fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

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結局のところ一人一人が強くなるしかない

僕は「人」「組織」という切り口で10年ばかり仕事をしてきたんだけれども、だからこそ、

政治にしても経済にしても、一人一人が考え、判断できるように強くならなければ、どれだけ良い指導者が生まれてもムダだろう。

と、どうしても考えてしまう。だからこそ、ネットで政治や経済に対して自分なりの意見を述べている人に対しては、それがどういう意見であれ、大変好感を持ってしまう。

国という存在も、企業という存在も、僕の目から見たら似通った存在で、トップがどれだけ優秀でも、その下で働く一人一人が優秀でなければ、トップが変わったとたんにその組織はダメになってしまうんですよ。僕は、このブログの場を提供してもらっているライブドアという会社が好きなんだけれども、ホリエモンというカリスマが去った後も、一人一人が卓越した技術者で自己責任で生きる人たちだったからこそ、ここにきて企業価値をまた上げ始めているんじゃないかと思う。

もちろん、組織を構成する一人一人が優秀でも、トップが無能だと、やっぱり組織は腐ってしまう。しかし、日本は民主主義の国で、どれだけ腐った集票の仕組みがあり、民意が反映されない政治の仕組みになっていたとしても、結局のところ、その腐った集票の仕組みを認めているところまで含めて民意なんではないかと思うのです。

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人生の差別化戦略


湯川鶴章のIT潮流 : 強者に挑む場合は戦いのルールを変えろ

今回、退社するに当たって社の幹部から「お前のように社を代表しているような知名度のある記者が辞めるとなれば、波紋が大きいのだからよく考えて行動してほしい」と言われた。
(中略)
そんな僕がここまでこれたのは、やはり一人だけ違うルールで戦ってきたからだと思う。周りの人間は全員、経済記者としての王道を歩もうとしていた。うちの会社の場合、経済記者の王道とは、日本銀行の記者クラブのキャップを経験して、マクロ経済について論じる記者になるということだ。IT産業の専門記者というと、その王道を歩めなかった落ちこぼれということになる。


今の時代、この考え方って凄く大事だと思う。すごく共感する。


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習作) 命を読むひとの物語

シオン。それが僕の名だ。
物語を創り、その物語を求めるたったひとりのために、物語を読むことを仕事にしている。

多くの人に読まれる作品を書くことが僕の仕事ではない。
僕は、たった一人のために、物語を書く。
その人が、最も輝いていた一瞬を切り取り、その記憶を永遠のものとするために。

誰の依頼でも受けるというわけではない。時には断ることだってある。
必ず、依頼主が喜ぶ作品を書くというわけでもない。そこに真実が無ければ、僕の筆は進まない。
それがために、命を狙われることもある。

ひとことでいうと、割に合わない仕事だ。
けれど、僕はこの仕事を愛している。
時々出会う、人生の真実に僕は自分自身の生を感じる。

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植物が新緑に染まる5月。僕はある富豪から依頼を受けた。
日本でも有数の国際企業を営む創業者一族からの依頼だ。
執事とおぼしき男性から連絡を受け、僕は指定されたホテルのBarで一族の長と会う。

「母の物語を書いて欲しいのです。」

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人生の変革 - 現代の「身分制度」を乗り越える

NHKの『坂の上の雲』が面白い。後半の日露英雄物語になってから読めばいい、という人もいるが前半の明治の若者達のイキイキとした姿が描かれているからこそ、単なる戦争モノで終わっていないのだと思う。

何故、これほどまでに『坂の上の雲』が好まれているのか。それは、明治に生きた少年達、そして日本という国そのものの成長の物語だからだ。

それはさておき、第二話の最後のシーン。フランスに留学した青年秋山好古が、日本騎兵の設立を国家から一任されることになる場面。人材不足の国故に、若者に特定の分野の責任を任せるしかない。という状況説明の後に、「これが明治という時代の面白さであった。」というナレーションで締めとなる。この最後の部分に感動して泣いた。という人が男女問わず僕の周囲で多かった。(僕自身は、好古がフランス行きを決心し、答える場面が一番の涙シーンだった。賛否両論あるところだと思うが。)

