企画を出してから、承認され実行されるまで、嫌になるほどチェックを受けなければならず、実行に移したときには既に遅すぎる。みたいな、そんな企画が世の中にはたくさんある。クリエイティブな人にとっては上司に対する不満の一番の原因がこれだろう。

「危機的状況なのに、上の人間は何もチャレンジしようとしない!!」

ってね。

僕もどちらかというと、創造と挑戦をこよなく愛するほうなので、こういいたくなる気持ちは痛いほどわかるのだけれど、一方で上の人間の意見もわからなくもない。

それなりに大きな企業になると、投下するコストに対して、それなりのリターンが求められるからだ。例えば大手企業であれば、人件費なども高い。それなりに力のある人を3人ぐらいプロジェクトの専任メンバーとして手配すると、コスト面では5000万や1億ぐらいは簡単に吹っ飛ぶ。

彼らを、既に成功している主力事業に突っ込めば、その数倍の売上や利益が見込める場合も多いだろうから、機会損失はそれ以上になる。(優秀な人であればあるほど、機会損失は大きくなる。)

そのコストの見合ったリターンを得られる事業を生み出せるかどうか。これは大変難しい。
誤解のないようにいっておくと、単に黒字化する事業を産み出すだけであればこれほどは難しくないだろう。経営者としては、その優秀な人材を既存の成長事業に投下して得られる利益よりも多くの利益を新規事業に求めなければ、なかなか新規プロジェクトにGOの決断を出せないのだ。

論理的・合理的な経営者ほど、短期的には優秀な人材を主力事業に突っ込んだほうが儲かることがわかっている。中長期的には主力事業が衰退することがわかっていても、なかなか踏み切れない。新規事業はどのようなものでもリスクが高いからだ。続きを読む »