fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

ゲーム

3

勇者ではなく、ただのモブだと気付いてしまったときに

Twitterの僕のTLは今日はソーシャルゲームの話題でもちきりだったのだけど、メインストリームとは異なる視点で面白い記事を発見したので、こちらのほうを紹介しておこう。

ダイヤモンド・オンライン:ゲームの仲間は助けるけど、会社の同僚は助けない

――現実世界の同僚が困っていたら、残業して助ける?

助けないです。あ、梅田さん、僕、自分の行動の矛盾に気付いちゃいました……

――いやー、今日の君の発言は、日本ビジネス界のマネジメント層に一石を投じている気がするよ。つまり、高学歴でクリエイティブ職に就いて、有能な山本君は、仕事でも生活でもなく、ゲームのなかが最も必死なんだよね。あらゆる若者のあらゆる情熱が仕事ではなくゲームにつぎ込まれているとすれば、日本経済の大きな損失だよ。だって、その情熱を仕事に傾ければ、現実世界でお金が生み出せるのに。謎を解く力や、トライ&エラーや、発想の転換がゲームの醍醐味だとすれば、それは全部会社のなかでも有効な能力なのに、それを使っていない。

僕は小学生の頃から割と筋金が入ったゲーマーだったので、この「梅田さん」なる質問者の視点にはプレイステーションが世に出る前から気づいていて、いかに現実世界をゲームのように面白くするかに情熱を注いでいた。

最高の仲間を集め、目標を決め(倒す魔王はどこだ?)、姫と財宝を手に入れる。
ゲームがイメージできなければ、ワンピースとかイメージすればいいのかな。そう、船にのって仲間と大海原に乗り出すイメージ。

時にはパーティ間で三角関係が生まれちゃったりして、魔王を倒すことなんてどうでもよくなって内輪でバトルする。(そういや最近は成功の報酬として姫を手に入れるパターンよりも、冒険の仲間とくっつくパターンのほうが多いよね。そっちのほうがイイと思う!)

まぁ、、そんな人生を送れたら最高だと思っていて、実際に今もそういう人生をどうやったら送れるかということについて、毎日必死にない知恵を絞っているわけだけれど、引用の中の梅田さんの台詞はやっぱりゲーマーの気持ちを代替しているとはいい難いのかもな。と思ったり。

どういうことかというと、

「有能な山本君は、仕事でも生活でもなく、ゲームのなかが最も必死なんだよね。~だって、その情熱を仕事に傾ければ、現実世界でお金が生み出せるのに。

という部分。まぁ、そうかもしれないけれど、ゲームの世界はユーザーが凄く少ない。せいぜい1000万人。この中で時間とお金さえかければ勇者になれると思えば、なんとなく希望が持てる。

その点現実世界の競争相手は膨大だ。その数ざっと60億人。しかもどいつもこいつも真剣勝負ときてる。高学歴でクリエイティブ職についた山本君も、きっとどこかで自分は勇者ではなくて、単なるモブ(雑魚キャラ)の一人だってことにどこかで気付いてしまったんだろう。

一見哀しいことのようにも思えるけれど、夢見ることを諦めきれない人が仮想現実の世界に集っていると考えると、そう捨てたもんでもないかな。と思えてきたりする。

僕もまた、そういう能力(ちから)なく、妄想の世界に生きる一人ではあるわけだけれど、最近自分を騙して物語の主人公にする技に随分長けてきたので、ちょっと書いてみようと思う。


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13

意思決定、ふたつの思考

チェスや将棋など、洗練されたシンプルなゲームを遊ぶときに、

  1. 多くの選択肢を考えて、その中から最適なものを選ぶ、という人と
  2. 思いついたひとつの発想を夢中になって実行しようとする人

以上のように、思考のスタイルは大きく2種類にわかれる。深く考えず手を進める人もいるかもしれないが、それは除外する。もちろん強いのは、「多くの選択肢を考え、最適なものを選ぶ人」なのだが、残念ながら僕は「ひとつの発想を夢中になって実行する」傾向がある。

これはかつて上司に指摘されたこともあるし、僕自身も仕事がうまくいかないときは、大体「ひとつの発想」にとらわれてしまっているケースが多い。
孫正義は、最初の事業を興すときに、毎日ひとつの発明をするという取り組みを365日にわたって続け、その中で最も最適と思われたプラン ―自動翻訳機を形にし、最初の事業資金を得ることに成功した。
これなんかは、「現実社会で」多くの選択肢を挙げ、最適なものをひとつ選んだ分かりやすい例だと思う。