この部分に関して自分なりに思うところがあったので、少し整理してみようと思う。

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全自動化された「ひとりぼっちの宇宙戦争」


故藤子・F・不二雄氏のSF短編集に「ひとりぼっちの宇宙戦争」という作品がある。小学生の頃に、僕はこの作品をどきどきしながら読んだ。何度も読んで、何度も感動した。

高度に文明の進んだ宇宙人が地球を訪れる。宇宙人はその星を侵略する前に、「代理戦争」という形で一度だけ侵略を回避するチャンスを与えていた。
誰も知らないうちに住人のひとりがランダムに選ばれ、知能・体力が等しいコピーロボットと「時を止めた地球上で一晩だけ」戦わせる。住人が勝てば何事も無かったように立ち去り、コピーロボが勝てば、侵略する。選ばれたのは、運動が得意なワケではない、特別勉強ができるわけでもない、友達と笑い、恋をする、どこにでもいるごく普通の中学生だった。

という感じのストーリーで、選ばれた主人公の中学生は、宇宙人から剣と盾を与えられてコピーと戦う。ただ、知能も体力も同じなので、なかなか決着はつかない。そんなとき、コピーが足を滑らす。絶好のチャンス。主人公はトドメを刺そうとするが、自分とうり二つのコピーに剣を突き立てることを一瞬躊躇する。そこから、コピーの反撃が始まる。主人公は「ロボットに勝てるはずがない!」と叫ぶ。宇宙人はそんな主人公に、「地球人がもつたったひとつの武器」で戦え。とアドバイスする。

という流れ。主人公は盾をなくしたり、逃げ込んだ先が好きな女の子の部屋だったり。といくつかの事件をへて、「地球人がもつたったひとつの武器」を使って、最終的にコピーに勝ち、侵略を回避する。


小学生の頃の僕は、宇宙人が地球を静かに去ったのは、主人公が代理戦争に勝ったからだと信じて疑わなかった。やったぜ、守りきったぜ!というアルマゲドンライクな世界だ。

しかし、大人になった僕の感じ方は違う。

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正しいはずの小泉・竹中路線がイマイチ好かれないワケ


アゴラ : 株価が予言する民主党政権の未来

を読んで、自分なりの考察などを書こうと急に思い立ちました。
以下は、藤沢氏の論文(コラム?)の抜粋です。

(前略)
驚くことに小泉政権はわずか数カ月の間に世界の先進国の株価を20%以上もアウトパフォームしたのである。その後も日本の株価はずっと高止まりしていた。まさに日本株のひとり勝ち状態だったのだ。一部の民主党幹部から市場原理主義だと非難された小泉政権だが、この間失業率は3%台で推移して、赤字国債と税収のプライマリー・バランスははじめて継続して改善しつづけたのである。小泉・竹中政権の成長戦略をみて、世界の投資家はこれならまた日本は復活する、日はまた昇ると確信したのだ。そして株価は素直に上昇した。
本来、勤勉でモラルの高い日本人はものすごいポテンシャルを秘めている。しかし、経済成長を阻む巧妙な仕組みが既得権益層によって国中に張り巡らされてしまっているのだ。経済成長はベンチャー企業などの新しいチャレンジャーにより実現される。しかし既得権に安住する者が政治と癒着して新規参入者を排除しようとするのだ。逆にいえばそういった構造を改革していけば、日本はまだまだ世界の中でやっていける。2005年の株価はそのことを雄弁に物語っているのだ。
皮肉なことに、弱肉強食の小泉・竹中政権が結果的には一番弱者にやさしかったのだ。

