最近、本当にTwitterから気付きをえることが増えました。昨日は少子化問題が少し話題に上がっていたのだけれど、僕も気になったので
平成21年版 少子化白書
などに目を通してみました。
しかし、僕が知りたいことに対して明確な答えが書かれておらず、残念だったので、僕なりに少し考察してみたいと思います。僕が一番気になっているのは、
「少子化が進むと何が問題なのか?」「どう解決すればいいのか」
ということです。一般的には少子化が進むと労働力人口(15~64歳)の減少が進み、
本当にそのようなことは起きるのでしょうか?
また、起こるとして、どのように解決すべきなのでしょうか。
平成21年版 少子化白書
などに目を通してみました。
しかし、僕が知りたいことに対して明確な答えが書かれておらず、残念だったので、僕なりに少し考察してみたいと思います。僕が一番気になっているのは、
「少子化が進むと何が問題なのか?」「どう解決すればいいのか」
ということです。一般的には少子化が進むと労働力人口(15~64歳)の減少が進み、
- 経済成長の悪化
- 税収の悪化
- 社会福祉の悪化
本当にそのようなことは起きるのでしょうか?
また、起こるとして、どのように解決すべきなのでしょうか。
現在、世界人口そのものは増え続けています。
(出展:UN, World Population Prospects: The 2006 Revision)
具体的には、
1950年 2,535百万
1970年 3,699百万
1990年 5,295百万
2010年 6,907百万
2030年 8,318百万
2050年 9,191百万
というペースで増え続けています。人口増加が著しいのは新興国で、先進国はほとんどが少子化に悩まされている(合計特殊出生率が2を切る)という状態です。
社会の成熟度と人口増加にはやはり大きな関係があるとおもいます。社会が成熟するに従って、人口が、
多産多死→多産少死→少産少死
と進むのはもはや避けられない傾向で、あとは少産少死で人口をキープ出来る水準(合計特殊出生率が2)に持っていくかどうか、あるいは、急激な人口減少が進まないようにせめて緩やかな人口減少を実現して、社会に対する影響を少なくしよう。というところが先進国側の政治の思惑なのではないかと思います。
普通に考えれば、少子化が新興している国では、人口が増加している国から移民を受け入れれば世界全体で見ると全体最適になるし、相互理解も進むしで移民を受け入れてメデタシメデタシでいいと思いますが、国家毎に移民の受け入れ体制も異なりますし、文化的な背景とか治安の問題とか、感情や歴史や文化を持ち出されると、異なる土俵の話になってしまうので、難しい問題ではあります。
■少子化が進むと本当に問題なのか
最初に述べた少子化がもたらす3つの問題のうち、税収の悪化、社会福祉の悪化は全て経済成長の悪化に起因しますから、少子化によって経済成長が悪化すれば、税収や社会福祉にも悪影響をもたらすと考えられます。
では、少子化が進むことによって、本当に経済成長は悪化するのでしょうか。正直言って、ここはよくわからないです。
人口の低下による需要減が問題視されているのですが、本当にそうかな。と思う部分はあります。国外の需要は伸び続けているので、内需に頼らず、国外を相手に積極的に出ていけばいいだけだと思うんですよね。確かにBOP市場への対応は日本は遅れていますが、各国が経済成長するにしたがって、日本がシェアをとれる市場も増えてくることと思いますし、環境の激変がイノベーションの起爆剤になると考えられます。
少子化がすすむにつれ、子供一人当たりの投資額は増えるわけで、グローバル経済に適した人材が出てくる率も増えるように思います。(韓国は日本同様、少子化と経済の停滞、就職難が問題視されていますが、国内企業への就職が狭き門であるが故に、海外で積極的に就職する人も多いです。日本よりも早く、国際舞台で活躍する人材が出てくるのではないでしょうか。)
今、政府は、フランスの少子化対策を模倣して、子供手当ての導入を図っています。これはこれでやる価値のある取り組みではありますが、
それは、日本の子ども手当てが、フランスの少子化対策を模倣しているようでいて、本質を外した単なるバラマキとなっている可能性が高いからです。
■フランスの出生率向上は手当てと価値観のセット
出生率の向上を実現している、フランス、スウェーデンといった国は、婚外子の比率が高いです。結婚しないまま子どもを産むという価値観が広く認められています。
世界各国の婚外子割合
こちらのページではスウェーデンが55.4%、フランスが48.4%です。2005年のデータですが、2007年からフランスでも婚外子の割合は50%を超えました。日本は先進国の中では最低といっていい、2.0%です。
この事実を踏まえずに、財政的な支援をしても、出生率の向上効果は極めて限定的だと思います。今後、日本は婚外子を認めるような風土になるでしょうか。なるには相当長い時間が必要な気がします。
