fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

2010年06月

30

美しく、残酷なまでに日本的な

余りにもサッカー日本代表が素晴らしすぎたので、ついブログの更新が滞ってしまった。まったくもって面目ない。でも4年に1度だから、しょうがないよね。とも思う。ここ暫くは仕事や学業も手につかない人が多いんじゃないだろうか。

だが、それがいい。

日本代表は素晴らしい試合をした。脚本・演出:岡田武史、出演:日本イレブンで演じた壮大なスペクタクルは今日で第一幕が終了し、多くの観客がスタンディング・オベーションをおくっている。僕もその一人だ。

結果をもとにあれこれ言うことは出来る。
しかし、そんなことに意味がないことはほとんどの人が分かっていることだ。

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22

起業チャレンジ2011のご紹介:創業間もない企業への投資について考える

スカイライトコンサルティング社が起業チャレンジ2010の募集を開始したので、ご紹介。

起業チャレンジ2011

担当の方とは、かつてちょっとしたお付き合い(後述)があり、完全に中立な立場での紹介とはいかないのだけれど、そこはご容赦頂きたいところです。


起業チャレンジ2011 を認識したのはTwitterの@ecoecoechoさんのツブヤキ&疑問からでした。


どの程度儲かっているんだろう?という問いに対しては、かつてアーリーステージのハンズオン型のベンチャーキャピタルをしている知り合い(スカイライトではない)は次のようにいってました。

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21

お金がお金を呼ぶって、ホント?

ユダヤ人大富豪の教え非常識な成功法則など、

お金を持っている人にはお金が集まってくる。
お金は寂しがり屋。お金がお金を引き寄せる。

という法則を書いている自己啓発本は多い。確信犯的にその理由を説明していないというケースもあると思うけれど、理由を説明するのは面倒だし、理由を説明せず、とにかく信じろというのはラクでいい。自己啓発本で人生が変わったという人は多いと思うけれど、結局のところ人生を変えれるかどうかは本人の力によるところが大きいわけだから、

100人がある教えを受けたら、10人が信者となり、5人が実践して、1人が成功する。

というような、確率論で自己啓発の世界は表せるんじゃないかと思ったりもする。

そう考えると、多くの人に読まれる本、読まれた本が最も多くの成功者を産み出すことになる。世界で最も多く刷られている本は、活版印刷技術が生まれてから一貫して「聖書」だというが、それだけ多くの人が聖書を読み、救われてきたのだろう。

これ以上書くと、いろいろな所からお叱りも頂きそうなので、これぐらいでやめておく。
僕は自己啓発本は嫌いじゃないし、目標に向けて努力するということは、とても素敵なことだと思う。

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さて、冒頭のお金を持っている人にはお金が集まってくる。という法則も、きちんと分析すれば必ず理由が見えてくる。

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18

海外売上比率に見る、これからの国際化企業

仕事の資料を整理していたところ、面白いデータがあったのでご紹介。
下記は、国内の代表的な優良企業の海外売上比率と海外新興国の売上比率を示したグラフだ。

global

資料:榊原正幸著 大学教授が考えた本気で「株」で1億円!より作成


赤線は日米欧以外の国に対する売上比率で、青線は欧米をひっくるめた海外売上比率だ。

これによると、日本電産のように海外売上のほとんどが新興国という会社もあれば、任天堂のように海外売上比率は極めて高いけれど、米欧に依存している会社もある。武田薬品のように、海外売上は高いものの新興国ではほとんど存在感のない企業も存在する。

  • 日本電産 海外売上比率 50.0% 新興国売上比率 47.9%
  • 任天堂  海外売上比率 87.1% 新興国売上比率 4.4%
  • トヨタ  海外売上比率 63.6% 新興国売上比率 19.8%
  • 武田薬品 海外売上比率 46.3% 新興国売上比率 0.6%

もちろん産業によって、新興国への進出タイミングは異なってくるだろう。アドバンテストや日本電産のように、製造ラインで用いられる部品をつくったり、製造ラインで必要とされる機器を製造している会社は新興国での売上比率が高まる。

日本のお家芸である自動車や家電は一定の存在感を示すものの、現段階では裕福層を対象としたブランド商品という位置づけだろう。

アミューズメントや薬(大衆薬ではなく、医科向けの薬)などは、新興国が成熟した段階で市場が伸びていくのかもしれない。続きを読む »
15

様々な記事、様々な思い

昔は凄いと思っていた人やモノが、知識や経験を積むにつれ、

「あれ、ちょっと違うんじゃない?」

と感じるようになる瞬間ってあると思います。そんな時は自分に少し見る目がついた気がしてちょっと嬉しい反面、「あぁ、この程度の記事に喜んでいたのか(踊らされていたのか)。」と、ほんの少し寂しい気持ちになることがあります。