僕は小泉・竹中政権は素晴らしかったと思っているし、総論では藤沢氏に賛成なのだけれど、小泉・竹中路線が「結果的に一番弱者にやさしかった。」というところに関しては、まぁ、長期的に見ればそうだろうな。と思うのだけれど、やっぱり労働者の視点が抜けているために、大多数の日本人(すなわち、企業につとめる一般のサラリーマン)の理解はなかなか得られないのかな。と思います。

財務省が出している法人企業統計調査によると、

  • リーマンショックが起こる前の10年間で、法人企業の経常利益は28兆円から53兆円に増えた。(+25兆円)
  • 一方で、従業員に支払われる給与は147兆円から125兆円に減った。(-22兆円)

と、なっています。

法人企業統計調査はサンプル調査による試算だけれど、傾向を把握する分には問題ないのでこのまま使います。藤沢氏や多くのネットの論者のように、日常的に投資活動をしておられる方(海外のプロ投資家も含む)であれば、労働収入よりも資産収入が多い方もいらっしゃるだろうから、株価の上昇が直接的に収入の増加につながるのだと思いますが、藤沢氏がおっしゃっておられる「弱者」は、おそらく金融資産をもっておらず、それを運用するフィナンシャルリテラシーも持っていない人たちを指すのだろうと思います。まぁ、僕もその一人です。彼らは、自らの収入を労働による対価としての給与にもとめるしかないのです。

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小説家になるって、実際のところどれぐらい難しいことなんだろうか。

自分の中でもうまく結論が出せていないんだけど、小説家になる!ってどれぐらい難しいことなんだろうか。と、最近よく考える。それは起業するより難しいことなんだろうか?例えば難関資格を取ったり、国内外の難関大学に入ることよりも難しいんだろうか。画家や音楽家になるのと比べたらどうなんだろうか。

退職を決意した時は、天啓を受けたような感じだったので、いまだに人に上手く説明できないんだけど、2009年12月4日の僕の感情としては、

会社という組織を離れて生きていく強さを身につけたい。

突き詰めていくと、この理由から退職を決意したのだと思う。暖かい庇護を離れ、本当に生きていけるのかどうか。自分にそれだけの価値があるのか、試してみたい。ってところだと思う。

とりあえず、今までやってみてわかったことは、とりあえず今の僕にはあんまり価値がない。ということだ。今まで自分で「こういう力がある。」「こういう実績がある。」と思っていたものは、すべて周囲の暖かい心遣いや組織の力があってのものだということがわかった。とりあえず、それがわかったことはものすごく収穫で、それだけでも先の見えない退職をすることにした価値はあったと思う。

もうひとつ。時間があるということは素晴らしいことだ。ということもわかった。たくさんの空いている時間があり、それを自分の好きな勉強や思考、創作活動に使えること。というのは何事にも代えがたい贅沢だ。と感じるようになった。また、すべてが学びの場であり、スポンジのように知識や経験を吸収できる若手の時期を過ぎ、自分の能力に伸び悩みを感じていた僕にとっては、これまでの延長線上にある仕事に時間を使うよりも、他の分野の学習や思索に時間を使ったほうが、身につくものが多いということもわかった。


そこで、話は冒頭の問いに戻るわけなのだが、
小説家になる!ってどれぐらい難しいことなんだろうか。実際のところ。

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習作)ある経営者の告白


僕は仕事がら、経営者にインタビューをすることが多い。経営者にインタビューし、それを適当に文字に起こし、ゴーストライターとして、ありがちな成功法則のまとめ本や、ビジネス雑誌に1ページあたりいくらという値段で買い上げてもらうのだ。

2ページの原稿を書くことができれば、1週間は暮らせるし、もし運よく3ページで採用になったら好きなバーに飲みに行くことだってできる。「将来は見えないけれど、悪くない仕事だ。」自分に言い聞かせる。言い聞かせた後、言い直す。「悪くない仕事だ。」このご時勢、仕事があるだけでも感謝しなければ。