■大きな流れに逆らった活動は成功しにくい。
経営戦略の世界では、外部環境の変化にあわせて自己を変えていく(内部環境を変化させる)ことが重要と言われています。上がりのエスカレーターに乗る。ともいいます。
日本が今取り組んでいる少子化対策はどちらかというと、外部環境の変化に逆らい、強引にお金の力でどうにかしようという動きに見えます。上がりのエスカレーターどころか、下りのエスカレーターを必死に駆け上がろうとしているようなものです。
例えば、イノーションのジレンマの中で、クレイトン・クリステンセンは成長率の高い業界に身をおくことが企業して成功するために必要だ。ということを述べています。これは外部環境を利用することにほかなりません。
発展途上国では、労働力がそのまま収入に直結します。社会福祉や医療も不十分なため、幼くして命を失う子どもも多いですし、老後は子どもたちに頼るしかありません。こういった国では、子どもをたくさん産み、育てることが、将来のリスクを減らし、リターンを多くする方法です。だから、出生率は高くなります。
新興経済国となると、一次産業から二次産業へと労働の主役は交代し、急激な経済発展が起こります。社会福祉や医療が整い、将来への明るい展望から、出生率は高く、死亡率は低くなり、人口爆発がおきます。
そして、先進国となると、労働の主役は三次産業となります。単純労働は機械やコンピューターに代替され、知識労働だけが必要とされる時代になります。10人の並の頭脳よりも、1人の優れた頭脳が必要とされる時代になるのです。厳しい競争社会が訪れ、教育投資額は増大します。こういう時代には、たくさんの子どもを産み、育てるよりも、少数の子どもに投資を集中させた方がリスクとリターンを考えた場合、合理的な行動になります。結果的に、出生率は低くなり、婚期は遅くなります。少産少死時代の到来です。(婚外子を認めない社会では、婚外子の子を産み育てることは高いリスクを伴なうことになります。)
あんまり、リスクとかリターンという言葉を使うのは良くないかもしれません。子どもと自分の幸せを願った結果、そういう行動をとったほうが合理的になる可能性が高い。ぐらいにとらえてもらえれば有り難いです。多かれ少なかれ、そのような判断は多くの人がしているのではないでしょうか。
■結局解決策は?
まずは少子化が進んでも国力が衰えないように最大限の努力をすべきと思います。当たり前のことですが、規制を緩和し、イノベーションが生まれやすい国をつくることでしょう。また、老人から若者にお金が回る(投資される)仕組みが出来ると更に良いと思います。労働が機械やコンピューターに代替されている今、人口の減少が経済に与えるダメージを極力減らすことは可能だと思います。ゆっくりと人口が減少しても大きな問題にならない可能性もあると思っています。
その上で、少子化問題の解決策ですが、手当てを増やしたり、権利を付与するだけでなく、婚外子を認める文化を国に根付かせるしかないのではないかと思います。それがむずかしければ(実際相当難しいと思うのですが)、移民を受け入れるべきだと思います。
世界の片方では人口が増え、世界の片方では減っている。で、あれば文化や価値観の壁を乗り越えて、様々な人種が交流出来る社会になったほうがいいのではないかと思うのです。
いずれかの根本的な解決策をとらない以上、少子化問題を本当に重要と捉えてないと感じますし、政権の人気取りのための政策に、どうしても見えてしまいます。
(出展:UN, World Population Prospects: The 2006 Revision)
具体的には、
1950年 2,535百万
1970年 3,699百万
1990年 5,295百万
2010年 6,907百万
2030年 8,318百万
2050年 9,191百万
というペースで増え続けています。人口増加が著しいのは新興国で、先進国はほとんどが少子化に悩まされている(合計特殊出生率が2を切る)という状態です。
社会の成熟度と人口増加にはやはり大きな関係があるとおもいます。社会が成熟するに従って、人口が、
多産多死→多産少死→少産少死
と進むのはもはや避けられない傾向で、あとは少産少死で人口をキープ出来る水準(合計特殊出生率が2)に持っていくかどうか、あるいは、急激な人口減少が進まないようにせめて緩やかな人口減少を実現して、社会に対する影響を少なくしよう。というところが先進国側の政治の思惑なのではないかと思います。
普通に考えれば、少子化が新興している国では、人口が増加している国から移民を受け入れれば世界全体で見ると全体最適になるし、相互理解も進むしで移民を受け入れてメデタシメデタシでいいと思いますが、国家毎に移民の受け入れ体制も異なりますし、文化的な背景とか治安の問題とか、感情や歴史や文化を持ち出されると、異なる土俵の話になってしまうので、難しい問題ではあります。
