そうな人、あるいはフォローを返してくれそうな人を見つけてはフォローしていくわけですが、これはまさに創業期の「営業」に似ています。フォローしている人の発言で魅力的なものがあったら。RTやQTや、@を活用して、その人のツイートに絡んでいく。というのも効果的な活動になるでしょう。(一方、煩わしい発言しかしなければ、ブロックされてしまうかもしれません。これは、営業に行って出入り禁止を食らったようなものと考えて頂ければいいのではないかと思います。)


3.営業(フォロー)ばかりしていても、限界がある

最近ある記事を読みました。片っ端からフォローして、(フォロー返しを狙って)フォロワーを増やし、2000人ぐらいになったところで、一気にフォロワーをリムーブして、自分を人気者のように見せる自称コンサルタント氏のお話です。

twitterでインチキカリスマを見破る方法/岐阜のヒューマネット専務ブログ

このような活動は効果的なのでしょうか。「相互フォロー」だけがフォローしている目的であれば、こちらがリムーブすると、相手もいつかはリムーブしてしまうと思います。自分がフォローしている相手が自分のことをフォローしてくれているかどうか発見するためのツールなんて、ググればいくつも出てきます。また、自分のツイートがつまらなければ、一旦フォローしてもらったとしても、いつかはリムーブされてしまうでしょう。

相互フォローに頼った、フォロワー増加策は脆いのです。
これは、人間関係に頼った営業活動に似ています。株式持ち合いや、相互依存の取引関係と言い換えてもいいかもしれませんね。

人間関係は確かにビジネスにおいては非常に重要です。しかし、自分が相手を先に裏切ったり、あるいは自分の商品価値があまりに低くなってしまえば、相手もいつかは関係を解消します。

また、相互フォローという関係が脆いと気づいている人。あるいは、自分がツイートを読みたい人だけで自分のタイムラインを作りたい。という人には、こちらからフォローするだけではフォローを返してくれません。

これは、営業でのし上がってきた新興ベンチャーが、成長がストップしてしまうという状況に酷似しています。成長の谷ですね。そこで、「商品」が大事になってくるのです。商品はツイートで、商品をわかりやすく説明するためのパンフレットが、プロフィールです。(フォロワー数も商品に成り得ますが、初期段階では自分のフォロワー数は二桁であることも多いので、今回は割愛します。)

フォローした人にとって、魅力的なツイートが多ければ、フォローを返してくれることも多いでしょう。アート関係に興味のあるフォロワーを増やしたければ、アート系のつぶやきが効果的でしょうし、経済に興味があれば、経済のつぶやきがいいでしょう。就職活動や地方、政治、マンガなど、呟くネタは無数にあると思います。

呟く分野を絞り、自分の立ち位置を明確に示すことが、初期段階では効果的かもしれません。それは、ビジネスを手がける市場を選ぶ行為に似ています。どのような市場を選ぶか(外部環境分析)、自分が強みを発揮できる市場はどこか(内部環境分析)。絞った分野に商品(ツイート)を投下するのです。

もうひとつはプロフィールです。僕は、フォローしてくれた方の、プロフィールをよく読むのですが、これは商品(ツイート)を説明するためのパンフレットのようなものだと思います。ブログへのURLなどが貼ってあれば確実に読みます。プロフィールやブログに書かれている内容が自分に興味・関心のあることであれば、間違いなくフォローします。プロフィールやブログは、ユーザーやツイートを説明する手助けとなります。

商品を磨かずに営業ばかりしていても、相手にしてもらえないのは、現実のビジネスでも同じだと思います。フォロー返しを期待して、フォロワーを増やすやり方はどこかで限界が来てしまいますが、逆に自分のスタンスと商品がはっきりしているのであれば、いつしか「営業」はいらなくなります。この状況はマーケティングの仕組みを作り上げた優良企業に似ています。零細・中小企業が大企業へと成長するステップです。


#余談:有名人がTwitterを始めることは外資の参入に似ている!?

政治家や、芸能人、経営者、アルファブロガーなど、Twitterの外のメディアでの有名人がTwitterを使い始めるのは、外資が国内市場に参入してきたのに似ています。圧倒的なブランドと資本力で、Twitterの使い方もわからないうちから、次々とフォローワーが増える。

ただ、Twitterの使い方がわからない≒国内市場をよく理解していない、と受け止めることもできます。Twitterの特性を理解すれば、非常に強力な存在感を発揮しますが、一方で使い方がわからなかったり、面白さがわからなかったりすると、いつしか利用もされなくなり、廃れてしまいます。


4.フォロワーと相互に実りある関係を築けているか

最後に考えなくてはいけないのが、フォロワーと相互に実りある関係を築けているか。ということです。ツイートすることで、自分に実りある時間を過ごせているでしょうか。フォロワーは増えたけれど、ツイートするのが苦痛になったりしていないでしょうか。

いろいろな興味・関心を持つ人にフォローされているので、その人達の期待に答えようとして、ツイートの内容が分散したり、したくもないツイートが増えるかもしれません。そうなったら、Twitterの楽しみも半減してしまいますし、結果的にリムーブも増えてしまうことでしょう。

これは、多様な好みを持った顧客に合わせようとして、多角化した挙句、顧客の期待を裏切り失敗する大企業に似ています。(だいたい、そのような時、企業は自分たちの強みと事業への思いを再発見するために、改めてビジョンを設定したり、クレドを作ったりします。)自分で自分の首を締めるような状況を作ってしまったのです。

そんなときは、改めて「なんでTwitterしてるんだっけ?」と問い、自分自身の理想とするタイムラインやフォロワーづくりに取り組んでみるのがいいのだろうと思います。

 
■最後に

僕はあくまで、Twitterは個人個人が好きなように楽しめばいいと思っています。ですので、本日のエントリは余り褒められたものではないかもしれません。

一方、経営とTwitterの類似性を見出して楽しむ。経営戦略やマーケティングの実践の場と捉えて、Twitterを楽しんで使う、というのもひとつの楽しみ方だと思います。「なるほど!」と共感頂けたかたは、よろしければ意識して取り組んでみて頂ければと思います。Twitterの新しい楽しみ方が発見できるかもしれません。

結局自分が楽しめるツイートをするのが一番ですから。