fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

2010年09月

13

一人で戦局を打開することは大変難しいけれども

例えば何万人という人間が絡む、戦争や政治の世界では、一人の兵士が果たせる役割などたかが知れている。どんな勇者がいても、一人で戦局を打開することなんて出来やしない。

政治や大企業の中で働いている人の中には戦局を動かすだけの力のない自分の立場を嘆きたくなる人もいるだろう。

一方、そういう厳しい現実があるからこそ、アニメや漫画には、一兵卒の活躍からはじまり英雄譚へとストーリーが昇華する物語が描かれるわけだし、それを読んで僕たちはワクワクする。

戦局を変えた白い悪魔の物語が「ガンダム」なわけで、一隻の潜水艦が国際政治を動かせるかどうか夢想した作品が「沈黙の艦隊」だ。戦場の圧倒的な巨大さと小さな軍隊の頼りなさを描いた物語としては、(マイナーだと思うけれど)PS2の「絢爛舞踏祭」なんかがいい味だしてたと思う。ほんの小さなボタンの掛け違いの連鎖をおこすことが出来れば、銀河に100年の平和をもたらすことが出来るというような、ミクロからマクロへの挑戦という設定は、現実には大変厳しいからこそ、ロマンをかきたてられる。

では、現実世界では、自分という一人の小さな個人が大きな組織を動かすことは出来ないのか。というと、完全に不可能というわけでもなく。

例えばディー・エヌ・エーを例に挙げると、モバゲータウンを開発した一人のエンジニアや、「怪盗ロワイヤル」の開発者なんかは、確かにディー・エヌ・エーの大きな変化を産み出す震源地となったわけだ。

もっとも、じゃあ彼らのようなスーパーな結果を残さねば組織は動かせないのか。というと必ずしもそうではない。彼らを採用してきた採用担当者や、知恵を蓄えてきた開発陣、ここまで企業を存続させてきた営業・マーケティング担当者一人一人が大きな変化を産み出す活動に一役買っているわけで、そう考えると、一人一人の小さな努力や生み出してきたちょっとした「違い」がバタフライ・エフェクトとなって、世界を変える。なんてことが起こりうるのが人生の面白いところじゃないかと思う。

----

さて、猛烈に前置きが長くなってしまったけれど、こんなことをふと考えたのは、やはり県の青年議会の活動の影響だろう、と思う。続きを読む »
9

パン・ハム・レタス/デザインの価値

パンとハムとレタスは既にあった。
カードをしながら食事を摂りたいと考えたある紳士が、ハムとレタスをパンに挟んで食べることを思いついた。
こうして、サンドイッチが生まれた。

この短い伝説は「デザイン」が持つひとつの価値を端的にあらわしている。

既に保有しているモノの価値を掘り起こし、結びつけ、パッケージし直し、時代のニーズにあった新たなものにつくりかえる。そこに付加価値が生まれ、時に爆発的にヒットする。

もともとある価値を掘り起こすわけだから、投資に必要なコストは少なく、市場に投入するまでの時間が短時間で済む。

衰退市場で苦戦している企業が「事業ドメインの再定義」を行うことで、復活するケースもこの"デザイン"があたったケースと言える(メーカーからの脱皮を遂げたIBMなんかが良い例か)だろうし、任天堂が得意とする枯れた技術の水平思考も、価値を掘り起こし、パッケージし直し、時代のニーズにあったものにつくり変えている例と言えるだろう。

簡単か、と言われるとそうでもない。

しかし、資源に限りがある企業経営者や行政担当者にはこういった視点が必要だ。
強みは既にある。それをいかに結びつけ、パッケージし直し、世に送り出すか。

最近はそういった仕事にこの上ない魅力を感じている。
3

勇者ではなく、ただのモブだと気付いてしまったときに

Twitterの僕のTLは今日はソーシャルゲームの話題でもちきりだったのだけど、メインストリームとは異なる視点で面白い記事を発見したので、こちらのほうを紹介しておこう。

ダイヤモンド・オンライン:ゲームの仲間は助けるけど、会社の同僚は助けない

――現実世界の同僚が困っていたら、残業して助ける?