■少子化が進むと本当に問題なのか
最初に述べた少子化がもたらす3つの問題のうち、税収の悪化、社会福祉の悪化は全て経済成長の悪化に起因しますから、少子化によって経済成長が悪化すれば、税収や社会福祉にも悪影響をもたらすと考えられます。
では、少子化が進むことによって、本当に経済成長は悪化するのでしょうか。正直言って、ここはよくわからないです。
人口の低下による需要減が問題視されているのですが、本当にそうかな。と思う部分はあります。国外の需要は伸び続けているので、内需に頼らず、国外を相手に積極的に出ていけばいいだけだと思うんですよね。確かにBOP市場への対応は日本は遅れていますが、各国が経済成長するにしたがって、日本がシェアをとれる市場も増えてくることと思いますし、環境の激変がイノベーションの起爆剤になると考えられます。
少子化がすすむにつれ、子供一人当たりの投資額は増えるわけで、グローバル経済に適した人材が出てくる率も増えるように思います。(韓国は日本同様、少子化と経済の停滞、就職難が問題視されていますが、国内企業への就職が狭き門であるが故に、海外で積極的に就職する人も多いです。日本よりも早く、国際舞台で活躍する人材が出てくるのではないでしょうか。)
今、政府は、フランスの少子化対策を模倣して、子供手当ての導入を図っています。これはこれでやる価値のある取り組みではありますが、
- 出生率向上にどれほど寄与するのか
- 財源がない中、どれほど継続して続けていくことができるのか
それは、日本の子ども手当てが、フランスの少子化対策を模倣しているようでいて、本質を外した単なるバラマキとなっている可能性が高いからです。
■フランスの出生率向上は手当てと価値観のセット
出生率の向上を実現している、フランス、スウェーデンといった国は、婚外子の比率が高いです。結婚しないまま子どもを産むという価値観が広く認められています。
世界各国の婚外子割合
こちらのページではスウェーデンが55.4%、フランスが48.4%です。2005年のデータですが、2007年からフランスでも婚外子の割合は50%を超えました。日本は先進国の中では最低といっていい、2.0%です。
この事実を踏まえずに、財政的な支援をしても、出生率の向上効果は極めて限定的だと思います。今後、日本は婚外子を認めるような風土になるでしょうか。なるには相当長い時間が必要な気がします。
■大きな流れに逆らった活動は成功しにくい。
経営戦略の世界では、外部環境の変化にあわせて自己を変えていく(内部環境を変化させる)ことが重要と言われています。上がりのエスカレーターに乗る。ともいいます。
日本が今取り組んでいる少子化対策はどちらかというと、外部環境の変化に逆らい、強引にお金の力でどうにかしようという動きに見えます。上がりのエスカレーターどころか、下りのエスカレーターを必死に駆け上がろうとしているようなものです。
例えば、イノーションのジレンマの中で、クレイトン・クリステンセンは成長率の高い業界に身をおくことが企業して成功するために必要だ。ということを述べています。これは外部環境を利用することにほかなりません。
過去20年間では、コンピューターおよびオフィス機器関連がもっとも成長率の高い産業で、起業後4.2%もの会社が、Inc 500のリスト入りを果たしています。一方、ホテル業ではその割合はわずか0.007%でした。
発展途上国では、労働力がそのまま収入に直結します。社会福祉や医療も不十分なため、幼くして命を失う子どもも多いですし、老後は子どもたちに頼るしかありません。こういった国では、子どもをたくさん産み、育てることが、将来のリスクを減らし、リターンを多くする方法です。だから、出生率は高くなります。
新興経済国となると、一次産業から二次産業へと労働の主役は交代し、急激な経済発展が起こります。社会福祉や医療が整い、将来への明るい展望から、出生率は高く、死亡率は低くなり、人口爆発がおきます。
そして、先進国となると、労働の主役は三次産業となります。単純労働は機械やコンピューターに代替され、知識労働だけが必要とされる時代になります。10人の並の頭脳よりも、1人の優れた頭脳が必要とされる時代になるのです。厳しい競争社会が訪れ、教育投資額は増大します。こういう時代には、たくさんの子どもを産み、育てるよりも、少数の子どもに投資を集中させた方がリスクとリターンを考えた場合、合理的な行動になります。結果的に、出生率は低くなり、婚期は遅くなります。少産少死時代の到来です。(婚外子を認めない社会では、婚外子の子を産み育てることは高いリスクを伴なうことになります。)
あんまり、リスクとかリターンという言葉を使うのは良くないかもしれません。子どもと自分の幸せを願った結果、そういう行動をとったほうが合理的になる可能性が高い。ぐらいにとらえてもらえれば有り難いです。多かれ少なかれ、そのような判断は多くの人がしているのではないでしょうか。
■結局解決策は?
