3月のライオンというマンガがある。作者は「ハチミツとクローバー」などで有名な羽海野チカさんだ。厳しいプロ将棋の世界を、優しいタッチで描いた作品だが、プロフェッショナルとは何か。キャリアとは何かを考える際に参考になる話がいくつも出てくる。そこだけ取り上げると「働きマン」みたいだ。

さて、その話の中に、主人公の桐山零がトーナメント戦の、次の対局相手のベテランの研究をそこそこにし、決勝で当たると思われる相手(後藤)の研究を一心にする。という場面が出てくる。その研究中の姿をたまたま見かけたのはスミスと呼ばれる別の棋士。零の友人でもある。

スミスは後藤の準決勝で当たることになっていた。スミスが勝ち抜くとは微塵も考えず、後藤の研究を一心にする零。その姿を見てスミスは心を痛めるが、「勝てるかもしれない。」「優勝できるかもしれない。」そう考えるやつじゃなきゃ、プロの世界の頂点には絶対に立てない。と思いを馳せる。

零は後藤と当たることはかなわず、研究をないがしろにしていたベテラン棋士、島田に敗れる。そして、スミスは後藤に敗れる。そして、お互いがお互いを恥じ、悔いる。プロの厳しい世界を描いた良作だ。

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