fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

イノベーション

5

製造業が直面する構造的な問題

今日のクローズアップ現代は、LED照明の話だった。

通常の電球や蛍光灯に比べ価格こそ遥かに高いものの、消費電力を大幅に抑えることが出来、10倍の寿命を持つことから、LED照明への変更が次々と進んでいるという。テレビが数年の間に液晶テレビに変わったように、照明も数年の間に全て切り替わることだろう。

そのLED照明市場は2兆円。技術で先行(※)した日本企業だが、現在は国を挙げて生産に取り組んでいる中国や韓国の企業に大きくシェアを奪われている。

製造業における日本企業の強さを信じて疑わない僕ではあるけれど、番組で紹介されているように、

技術で先行しても、生産・流通で水を開けられる事業構造

に陥っている部分は少なからずあるように感じた。

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番組にゲストで出ていたのは、東京大学特任教授の小川紘一氏。番組内で紹介されていたグラフが興味深かったので、紹介したい。

ogawa



エレクトロニクス分野の製品に関しては、当初技術で先行していたとしても、短期間で国内企業の世界シェアが急速に奪われることを示している。

正確には、日本企業が技術や品質にこだわる小さな市場の維持に懸命になっている間に、海外企業がメインの市場をコスト・リーダーシップ戦略で一気に抑えてしまうのだろう。


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「100万円の商品を10万円で提供しなさい」と言われました。

本当は別のエントリを用意していたのだけど、面白かったのでちょっと紹介。

BOP


「100万円の商品を10万円で売りなさい。(しかも利益は出るようにしなさい)」と言われたら、どういう工夫なり、イノベーションを起こすか。というワークショップ。

6月26日(土)に東京で行う予定の「BOP理解ワークショップ」で、本題に入る前に参加者の皆さんにグループで考えてもらう、アイスブレイキングのお題だ。

収入に余裕がなく、限られた購買力しか持たない途上国の国々にプロダクトやサービスを提供するには、この「購買力の壁」を超えなければいけない。

現在会社で扱っている商品が100万円ではなく、6000円であれば、600円や60円で売る方法を考えるというようにお題を自分で変えてみてもいい。いくつぐらい思いつくだろうか?

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17

起業はありなのか、それとも無責任なこというなって話なのか。

資本金1円で起業して、就職氷河期を乗り切る方法 の続きを書こうと思っているのだけど、なんとなく気分がのらなくてかけてない。おそらくネット上が、

起業もあり派と、無責任なこというなよオメー派みたいな感じに別れてて、何書いても誤解を招きそうだったので、ちょっと筆をおいてしまったというところがあるんだと思うんですよね。

起業したい若者に対する大人の本音 : 統計学+ε: 米国留学・研究生活
どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は。 : My Life in MIT Sloan

起業とギャンブル : さまざまなめりっと
若者に起業を勧める嘘つきな大人たち : ひろゆき@オープンSNS


でも実は、両者って違うことを言っているようで、同じことを言っているのです。
すっかり話題の旬は過ぎてしまった気がしますが、僕はこういうネタが大好きなので、ちょっと詳しく説明したいと思います。


まぁ、そもそも両者の論点は合いにくいんですよね。

まず両者でターゲットにしている学生が違うと思うのです。

例えば学生全体に対して、起業せよ!っていっても無理で、起業したらいいじゃん!派は、前提として、凄く能力のある学生をターゲットにしている。僕は、何らかの理由で力はあるけれど、新卒採用市場では評価されない(学歴フィルタや、就職対策に無意味さを感じる層とか、その他差別など)けれど、力があるって人をターゲットにして話を勧めてきたけれど、まぁそれも、「力がある」ってことには変わらない。

それに対して、無責任なこというなよオメー派は力のない人を含めた学生全般をターゲットにして話している。

ホリエモンが、起業なんて楽なものなんです。って繰り返しいってるように、能力のある人にとっては、起業はある意味簡単なものだし、ソニーの盛田氏(個人)が 常々いっていたように、会議で9割が反対するような商品でないと大成功しないものなのだと思います。