まずは少子化が進んでも国力が衰えないように最大限の努力をすべきと思います。当たり前のことですが、規制を緩和し、イノベーションが生まれやすい国をつくることでしょう。また、老人から若者にお金が回る(投資される)仕組みが出来ると更に良いと思います。労働が機械やコンピューターに代替されている今、人口の減少が経済に与えるダメージを極力減らすことは可能だと思います。ゆっくりと人口が減少しても大きな問題にならない可能性もあると思っています。
その上で、少子化問題の解決策ですが、手当てを増やしたり、権利を付与するだけでなく、婚外子を認める文化を国に根付かせるしかないのではないかと思います。それがむずかしければ(実際相当難しいと思うのですが)、移民を受け入れるべきだと思います。
世界の片方では人口が増え、世界の片方では減っている。で、あれば文化や価値観の壁を乗り越えて、様々な人種が交流出来る社会になったほうがいいのではないかと思うのです。
いずれかの根本的な解決策をとらない以上、少子化問題を本当に重要と捉えてないと感じますし、政権の人気取りのための政策に、どうしても見えてしまいます。
Comment
ということは、日本に住む日本人は労働コストが安くない仕事で生き残る努力をするしかないのですが、移民を受け入れるということは、それも奪われていく可能性が高くなっていくだけにならないでしょうか?
(※移民が入ってきても、彼らに日本の雇用ルールに従って給与を払う限り、経済を支える安い労働力を増やしたとはいえないので。)
「日本」という国名での経済効果は数字上では守られるのかもしれませんが、その実は、誰のためにやっていることになるのでしょう?
コメントありがとうございます。
まず、労働力人口の減少の問題ですが、一人一人の生産性が高まることでカバー出来る範囲も大きいので現在騒いでいるほど心配することではない、というのが僕の第一の主張です。
次に、労働力としての移民であれ、技能者の移民であれ、いずれにせよ国内企業の生産性を高めることに代わりはなく、これは経済成長に貢献すると思います。それは税収の増加と公共の福祉の充実によって国全体の利益につながるのではないでしょうか。
横槍ですが、移民も消費するので仕事の総数が減る理由にはなりません。
第二の主張に関してですが、日本の人口減少が進み、途上国が成長を遂げる段階において、高度な技能者が日本で仕事をする価値があるのか?という疑問があります。それよりも中国やインドで仕事をする方が彼らへのリターンも大きいのではないかと。一方、低レベルな労働力としての移民が増えることも、日本の国際競争力をあげることには寄与しないような気がします。フランスの例をみても、移民が従事している仕事は仏人ならアルバイトとしてもやりたくないような低レベルの労働です。
もちろん、人口は多い方が消費規模も大きいので、企業にとっては、そこに参入したり足場を築く意味はあるでしょう。その点でも国全体の利益につながるというのはわかります。ただ、「胃袋」を増やすような人口増加(適切な言い方が思いつかない..。)にしかならないのではないか、それって日本人(元からいた国民)にとって本当にやるべき意味があるのか?というのが僕の懸念です。
仮に、経済的目的においても、移民を受け入れる意味があるんだ!という結論にたどり着いたとしても、「日本人って何?」という側面、歴史的背景を忘れるような手段による実現はすべきではないと思いますね。(移民の胃袋を満たす側面だけが強くなってしまう。)
脱線しますが、外国人参政権を認める動きは、そうなりかねない飛躍した動きだと思っています。手段として、それ以外にやるべきことがあるだろうと。(例えば、親会社が外資企業の日本進出を促すような税制とか、もっと外国籍住民が住みやすいような法制度にしていくとか。)
経済の議論と民族のアイデンティティの議論は分けるべきだと思いますが、最終的な判断はそれらも絡んでくると思います。
そういうこともあって、多面的な考察を踏まえて結論づけられないものに関しては、自分は立場を取ることを慎重にしています。
コメントありがとうございます。母親の収入が父親の収入と同等になると子どもが増えるというロジックがイマイチ良く理解出来ていないので、ご説明願えませんでしょうか。
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