fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

プロジェクトデザイン

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事業を創造・推進できるのはどういう人か

Learnputの営業時間が終り、オフィスを片付けながら社長の平木さんと「事業を創造・推進できる人はどういう人か。」という話題になった。

実はこれには模範解答があって、素早くEAチェーンを回すことが出来る人、となる。

EAチェーンとは、以前このブログでも紹介した、今すぐできる「戦略思考」の教科書 ビジネス本を何冊読んでも身につかない人のための「戦略思考」の教科書で述べられている概念で、E(Experiment:実験)とA(Adapt:適用)を素早く繰り返すことを指す。

ビジネスの基本は、G-PDCAサイクルを回すこと(Goalを定め、Plan-Do-Check-Actionを繰り返すこと)だが、頭でっかちの人やリスクを極端に恐れる人は完全無欠のPlanを建てることに固執する余り、結果的に事業機会を逃してしまったり、より正確な情報(=すなわち実験の結果)を得る機会を失ってしまったりする。

日本の大企業のように、事業を実行に移すまで数多くの稟議を回さなければいけないような職場であれば、一人ぐらいは最悪の辞退を想定するあまり、挑戦意欲に欠ける人がいる。そんな人が一人でも入れば事業推進の許可は降りない。あるいは骨抜きにされたものになってしまう。

事業家を志す人であっても、企画畑出身だったり、熱心に企画を建てるためのスクールには通ったけれど、実戦経験が不足している場合にも、このような事態に陥りやすい。

PDCAかEAチェーンか、というのは言葉遊びだと言われるかもしれない。
結局のところどちらも必要なことなのだから。

ただ、言葉には魔力がある。
PDCAを重視する組織は統制や自己管理に強みを発揮し、EAチェーンを重視する会社は創造性に強みを発揮するようになるという可能性は十分ある。

実際、PDCAという言葉が生まれ、日本企業に次々と導入されるようになった1970年代に比べ、現代のビジネス環境は大きく異なっている。

  • 試作品の作成が容易だ。一人の天才的なクリエイター、プログラマがほんの一昼夜で試作品を完成させたりする。そのような開発ツールや開発環境、開発に関する情報のストックが3,40年前と比べはるかに充実している。
  • 試作品の市場へのPRが容易だ。顧客データベースの充実と、インターネットの登場により、特にソフトに関してはすぐに市場の反応を見ることが出来るようになった。(ハードは一定の数を量産しないと市場に評価を問えない、という意味でソフトよりも若干ハードルが高い。)

以上のような環境にいるからこそ、ビジネスを前に進めるためには、さくっとつくって、実験し、より詳細なデータを取り、商品・サービスを市場に適応させていく。というプロセスが重要になるのだ。

実験(Experiment)を重視することによるメリットはいくつかある。

・より詳細なデータを取ることが出来るようになる。
・実験の結果を持って、上司やステークホルダーを口説きやすくなる。(予算を得やすくなる。)
・実験を通じて、思いがけない成果、効果を発見することがある。

以上のようなところだろうか。
コンサルタント風に言えば、ホームランを狙うな、ヒットを積み上げろ。となる。
実験という形で成果と信頼を得ていき、最終的なゴールを達成するのだ。
もっとわかりやすくいうと、まず僅かな予算でトライアルし、実績を持って多くの予算を獲得し、その結果で持って必要なだけの予算を獲得するのだ。

かの黒澤明も名作7人の侍を作ったときには、予算を集めきれず、最初に与えられた予算で、まず前半部分を作り、それを見た資産家たちに残りの映画を撮る予算を出させたという。

このように実験と適用を繰り返しながら、最終的なゴールを達成する絵を描く。
実績と信頼を勝ち取り自然に事業を進めるざっくりとした絵を描くというのが、現代的なPlanのたて方と言えるかもしれない。

自分が属する組織に少し創造性が欠けている、と感じているのであれば、
EAチェーンを素早く回す。という概念をインストールすべく動いてみてはどうだろう。


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「人と組織」のプロジェクトデザイン

世の中は様々なプロジェクトで溢れています。スポーツの大会で優勝を目指すのもプロジェクトだし、学園祭で素晴らしい発表をするのも、新しいビジネスを立ち上げるのもプロジェクトといえるでしょう。