ただ、現実社会では必ずしも「多くの選択肢を考え、最適なものを選ぶ人」が成功するとは限らない。これは、選択肢を考えるのに時間をかけすぎて、最適なチャンスを失ってしまうからだろう。いってみれば、チェスや将棋の持ち時間がなくなってしまった状態だ。現実にはそのようなケースが非常に多い。

また、戦場に霧がかかったような状態であれば、動くことによって見晴らしの良い状況になることも少なくない。これはリスクを抑えたトライ&エラーにあたる。

だから実際には、時と場合に応じて最適と思われるだけの時間をかけることが重要。という非常につまらない答えに落ち着きがちなのだけれど、自分がどのような傾向(思考の癖)があるかを把握しておくだけでも、意思決定の精度は随分高まるのではないかと思う。

例えば僕の場合は、ひとつの発想に夢中になる傾向がある。

だから、僕みたいな人は時間にさえ余裕があるのであれば、可能な限りプランを出し、最も良いものをひとつ選ぶという活動をする努力をしてみるべきなのだろう。

シンプルなゲームは、自分の思考の傾向を客観的に掴むのに役に立つ。
現実の世界は油断していると際限なく複雑になっていく。
その現実の波から逃れるために、僕は時々ゲームをする。

19

モノポリーで学ぶファイナンス/中学時代の苦い思い出

今日、東京から富山に帰る新幹線の中でファイナンスに関する本を読んでいたのだけれど、途中から、

「やっぱファイナンスについて楽しく理解するにはモノポリーが一番だよなぁ…。」

なんて面白いことを思いついてしまったものだから、モノポリーをつかってどうやってファイナンスを説明するか考えることに集中してしまって、全然本を読み進めることが出来なかった。実際には、モノポリーで説明できないファイナンスの要素なんて山のようにあるのだけど、それでもやっぱりモノポリーは基礎的なファイナンスについて知るにはいいゲームだと思うんですよね。

なんといっても楽しいしね。
そんなわけで、少しモノポリーの思い出を語ってみようと思う。


1)キャッシュを保有している人は強い

僕がモノポリーをはじめてやったのは中学1年生のとき。部活の友達がモノポリーという有名なボードゲームを買ったというので、時間だけは有り余るほどあった地方の中学生の僕たちは部活の仲間で集まって、そいつの家に集まったのである。

※余談だが、そのモノポリーを買った友人のことを、僕を含め部活のメンバーは中学時代散々からかっていた(カバ男というあだ名だった)が、ハッキリいって天才だった。お年玉に手をつけず、郵便貯金で運用した資産(つまり利子)でモノポリーを買ったのだから。当時は郵貯の定期預金は利子率も相当高く、彼は複利の凄さを力説していたが、僕も含む部活の仲間でその凄さをわかるやつなんて(あたりまえのことだけれど)一人もいなかった。今、彼は自分の弁護士事務所を経営し、おおいに豊かな生活を送っている。

モノポリーのことはよく知らなかったけれど、すごろくのようなゲーム盤上にある土地を買って家を建てて、そこに止まった他のプレイヤーから家賃収入を得るゲームだということはなんとなくわかったので、僕たちはマスに泊まるたびに、(だいたいは)土地の権利を買っていた。

しかし、ひとりだけ土地も買わずにどんどんゲーム盤上を一周する友人Aがいた。彼は、土地を買わず、ぐんぐんキャッシュを貯めた。(モノポリーでは1周するたびに200ドルのサラリーがもらえる。)

そんな彼を、僕たちは「ゲームを知らないやつめ…。これはお子様向けのすごろくじゃないんだぜ。。」と内心冷ややかな目で見ていたのだけれど、2,3週して潤沢なキャッシュを貯め込んだ彼の逆襲はそこからはじまった。(ちなみにその間、他のプレイヤーは適当に止まったところの土地をかったり、家を立てたりして、キャッシュはほとんどない状態だった。)

僕を含め他のプレイヤーは土地や家を買いすぎて、ほとんどキャッシュを持っていない。だから他の人の土地にとまったり、何かトラブルがあると、いきなりキャッシュが底をつきて、家や土地を安値で売るハメになったり、抵当に入れるハメになったりしたのだ。