インタビューというと、宣伝も兼ねて引き受けてくれる社長が多い。癖のある社長もいれば、正直電話するのが嫌になるような高慢な秘書もいるけれど、社長自身はおおむねいい人だ。秘書はわからない。秘書には嫌いな人が多い。自分で判断する頭も持たないくせに、「自分は秘書なのよ!」って感じでお高くとまっている。こういう人に限って権力者の前では媚をうったりもする。もっともそれは僕のコンプレックスがそう感じさせるだけなのかもしれないけれど。僕は不必要なほど、プライドが高い。プライドは邪魔だ。ライターとして一人で働き始めてから、何度この言葉を自分に言い聞かせたことか。

今日は一風変わった経営者の話をしたい。100人以上インタビューしてきた人の中で一番印象に残った方の話だ。しかし、ビジネス雑誌に送る原稿ではこの部分は省いた。記事のコンセプトに合致しなかったからかもしれないけれど、もう少しプライベートな場で公開したかっただけかもしれない。

その社長はITの分野で起業して30代にしてひと財産を築きあげた人だ。インターネットのあるサービス分野でNo.1のシェアを獲得している。仮にその人をN氏としよう。今日はその人の話をしたいと思う。

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関羽と張飛、伏龍と鳳雛 その2

さて、前回の続きです。

「天下三分の計」というのは、土地もなく民もいない劉備に孔明が授けた、本当に天才戦略家、孔明だからこそ描けた策なのですが、その要となる益州攻略(蜀の建国)を軍師として行ったのが、鳳雛こと龐統でした。

国もなく、民もなく髀肉之嘆をかこっていた劉備は司馬徽こと水鏡先生に会います。そして、「伏龍と鳳雛このどちらかを得れば天下も握れる。」と いう話を聞きます。伏龍はまだ池の淵で眠り、天に昇ろうとしない龍のことで、諸葛亮をさします。そして、鳳雛というのは鳳凰の雛のことで、龐統のことを指 します。まだ世に見出されていない才能がいるよ。ということを劉備に伝えているのですが、先ほどのどちらかを得れば~というのは実は創作物である三国志演義の話で、正史では「伏龍と鳳雛を手に入れれば天下を握れる。」という表現がされています。そう、「両方ゲットしなきゃだめよ」といわれているのです。三国志演義で「片方でいいよ」という変更は、架空の女性、貂蝉を生みだしたのと同じぐらい、大きな創作だったと思います。

おそらく、諸葛亮を神格化するために、このような表現をしたと思うのですが、実際は司馬徽の人物評がきわめて正しかった。なぜなら、諸葛亮は政治家であり、龐統は軍略家であったから。戦略家と戦術家といってもいい。

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関羽と張飛、伏龍と鳳雛 その1

sanguo 最近civ4の三国志modにハマっている。civ4は2006年の6月に無印を買ったわけだから、かれこれもう3年半もの間、飽きずにひとつのゲームをやり続けていることになる。(もちろん、その後BtSなどの拡張パックへ以降はしたが。)

コアとなるゲームエンジンが最高なために、アマチュアがアレンジしたmodでも、能力ゲーと化したKOEIの三国志シリーズよりもはるかに楽しめてしまうのが恐ろしい。戦略・外交の奥深さはKOEIゲームに物足りなさを感じる戦略マニアには絶対に受けるはずだ。それでいて、武将の能力もきちんと反映されていて面白い。圧倒的な兵力差があると、どれだけ優秀な将がいても蹂躙される。というバランス、それでも同じ兵力だったら、たとえテクノロジーが劣っていようとも、守るだけならなんとかなる。というバランス。どれだけあがいても呉や蜀が魏に勝てない理由がわかる。ただし、蜀は山岳地帯で。呉は揚子江という天嶮に守られて守るだけならなんとかなる。というあたりが、自然と3国鼎立の状態を生みやすく、かつてこれほどまで面白い三国志ゲームに出会えたことはなかったように思う。

三国志modに触発されて、改めて蒼天航路を読み始めたりしています。

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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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