何らかの達成すべきゴールがあり、ゴールを達成するための計画があり、計画を実現するための組織がある活動は全てプロジェクトと定義できるのではないでしょうか。

来年は、それら世にあふれる「プロジェクト」を効果的に進め、成功に導く技術(=プロジェクトデザイン)に関して自分なりの考えをまとめ、形にする年にしたいと思っています。

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多くの人がそうであるように、僕もいままで大小様々なプロジェクトを手がけてきました。思っていた通りの(あるいはそれ以上の)成功をおさめたプロジェクトもあれば、自分にとっても、参加してくれたメンバーにとっても苦い思い出となったプロジェクトもあります。

僕自身が手がけ、上手く行ったプロジェクトを振り返ってみると、全てに共通していることは、

1)プロジェクトを成功させるために必要なメンバーを揃えた。

ことだと思っています。プロジェクトの成功に必要な機能を洗い出し、その機能を満たす信頼に足るメンバーを集めた。僕の場合は、これがプロジェクト成功に必要な最低限の条件でした。

機能には、わかりやすい機能もあれば、そうでない機能もあります。わかりやすい機能としては、例えば特殊なスキルが挙げられます。デザインに秀でているとか、営業が得意、とか‥。わかりにくい機能としては、皆を盛り上げる。とか、皆のコミュニケーションを円滑にする。とか、立場の異なる人や顧客の意見を吸い上げることが出来る人。というのがいます。

いずれにしても、必要な機能を洗い出し、そういう能力・資質を持った人を集めること。
僕の場合はこれがプロジェクトの成功に一番必要なことでした。

しかし、人を集めるには情熱と技術が必要になります。

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使えるツール:立場も使える時間もばらばらな人が集まってプロジェクトを進める時に

年末になり、仕事も一段落して少しずつ時間が取れるようになってきたので、先週半ばぐらいから、来年の計画を立てはじめています。ばっちり見えているプロジェクトもあれば、これから少しテコ入れしていかなければならないプロジェクトもあります。

この機会にプロジェクト推進に関しての自分の考えをまとめ、ついでにいろいろな人からツッコミを頂きながら更にノウハウに磨きをかけていこうと思います。


■プロジェクト推進のツール

能力のある人だったら、Eメールだけで凄くいいマネジメントをするのだと思いますが、僕はそこまで自信がないので、ある程度ツールに頼るようにしています。

世の中にはいろいろなプロジェクト推進のためのツールがありますが、いろいろ試した結果、僕はGoogleSites に結局のところ落ち着きました(今のところ)。理由としては、

  1. 無料である
  2. ウェブベースのツールである
  3. Gmailは皆持ってる、あるいは簡単に取れるので、権限の管理が簡単。改変の履歴も残る。
  4. GoogleSpreadSheetsやカレンダーなどウェブベースのフリーツールと相性がいい
  5. 利用ユーザーが多く、継続的にブラッシュアップされる
  6. HTMLを用いてちょっとしたカスタマイズも可能

といったところなのですが、もう少し詳しく説明すると次のようになります。

・無料である。ってのは大事なことで、社外の様々な立場、組織に属する人とプロジェクトを進める場合、誰でも気軽に使うことが出来るツールじゃないと使ってもらえない。

・ウェブベースのツールじゃないと、インストールしたりするのがめんどくて使ってもらえない。

・権限の管理が簡単じゃないと使ってもらえない&権限の管理が出来ないと、情報共有ツールとして危険。

・Officeじゃなくて、原則SpreadSheetsやDocsを使ってドキュメントを管理するってのも大事なことで、紛失の恐れがなく、バージョンの違いによる使いにくさもなく、改変の履歴が残るのはステキ。

・継続的にブラッシュアップされるし、利用したことがある人は徐々に増えていくし、Googleだから当分はバージョンアップが中止になることもないだろう。

・ウェブに詳しい人がいれば、高度なカスタマイズも可能。

こんな感じになります。

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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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