さて、年頭の挨拶で宣言させて頂いたとおり、今年はいま必要とされている学び方をまとめ、提言していく活動をひとつの軸にしていきたいと思います。
「衰退の10年」の生き方 - 池田信夫 blog
本エントリのタイトルは、池田信夫氏のblogから頂きました。現在の延長線上にあるのはまさに、緩やかな衰退。緩やかな衰退を避けるために、一人一人が強くなり、緩やかな衰退を避ける知恵を身につけ、努力をしなければいけないと思うのですが、僕自身ができる「努力」のひとつとして、学び方をまとめていきたいと考えています。
これからの10年は、人口減少とグローバリゼーションが一層進む社会になるに間違いありません。これらはほぼ確実に予測出来る未来です。
グローバリゼーションの進展により、途上国は驚くべき速さで成長し、経済的に先進国の水準にかなり近づくことでしょう。国内企業は厳しい競争にさらされるものの、硬直化した雇用制度と組織がイノベーションの妨げになり、満足できる成長は成し遂げられないと考えます。
琴坂氏が 構造的に不可能に等しい挑戦 のエントリでまとめられているように、
- グローバル化により、世界的な富の移転がおこり
- 人材に明確な区切りがつき、
- 日本は、全ての日本国民を守ることは出来なくなる
だからこそ、そういった時代に必要な学び方を、今の段階から考察し、まとめて行きたいと思います。
結果的に勝間和代さんの 年収10倍アップ勉強法 と似た内容になるかもしれない、と感じていますが、もう少し「学生」にフォーカスしてまとめていこうと思っています。スキル中心の話であれば、社会に出てからも十分学べますが、正義や倫理、歴史といった、学校で教えられる教養を楽しんで学び、理解することがより正しい「生き方」につながっていくと思うからです。また、僕のブログは学生の読者の方、企業の人事担当者の方によく見て頂いているようなので、読者の期待に答える意味あいもあります。
さて、それでは僕が考える学生時代に学ぶべき学問について、考察していきます。
(※下記のリストは未完です。みなさんから意見を頂いて、より素晴らしいリストにできればと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。)
■学生時代に学ぶべき学問
- 哲学(というか思考法、クリティカル・シンキングなど)
- 経済学
- 会計/ファイナンス
- 語学
以上の学問に関しては社会に出てからリアルに役立つので、真っ先にやっておくといいのではないかと思います。また、更に時間が許すのであれば、
- 数学(中でも統計)
- 歴史(好きな時代・地域をつまみ食い)
さて、それでは、個別に説明していきたいと思います。
1.哲学(というか思考法、クリティカル・シンキングなど)
なんといっても、学生時代に時間をかけて最初に学ぶべきは、思考法だと思います。「問いを立てる力」「論理的に思考し、証明する力」などは、すべての活動の基本です。最初にこれらの力を身につけておくと、その後の学生時代の学習効率が非常に高まります。
その後の学習効率が非常に高くなるからこそ、民間の社会人向けスクールの代表的な存在、グロービスは初学者に真っ先にクリティカルシンキングのコースをとることをおススメするのだと思います。
残念なことに、大学では「哲学」といっても、実際には「哲学史」を学ぶコースだったり、対話を通じての実践の機会がないケースが大半です。そういうコースの「哲学」は学んでもつまらないし、現実社会になかなか役立てられなかったりするので、取らなくていいかもしれません。しかし、
- 物事を批判的に見て、問いを立てる。
- 理性的に思考する
2.経済学
僕は経済学に関しては学部生時代に学んだだけなのですが、社会に出てから10年、ビジネスの様々な局面で役立ち続けてきました。政治・経済の流れを読むだけでなく、実際のビジネスに応用できる要素がたくさんあることも、経済学を学ぶことをお勧めする理由のひとつです。
経済学がどのようにビジネスに役立つか。それを端的に紹介した事例のひとつが
Joel on Softwear : ストラテジーレターⅤ
です。ごく初歩的な経済学であっても、その本質を学ぶことで実際のビジネスに役立つことは多々あります。たとえば学生にとって重要な活動のひとつである「就職活動」ですらも、今後どのようなことが起きるか容易に想像できるようになります。
たとえば次のようになります。
企業は、1割の優秀な学生を取るためにだけお金と労力を使う時代がきます。相手にされない残り9割の普通の学生は莫大なお金や時間を投資して、企業の選考のスタートラインに立たなければならない時代がきます。
経済学について基礎的なことを学んでいれば、企業の採用広告で儲けている企業は、リーマン・ショックが起きた時点で、企業からお金をもらうモデルから学生からお金をもらうモデルに大胆にシフトする。という戦略転換も出来たはずだし、実際そのような取り組みをはじめた企業も多いです。(学生からお金をもらう。というのは就活支援という狭い視点で考えるのではなく、英語や留学や資格取得など、広い意味でとらえて頂ければ幸いです。)
ついでにいうと、少子化が進み、若者の親の世代に富が集まりやすい現状、資格をとったり留学をしたりするために、親に就活のために金銭的な支援をお願いすることは合理的な行動だし、自然なことだと思います(一人っ子政策時代の中国が親類縁者がこぞって優秀な若者に投資した世界と似ています)。「最近の若者は…」という人がいたら、オジさんも経済学でも学ばれればいかがですか。といってやればいい。( 経済学101 は、経済と政治の関係、経済とビジネスの関係、経済と人間行動に関して学ぶのに適したブログだと思います。経済学の基礎的な教科書を2~3冊読んだ後は、ブログを追うだけで相当学べるのではないか。 )
さて、3以降に関しては、また後日まとめたいと思います。
他に「この分野に関しても学んでおくべき!」という人は是非ご意見頂ければ幸いです。
続きはこちら
学生時代に学ぶべき学問:衰退の10年を生きる その2
※哲学/思考法を学ぶのにお勧めの書籍をご紹介します。
[新版] MBAクリティカル・シンキング
著者:グロービス・マネジメント・インスティチュート
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2005-11-05
おすすめ度:
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・思考法の基礎です。シンプルにわかりやすくまとまっているので、読んでおいて損はないです。他には、バーバラ・ミントの 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則、齋藤 嘉則 問題解決プロフェッショナル「思考と技術」、大石哲之 ロジカルシンキング・リーディング などが素晴らしいテキストです。ただし、問いを立てる力の重要性を学ぶためにも、グロービスのMBAクリティカル・シンキングはおススメです。
国家〈上〉 (岩波文庫)
著者:プラトン
販売元:岩波書店
発売日:1979-01
おすすめ度:
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・様々な社会的な問題について問いを立て、理性的に解を出しています。対話形式で書かれており、大変読みやすく、演繹的な思考法を学ぶには最適です。また、社会問題を扱っているので、様々な倫理の問題について考え、学ぶための最高の教科書になります。
※経済学の教科書に関しては、絶賛吟味中です。学生の方であれば、大学で指定された教科書でいいと思うのですが、もっと面白く、経済のダイナミックさ、奥深さを伝える教科書があるはずと信じて、探しています。
※1月3日追記
経済学の教科書に関しては、タイムリーなことに池田信夫blogにて紹介がありました。
ミクロ経済学の常識 をご覧ください。
私は読んでいないので推薦できる立場にないのですが、さっそく読んでみようと思います。現実に即した題材を扱っているようで、わかりやすく、面白そうです。