彼は、潤沢なキャッシュがあるため、少々のトラブルではびくともしない。狙いを絞り、欲しいと思った土地に止まった場合だけ、その土地を買う。或いはお金に困った他のプレイヤーから安値で買い上げる。その回は圧倒的大差で彼が一位となった。考えてやったのか、無意識のうちにやったのかわからないけれど、僕たちは(そのモノポリーの所有者である天才君も含め)おおいに敗北感を味わったのである。

これは、彼以外のプレイヤーが土地を買った後、家を建てることを急ぎすぎたためにおこった現象で、上級者たちの間ではこのような勝負になることはまずない。しかし、僕はこの経験からとても大切なことを学んだ。

  • 知識や戦略がないままに、やみくもに投資をするのは危険。
  • 自由に使えるキャッシュ(流動資産)を保有している人は強い。

そういうことだ。となりの億万長者に書かれている、蓄財優等生になることの重要性はここでも示されている。

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5

ゲームで学ぶ経営戦略:ディプロマシー

5月1日に富山にあるポエシア・ブランカにて、ゲームで学ぶ経営戦略:ディプロマシー編なる企画を行うことになりました。そんなわけで今は、交渉ゲームの金字塔と言われるディプロマシーから、経営戦略に応用出来る要素を抽出する作業を行っています。(なんというか、こういう作業が僕は心の底から好きなんですよね。)

第一次世界大戦を舞台にした このボードゲームの特徴はなんといっても、『最初の国決めの時以外、運の要素は一切無い』という、ハードボイルドなゲーム内容にあります。テクノロジーとか、ユニット毎の強さの違いみたいなものもなく、戦いは純粋に「地政学上の優位性と交渉力を活かして、戦力をどれほど集中できたか。」にかかっています。(実際のプレイの様子をご覧に知りたい方はこちらをご覧ください。)

せっかくなので、ディプロマシーを通じて理解する戦略の基本を少しご紹介したいと思います。


■事業戦略の大原則
戦いの上では一般に、
  • 分散したら、負ける
  • 中間的なのも、負ける
  • 同じことをすれば、小さいほう・遅いほうが負ける
故に戦略とは、
  • 捨てること
  • 差別化すること
  • 速くやること  の、3点に尽きる。

これは、僕が尊敬している戦略コンサルタントであり、教育者の三谷宏治氏の言葉です。この言葉は戦略の本質を鋭く、かつ簡潔に言い表しています。

戦いで圧倒的な強さを誇りユーラシア大陸を制したチンギス・ハン。そして、ヨーロッパを制したナポレオン。彼らはいずれも他国に勝る高機動部隊を作り上げ、敵を分断し、戦力を一点に集中し、連戦連勝を続けました。スケールは違いますが、織田信長のいくつかの戦いにも、彼らの用兵の片鱗が見て取れます。(参考:ビジネス上の競争を優位に進める「高機動」

戦力を集中し、敵を分断し、各個撃破する。これは、必勝の戦術です。戦略は、この必勝の戦術を実現するために、周囲の状況を整えることにその原則があります。周囲と粘り強く交渉し、資源を配分し、絶対に勝てる状況を作り上げる。これが戦略であり、その指針となるのが、捨てること/差別化すること/速くやること なのです。

※余談ですが、必勝の体制を整えて織田家との戦に臨んだ今川義元が織田信長の乾坤一擲の用兵にやられたのは皮肉でした。こういった戦術面での勝利が戦略面での勝利を覆す例はその逆に比べ、極少数です。信長にしてもわずかに残された戦術上の勝利で戦略上の勝利を拾う方法しか残されていなかったが故に神頼みをしたのでしょう。雨が降ることを予測していたといいますが、もし降らなかったら、歴史は変わっていたかもしれません。

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14

人生をゲームぐらい楽しいものにできないか、考えてみた。

ラグナロクオンラインの広告がひどすぎる。ってことで、いろいろな方面で話題になっているみたい。

人生VIP職人ブログwww : ラグナロクオンラインの広告がひどすぎる件
サーチナ : あまりにも酷すぎるオンラインゲームの広告

ネットの世論は、

  • オンラインゲームは話題性が命だから、話題になっている時点で勝ちといえる。
  • かつてのウルティマオンラインの広告の成功をパクったものだろう。
  • それにしてもセンスがない。

こういう感じに見解はまとまっているのかな。

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まぁ、確かにウルティマオンラインの広告に比べるとセンスが無いような気はします。

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ところで今回書こうと思ったのはそういうことではなくて、現実世界をゲームと同じぐらい楽しいものにするために、出来るコトはないだろうか。ってことなんですね。続きを読む »
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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