fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

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今週の一冊 『百億の昼と千億の夜』 光瀬 龍 -8冊目

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宇宙や生命のことを考えると、誰もが心にわずかなざわめきを感じる。
僕たちはその不思議に魅せられ、答えのない問いをしては、宇宙や生命の神秘に畏敬の念を覚える。

 

 

 

・人体は一つの小宇宙のようだ。人体は六十兆個の細胞からなり、死と誕生を繰り返しながら、いつしかその生を終える。時にコントロール不可能なまでに増殖する細胞が現れ、これは癌として認識される。

・地球はひとつの生命体のようだ。雷は脳波を、マグマは血液を、水は酵素をあらわし、それらの恵みで生きている生物は、人体の中に生きる様々な微生 物のようだ。さて、無制限に増殖し、地球を汚染する人類は、地球を人体にたとえるとどのような存在として認識されるのだろうか。

・コンピューターが果てしなく進歩したらどうなるのだろうか。今は簡単なシミュレーションを行えるだけだが、たとえばハードディスク内の様々なデー タが自律的な意思を持ち、進化するようになったらそれらは一つの生命と呼べるのではないだろうか。われわれの住むこの宇宙ですら、より高次の存在が戯れの 中に作った箱庭のような存在でないと否定することはできるのだろうか。

・宇宙はビッグバンから始まった。初期の宇宙には水素のみがあった。超高圧の中で水素はヘリウムを生み出し、初期の星たちが生まれた。そういった星 星の中心部は超高圧の空間で、そこで、さまざまな元素が生み出された。やがて星はその生命を終え、宇宙にエネルギーを拡散した。我々が住む地球は、星の誕 生と死を繰り返し3世代目の存在である。では、ビッグバンの外には何があったのだろうか。

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今週の一冊 『希望の国のエクソダス』 村上 龍 -7冊目

kibou「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない。」

これは、物語のキーマン、中学生のポンちゃんが、国会中継を通じ、世界に対して発するメッセージだ。

 『希望の国のエクソダス』は社会に溢れる閉塞感の中で、オトナのつくった秩序やルールに納得できない中学生たちが、インターネットと法律、金融の知識を活かして、日本という国を脱出(エクソダス)し、自分たちの理想の国をつくる。という話。

読んでみて強烈に感じたのが、村上龍の時代を読む感性の鋭さだ。
2000年に出版された本だが、今でも古さを感じさせない。

物語は、日本を捨てパキスタン北西部、アフガニスタンとの国境境でパシュトゥーン(戦闘的な部族民のひとつ)として生きる10代の少年がCNNに取材されるところから始まる。

村上龍は、執筆当時流行していたグローバリゼーション、アメリカ的な金融・経営システムとは異なる価値観を描くことで、価値観と多様性の理解の必要性を説きたかった。と語っているが、彼が感じていた問題が現実化する出来事が出版から1年後に起きる。言わずと知れた、9.11 同時多発テロだ。

この本を読むと、テクノロジーは進歩したかもしれないが、日本という国は2000年から何も進歩していないということがわかる。経済・雇用・少子化・外交といった日本が抱える様々な問題は悪くなりこそすれ、良くはなっていない。私達にも、それぞれが出来る方法で、希望の国をつくる努力が求められているのかもしれない。

(オススメ)
-- 自分にとっての希望を考えたいオトナに。まだ諦めていない全ての人に。
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もう、ここだけでいいと思った。 赤坂/Bar DIIYA

東京で仕事があるときは、ジョブウェブのオフィスがある六本木~赤坂に宿を取る。
仕事が終わった後は、特にホテルにいってもやることがないので、自然と足はBarに向かう。

六本木方面は道路も店も騒々しいので、一人で飲むときはもっぱら赤坂だ。

とにかくいろんな店で飲んでみるか。と思って、毎日違う店を回る生活をするようになった。
週に3日。いろんな店を回る。

しかし、そんな生活を3ヶ月も続け、回った店が40軒を超えたころ、
「もう、ここだけでいいや」と思えるBarに出会った。

それが、 「DIIYA」


DIIYA

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今週の一冊 『深海のYrr』 フランク・シェッツィング -6冊目

深海のYrr 〈上〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)深海のYrr 〈上〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)
著者:フランク・シェッツィング
販売元:早川書房
発売日:2008-04-23
おすすめ度:3.5
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2004年ドイツで出版され、200万部を超える大ベストセラーとなった本作。専門家への取材や現地の調査に4年の歳月をかけた本書は、海洋冒険物語の大作中の大作だ。

日本では文庫本が2008年春に発売されたが、当時は地下鉄の車両の中に、「深海のYrr」を読んでいるビジネスパースンを本当に良く見かけた。

始まりはペルーだった。静かな海で漁師たちの行方不明が相次ぐ。北海油田があるノルウェーの近くでは、メタンハイドレートを食べる奇妙な
ゴカイが現れ、カナダ沖では、クジラが人を襲いはじめる。フランスではロブスターが爆発し致死性のウイルスが撒き散らされる。

