fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

大学

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秋田 国際教養大の驚くべき戦略

前回のエントリでは、人口減少時代の大学教育について考察しました。
そんな中、人口減少時代のモデルとも言える活動を展開している大学の記事をみかけたので、紹介します。

〈学長力〉秋田発 世界標準に 国際教養大 中嶋嶺雄学長

よくある大学の戦略や学問のあり方を語るだけの記事であるならば気にもしないのですが、ブームにのって設立された新設大学と違い、しっかりしたコンセプトと戦略を感じたので、ご紹介したいと思います。

国際社会で活躍出来る人物を育てる、というコンセプトのもと、国際教養大では

  • 授業は全て英語
  • TOEFL550取得必須
  • 1年間の留学を義務付ける

以上の方針をとっています。これだけでも十分素晴らしいと思いますが、更に感心したのは教授の選抜方法です。前回のエントリで説明した、教育と研究は違う。ということを十分理解し、教員の選抜を行っているです。以下は、学長の言葉です。

「教員はほとんどが国際公募で、当初20人の募集に400人以上来ました。その中の60人に面接し模擬授業をやってもらったのが非常によかった。経歴だけ見ると、ケンブリッジやオックスフォードで博士号を取った人もいたが、研究と教育はかなり違う。若い人に教養を教えられるかどうかを見ました。
新設大学として、大学が持つ研究の側面を捨て、教育にフォーカスしています。資源に限りがある新設大学としては極めて正しい戦略です。

  • 教職員の任期は3年で固定

そのため、人件費を抑えつつ、若く、優秀な非常勤講師を揃えることも出来ていると思われます。

ユニークで時代に即した教育方法を取り入れることで、高い教育効果を上げていると思われますが、
驚くべきは、これだけではありません。

高い教育効果が就職に大きな影響を与えているのです。
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人口減少時代の大学教育はどうなるか

事業戦略を立てる際に、外部環境分析は、真っ先に行う分析です。
中でも、単純ながら効果的に機能し、確実に生じる未来を予測出来るのが人口動態の変化です。

P・F・ドラッカーは、イノベーションのための7つの機会の一つとして人口動態の変化を挙げ、その中で1970年代のアメリカの大学を事例として取り上げています。

1970年当時、アメリカでは、学校の生徒数が、少なくとも10年から15年間は、1960年代の25%から30%減になることが明らかになっていた。つまるところ、1970年に幼稚園児になる子供は1965年以前に生まれていなければならず、しかも少子化傾向が急に変わる様子もなかった。

ところがアメリカの大学の教育学部は、この事実を受け入れようとしなかった。子供の数が年を追うに従って増加することは自然の法則であるとでも考えているかのようだった。そうして彼らは、教育学部の学生の募集に力を入れ、その結果、わずか数年後には卒業生の就職難を招き、教師の賃上げに対する抑制圧力を生み出し、挙句の果てに教育学部の廃止を余儀なくされた。

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専門家たちが、自分たちが自明としていることに合致しない人口構造の変化を認めようとせず、あるいは認めることができないという事実が、起業家に対し、イノベーションの機会をもたらす。しかも、リードタイムは明らかである。すでに変化は起こっている。(イノベーションと起業家精神<上>)

さて、日本は未曾有の少子化に直面しているといいます。このような環境下で日本の大学はどのような取り組みを行うべきか、少し考察してみたいと思います。続きを読む »
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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