これはブログに限らず、テレビでも、新聞でも、(そして、ビジネス書や自己啓発書でも)およそメディアと呼ばれるもの全てに共通することではないかと思いますが、僕自身の心の変化みたいなものを図に表すと次の図のような感じになります。

blog


最初は発信されている情報に対する盲目的な信頼「スゴイ人もいるもんだ!」から始まるのですが、自分が保有している知識や情報の量が増えるに従って、同じ記事を読んでも「ますます、スゴイ!」と感じる場合と「結構、いい加減だな。」と感じる場合に分かれます。

まぁ、でも後者はとくに解釈の仕方でどのようにも取れるものも多く、そもそも政治も経済も経営も、自己啓発も歴史も答えはひとつではないわけで、根拠薄弱だったり、変な煽りが多かったとしても、最近は「それもあり。役割分担だよね。」と思うようになりました。

たとえ根拠が薄弱だったとしても、あるトピックに人の興味・関心を惹きつけるのは、大変重要なことなのですから。

最終的には、どのような記事であっても「書いていること自体がスバラシイ!」と思うようになるような気がします。それは、書いている本人(例えば僕)の成長の歴史であり、一歩踏み出した勇気の結晶であり、人に議論の種を与えるものであり、読み手のメディアリテラシーを高めるものなわけですから。
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「100万円の商品を10万円で提供しなさい」と言われました。

本当は別のエントリを用意していたのだけど、面白かったのでちょっと紹介。

BOP


「100万円の商品を10万円で売りなさい。(しかも利益は出るようにしなさい)」と言われたら、どういう工夫なり、イノベーションを起こすか。というワークショップ。

6月26日(土)に東京で行う予定の「BOP理解ワークショップ」で、本題に入る前に参加者の皆さんにグループで考えてもらう、アイスブレイキングのお題だ。

収入に余裕がなく、限られた購買力しか持たない途上国の国々にプロダクトやサービスを提供するには、この「購買力の壁」を超えなければいけない。

現在会社で扱っている商品が100万円ではなく、6000円であれば、600円や60円で売る方法を考えるというようにお題を自分で変えてみてもいい。いくつぐらい思いつくだろうか?

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11

アフリカという市場

今日、黒沢さん( post_office0328 )、斉藤さん( ryu_saito )と、Skypeでちょっとした会議をしていたのだけど、斉藤さんから、アフリカビジネスの現状に関して、いろいろと興味深い話を伺った。

これまでハッキリと言葉に出来ていなかったが、いくつかの「混同」がアフリカについて語ったり、理解することを難しくさせているような気がするので、その点について少し書いてみたい。(斉藤さんは、ケニア・ソマリアを中心に活動する、紛争解決のNGO職員。昨日の会議もSkypeでの参加だった。)


■アフリカの多様な国々

Africa

  • アフリカには53の国があり、9億6345万人の人が住む。
  • GDPはアフリカ全体で1兆3000億ドル。日本が5兆6000億ドルだから、アフリカ全体で見て、日本のGDPの4分の1弱のGDPだ。
  • 大きく5つの地域にわかれ、北アフリカは文化・宗教的にアラブと深いつながりがあり、中東・アラブと一括りにされることも多い。
  • それ以外の地域はサブサハラと言われ、言語も、所得水準も、政治の安定度も、国ごとに大きな違いがある。

アフリカには、南アフリカ共和国のように急速に豊かになっている国もあれば、世界最貧国のブルンジ共和国のような国もある。宗教のもと、政治的に安定している国もあれば、紛争が絶えない国もある。

本来、歴史も経済状況も異なる多様な国が集まっているのが「アフリカ」なのだが、アフリカという名のもと、様々な一般化をして考え、語ってしまいがちなところが、「アフリカ」を理解することを難しくさせている。

これが第一の混同だ。

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9

具体化と抽象化

昨年まで、年に数本の割合で企業のインターンシップで用いられるケーススタディーやゲーム型のコンテンツを作成していたのだけれど、そこで企業から求められたのは、徹底して「仕事の具体化」だった。

具体化とは、

「はっきりした形や内容を備えてくること。実体を備えてくること。」(goo辞書)

とあるが、実際に仕事を具体的にイメージすることができたインターンシップほど、参加した学生の満足度は高くなる。ちなみにインターンシップに限らず、会社説明会でも仕事の内容を具体的にイメージできたものほど満足度は高くなる。

これはよく考えてみると当たり前で、仕事を経験したことがないのだから、具体的な仕事を体験することへの欲求は当然高くなる。こういう層に対して、仕事体感という名のもとにゲーム等で楽しみながら仕事を理解するようなコンテンツに取り組ませるのは、ニーズを外していると言える。

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一方、マネジメント層や経営者層に必要な思考は、抽象化だと感じる。続きを読む »
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人も組織も、自己変革の連続ですね。

先日、「ゲームで学ぶ、企業経営」というセミナーを開催しました。
経営者や、その予備軍の方の参加も多く、僕自身大変刺激になりました。

よく設計されたビジネス・シミュレーションゲームは、個人の性格を色濃く反映するものですが、今回利用した「THE・商社」でも(手前味噌ながら)その傾向は結構出ていたように思います。