母なる海で、いったい何が起きているのだろうか。。

あらすじはこんな感じ。

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今週の一冊 『ミラクル』 辻仁成 -5冊目

とても大切な人がいるとして、その人の記念日に贈るべき一冊を聞かれたら、辻仁成「ミラクル」を迷いなくオススメします。
ジャズピアニストのシドと、その小さな息子、アル。
アルの母親はアルの出産と引き替えに亡くなっていたが、それを信じたくないシドは、アルに小さな嘘をついてしまう。

「ママは生きている。忙しくて会えないだけだ。雪の降る日に帰ってくる。」
それから二人きりの旅がはじまった。暑くなれば北に、寒くなれば南に。雪を避けるように、シドはアルと旅を続ける。

そんなある日、降るはずのない南の町で、雪が降る
アルがはしゃげばはしゃぐほど、シドの心は暗く沈む。
思い詰めたシドは、一緒にコンビを組んでいる歌手のミナに相談し、
母親を演じてもらうことをお願いするが…。

何かを信じることが難しくなっている。
信じて裏切られることは、やはり辛い。
仮に奇跡がうまれるとしたら、それはきっと形のないものだ。

<オススメ>
-- 信じて傷つき、信じて報われた経験のある全ての大人に

ミラクル (新潮文庫)ミラクル (新潮文庫)
著者:辻 仁成
販売元:新潮社
発売日:1997-07
おすすめ度:4.5
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今週の一冊 『王家の風日』 宮城谷昌光 -4冊目

歴史が僕たちに教えてくれることは本当に多い。

中国史を中心に歴史小説を書き、かの司馬遼太郎に絶賛された作家、宮城谷昌光。
彼の処女作が、今回ご紹介する「王家の風日」です。

時代は3000年前の古代中国。当時の王朝 殷(商)の滅亡を描いた作品です。殷の滅亡といえば、封神演義の物語・マンガや太公望の伝説で有名だと思いますが、宮城谷昌光はそこに歴史家の冷静な視点を加えています。そこが、面白い。

例えば、国民をないがしろにし、「酒を池に満たし、肉を木々に吊し、盛大な宴を開いた」という『酒池肉林』の伝説も、彼の視点を踏まえて考えると、祭祀国家である殷の性格を考えると一方的に悪とは言えず、当時の時代背景としてはありえることだったんだな。とか、殷が滅びたのは、悪政もさることながら、神々が治める国から、人が治める国への必然的な時代の流れだったのかな。と考えさせられます。

先日、日本でも政権交代が起こりましたが、既存の仕組みが限界を迎え、政権交代が起きた。と考えれば、3000年前も今も、為政者は(例え優秀な為政者であったとしても)常に、既存の価値観を守る側にたち、国民の声は聞こえないものなのかな。と。

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今週の一冊 『月と六ペンス』 サマセット・モーム -3冊目

月と六ペンス (角川文庫)月と六ペンス (角川文庫)
著者:サマセット・モーム
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2009-01-24
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ポケットに本を一冊忍ばせて、公園や浜辺で気がすむまで読書にふける。そんな休日の過ごしたい人に手にとってもらいたい小説。『月と六ペンス 』

株式仲買人を生業としている40男、ストリックランド。彼はある日突然、妻と子、安定した生活を捨てて姿を消す。社会と人間を拒絶し、彼は海に浮かぶ極彩色の島で「絵」を描き続ける。彼は「絵」を売ろうとはしない。また、買いたいという人もあらわれない。彼は「絵」を描き続け、いつしか死を迎える…。

まぁ、そんなストーリーです。
恥ずかしながらfukuiはこの小説と出会い、小説家を志すことを決めました。

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三國志的社内コミュニケーション「キミのために、俺は俺のレッドクリフを戦う。」

2007年11月23日に書いたエントリ、僕は馬岱ですよ。
各方面から好評を頂いた(ウソ)。

ぶっちゃけ、R25の「スマートモテリーマン講座」にそのうち取り上げられると思うので、
今のうちに書いておく。俺が先に論文発表したんだぞ。と。

—-

上司や部下、親や友人に、「おまえ生意気なんだよ!」「なんかダサくね?」はたまた、「無能者!!」などと叫ぼうものなら、あなたの交友関係に深刻 な影響を及ぼすことは想像に難くない。上司にそんなことを言おうものなら、あなたのその会社での出世はないと考えていいだろう(しらんけど。)

しかし、
どうしても、
時には、
声を大にして
男には

言わねばならぬことがある。

そんなときは、人物を三國志の登場人物に例えて評価することをオススメしたい。
僕が好きな三國志の登場人物を何人かピックアップしよう。

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ビジネス上の競争を優位に進める「高機動」

明日、後輩の誘いで千葉までいって、「サバイバルゲーム」をしてくる。エアガンを持って、ゴーグルをして、定められたフィールドで旗を奪い合う。というヤツだが、遊びにいくわけではない。(たぶん、きっと。)
後輩が「サバイバルゲームを通じて真剣に戦略・戦術について学べる社会人向けの講座を創るのです!」と意気込んでいたので、まずは「講座化」の可能性があるかどうか、有志でトライすることにしたのだ。

----

さて、本題。

戦略に関しては、カヴァーする範囲が広く、オプションが多岐にわたるので、「必勝のセオリー」を導き出すのは難しい。しかし、戦術に関しては、「必勝のセオリー」が存在し、これはビジネスにも応用が利く。


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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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