助けないです。あ、梅田さん、僕、自分の行動の矛盾に気付いちゃいました……

――いやー、今日の君の発言は、日本ビジネス界のマネジメント層に一石を投じている気がするよ。つまり、高学歴でクリエイティブ職に就いて、有能な山本君は、仕事でも生活でもなく、ゲームのなかが最も必死なんだよね。あらゆる若者のあらゆる情熱が仕事ではなくゲームにつぎ込まれているとすれば、日本経済の大きな損失だよ。だって、その情熱を仕事に傾ければ、現実世界でお金が生み出せるのに。謎を解く力や、トライ&エラーや、発想の転換がゲームの醍醐味だとすれば、それは全部会社のなかでも有効な能力なのに、それを使っていない。

僕は小学生の頃から割と筋金が入ったゲーマーだったので、この「梅田さん」なる質問者の視点にはプレイステーションが世に出る前から気づいていて、いかに現実世界をゲームのように面白くするかに情熱を注いでいた。

最高の仲間を集め、目標を決め(倒す魔王はどこだ?)、姫と財宝を手に入れる。
ゲームがイメージできなければ、ワンピースとかイメージすればいいのかな。そう、船にのって仲間と大海原に乗り出すイメージ。

時にはパーティ間で三角関係が生まれちゃったりして、魔王を倒すことなんてどうでもよくなって内輪でバトルする。(そういや最近は成功の報酬として姫を手に入れるパターンよりも、冒険の仲間とくっつくパターンのほうが多いよね。そっちのほうがイイと思う!)

まぁ、、そんな人生を送れたら最高だと思っていて、実際に今もそういう人生をどうやったら送れるかということについて、毎日必死にない知恵を絞っているわけだけれど、引用の中の梅田さんの台詞はやっぱりゲーマーの気持ちを代替しているとはいい難いのかもな。と思ったり。

どういうことかというと、

「有能な山本君は、仕事でも生活でもなく、ゲームのなかが最も必死なんだよね。~だって、その情熱を仕事に傾ければ、現実世界でお金が生み出せるのに。

という部分。まぁ、そうかもしれないけれど、ゲームの世界はユーザーが凄く少ない。せいぜい1000万人。この中で時間とお金さえかければ勇者になれると思えば、なんとなく希望が持てる。

その点現実世界の競争相手は膨大だ。その数ざっと60億人。しかもどいつもこいつも真剣勝負ときてる。高学歴でクリエイティブ職についた山本君も、きっとどこかで自分は勇者ではなくて、単なるモブ(雑魚キャラ)の一人だってことにどこかで気付いてしまったんだろう。

一見哀しいことのようにも思えるけれど、夢見ることを諦めきれない人が仮想現実の世界に集っていると考えると、そう捨てたもんでもないかな。と思えてきたりする。

僕もまた、そういう能力(ちから)なく、妄想の世界に生きる一人ではあるわけだけれど、最近自分を騙して物語の主人公にする技に随分長けてきたので、ちょっと書いてみようと思う。


続きを読む »
1

小さなまちの動物園の営み

先週末は六本木農園丸の内朝大学のプロデューサー、古田秘馬さんらとともに、富山市の「まちづくり」の取り組みを視察させて頂いた。コーディネートしてくださったのは、富山市職員の中村圭勇さんだ。僕は全3日間のプログラムの半分ほどにしか参加できなかったけれど、いくつも大きな発見があり、とても素晴らしい内容だった。

その中でも特に感銘を受けたのが、富山市ファミリーパークの山本茂園長の話。

確かに「まちづくり」の話ではあったのだが、山本氏の一連の話はビジョンある経営者の話という印象を強く受け、感動した。

お話を聞く中でうけた感動をどれだけ表現できるかはわからないけれど、忘れないうちに記録に残しておこうと思う。

----
続きを読む »
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

記事検索
最新コメント
推進中プロジェクトのご紹介

株式会社プロジェクトデザイン

ビジネスゲーム研修の開発・実施 人と組織のコンサルティング 株式会社プロジェクトデザイン

純国産品の精油、エッセンシャルオイルの製造・販売

はてなブックマーク
見た、読んだ、役立った
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

今すぐできる「戦略思考」の教科書
今すぐできる「戦略思考」の教科書
超一流のセールスマンが書いた「戦略の教科書」
紹介エントリ

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
営業/データをもとに大型商談を科学
紹介エントリ

となりの億万長者
となりの億万長者
資産形成/資産形成の原理原則がデータと共に
紹介エントリ

ラクをしないと成果は出ない
ラクをしないと成果は出ない
フツーの人のために書かれた仕事術
紹介エントリ

すごい会議
すごい会議
トップマネジメントが経営に行き詰まったときに
紹介エントリ

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
社長失格
転ばぬ先の杖として/成功譚以上に学ぶものは多い
紹介エントリ1

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
ネクスト・マーケット
BOPという新たなコンセプトを世に提示したバイブル
紹介エントリ

ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)
ミクロ経済学
大人になってから経済学に興味を持った人のための入門書
紹介エントリ

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか
プロフェッショナルの条件
読むたびに新たな発見がある一冊
紹介エントリ1

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する
教育×破壊的イノベーション
教育関係者に/新しい教育の形を提示
紹介エントリ1

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
貧乏はお金持ち
雇われない生き方を模索し始めたときに
紹介エントリ

信長の洞察力 秀吉の速断力―歴史に学ぶ組織管理 (学研M文庫)

  • ライブドアブログ