動くタイプか、考えるタイプか


ビジネスゲームを行うと、行動が得意なタイプ戦略が得意なタイプ2種類に分かれることが多いです(もちろん、強いひとは両方できますけどね)。チェスや将棋などは考えることが得意なタイプが勝つものですが、今回利用した「THE・商社」は交渉(営業)やチーム内での意思統一も重要になってくるので、必ずしも考えることが得意なタイプが有利になるとは限りません。

最初に美しい戦略を立てても、思ったように交渉したりチームをまとめたりできないと序盤に十分な資源が得られず、戦略が崩壊するというケースが結構あります。頭脳もお金も集めたが失敗した、という組織は決断力と行動力に乏しいケースが多いように思います。(そういう組織って多いんじゃないでしょうか。)

特に序盤から中盤にかけては、巧みに交渉をまとめる行動タイプが強かったりします。しかし、その後は戦略を上手く形にしたチームが勝つ傾向が強いです。

現実社会もこのようなケースっておおいにあって、社長一人で作り出せる売上は2億まで。みたいな経験則がまことしやかに語られたりしますが、行動と思考のバランスをチームで巧みにとっていくことが成功には必要なのだろうと思います。(もちろん、事業構造の違いによって、社長一人で作り出せる売上の上限は2億になったり10億になったりはしますけれど。)

wall

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4

俺はまだ、強いのか?

みなさんコンニチハ!
「大切なことはみんな、マンガが教えてくれた」の著者(※)fukuiと申します。

本日ご紹介するのは、5月に発売されたバガボンド最新刊。

バガボンド(33) (モーニングKC)バガボンド(33) (モーニングKC)
著者:井上 雄彦
販売元:講談社
発売日:2010-05-27
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


年内に完結するという噂のバガボンドですが、井上雄彦の筆は完結を前に鈍るどころか、ますます冴え渡っています。この漢(おとこ)、やはり神というしかない‥。

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さて、個人的にバガボンドには非常に深い思い入れがあります。主人公の武蔵の成長とともに、僕も心の成長を遂げてきたといってもいいくらいです。ちと今日はその思い出をまとめてみたいと思います。

自分でも顔から火が出るくらい恥ずかしいのですが、かつての僕はいろいろなものと闘っていたように思います。ちょうど大学時代は今と同じぐらいの非常に厳しい就職氷河期でしたし、ネットバブルのただ中でもありました。

その頃は、ビジネスで成功したい!皆を見返してやりたい!という思いで頭が一杯で、それこそ脳の8割ぐらいはそんなことばかり考えていたように思います。人の痛みとか、世間に対する興味・関心よりも、とにかく自分の成功。そんな感じです。まさに、天下無双を志す武蔵のような気持ちでした。

その気持ちが変化してきたのが、社会人6年目ぐらいの時だったように思います。体を壊すぐらい働いて、周囲の人にも迷惑をかけて、得たものは、残ったものは何か。ふと、そういうことを考えるようになったのです。

自分はいつも何かと戦っている。何かを敵に見たて、そこに対して怒りをぶつけることで、自分自身の力に変える。見えない敵と必要もないのに戦っている自分がいる。そんな風に思うようになりました。

koheyそんな時に、以前見たときはなんとも思わなかったバガボンドの台詞が目に飛び込んできたのです。それは、辻風黄平(宍戸梅軒)が武蔵との戦いに敗れた後に吐く言葉。

「殺し合いの螺旋から、俺は降りる」

いろいろな解釈の仕方があると思うのですが、剣のみに生き、強さを追い求めてきた武蔵達、剣客の生き方は、現代に置き換えていうと、権力なり収入なりを追い求める生き方と似たものがあるのではないかな。とその時思ったのです。

もちろん、それは悪いことではありません。まだ見ぬ高みを目指し、己を磨く。それ自体は素晴らしいことのはずです。

しかし、見えていた位置にたどり着いてみると更に上が見えてしまう。終わりのない、螺旋。これは、何なのか。

そんな中、小次郎と武蔵に破れた黄平。自分を信頼する小さな家族が出来、家族とともに生きることを決意したことを匂わせる黄平の言葉からは、敗北したにも関わらず、今までとは異なる形の勇気と神々しさを感じます。


世界と闘い、人との差を創りだしていくことを幸せと感じていた自分に、「自分にとっての幸せとは、本当のところ何なのか」を問い直すきっかけを与えてくれた一言です。

僕はこのバガボンドで提示された問いがきっかけとなり、一度生まれ育った地元である富山に帰り、限りある時間を家族とともに過ごすことにしました。

さて、辻風黄平は小さな家族が出来たこと、そして戦いに敗れたことをきっかけに、武蔵よりも一足早く「殺し合いの螺旋」から降りることになります。しかし、武蔵は随分長い間、天下無双という亡霊と戦い、その先にあるものを探し続けます。そしてついに天下無双というものが単なる幻に過ぎないことに気付きます。

私は、これですっかり武蔵が心の成長を遂げ、この精神状態のままエンディングに向かうと思い込んでいたのですが、

まさか、その先に更なる心の成長があったとは!!
(※以下、ネタバレ含みます。)

musashi

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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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