事業というのは、誰もが無理 でしょ。って思っているところに、自分の計算で十分な勝算を見出したものだけが、その果実を得ることができるもの。これは、博打やギャンブルと本質的には一緒で、得ている情報の差、持っているリソースの差を利用して、自分なりの勝算(固有解)を得ている人だけが勝つことが出来る。皆が知っている情報だけで勝負しようと思ったら、他の誰でも思いつくような勝算(一般解)しか得られず、結局、過当競争に陥り失敗してしまう、ということと一緒なんじゃない かなと思います。(固有解、一般解のくだりに関しては、とっても簡単な事業計画のたたて方 をご覧ください。)


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ビジネス視点からBOP市場を語る その3 Product

ビジネス視点からBOP市場を語る
 その1:BOP市場の特徴
 その2:ターゲット市場の特定
 その3:マーケティング・ミックス Product / Price / Place / Promotion
 その4:日本企業への提言
 その5:市場を開拓する人材要件

■BOP市場と先進国市場の違い

さて本日は、BOP市場におけるマーケティング・ミックスについて紹介したい。BOP市場でビジネスを成功させるための基本コンセプトを、C.K.プラハラードは次のように紹介している。
BOP市場の基本となるのは、パッケージ単位が小さく、一単位あたりの利潤も低い。市場規模は大きいが、少ない運転資本でも利益を出せるビジネスである。(ネクスト・マーケット)
これは、先進国で展開されているビジネスの常識とは大きく異なる。違いを下記の表にまとめた。

bop


BOP市場の購買力は、先進国に比べて低い。多くの消費者は、その日に必要なものを必要なだけ購入する。故に、食料品も、医薬品も、家庭用品も小分けにされたパッケージが求められる。

購買力が低く、小分けにされたパッケージを好むということは、一単位あたりの売上・利潤がとても小さなものになることを意味する。市場規模は大きく、急成長するが、単位あたりの売上・利潤が少なくともビジネスを存続し、成長させることができるよう、徹底した低コスト構造を実現しなければならない。

さて、そのようなビジネスをどのように実現すればいいか。マーケティング・ミックスの視点から見ていくことにする。
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ビジネス視点からBOP市場を語る その2

ビジネス視点からBOP市場を語る
 その1:BOP市場の特徴
 その2:ターゲット市場の特定
 その3:マーケティング・ミックス Product / Price / Place / Promotion
 その4:日本企業への提言
 その5:市場を開拓する人材要件

前回のエントリから随分時間がたってしまったが、BOP市場に対してのマーケティングに関して論じてみたい。(今後も週に1回の頻度で更新できればと思う。)今回はターゲット市場(国や地域)の選定の際に意識すべきことに関して述べる。既にBOP市場でビジネスに取り組んでいる方にはあたりまえのことばかりかと思うが、これから海外に進出したいベンチャー企業、あるいはこれから就職活動に取り組む学生の皆さんにとっては視点を整理するひとつの参考になるのではないかと思う。


■ターゲット市場の特定

BOP市場といっても、国や都市によって実態は様々で、一括りに議論するのはなかなか難しい。状況に応じて進出に適した国もあれば、時期尚早の国もある。進出する国を見極めるにあたって、最低限抑えておきたいのは下記の3点だ。

1)人口構造の変化
2)取引統治能力
3)自社が保有する強み


以下、詳しく述べる。


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9

労働生産性の低さにビビるのはもうやめよう

昨年、3週間ほど休暇をとってヨーロッパを1週してきた後輩から次のような質問を受けた。
fukuiさん、なんで日本の労働生産性は低いんですかねえ。スペイン人なんて、良い若いモンが昼間からシエスタだのなんだのいって、ビール飲んで遊んでいるんですよ!!これだけ頑張っていて生産性低い僕ら日本人って馬鹿なんじゃないですかね…。
このもっともな疑問に、今こそ答えるときが来たようだ。

「いや、シエスタしてる彼らは単に失業してるだけだし。失業者が多いと労働生産性は高くなるよ。」


労働生産性とは、就業者一人当たりの付加価値で計算される。実際、日本生産性本部が出している労働生産性の国際比較の2009年度版では次のように書かれ、我々の危機感を煽っている。

  • 2008年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、68,219ドル(795万円/購買力平価換算)でOECD加盟30カ国中第20位、先進7カ国では最下位
  • 米国の労働生産性を100とすると日本は69
  • 日本の製造業の労働生産性水準(2007年)は80,400ドル(947万円)で、OECD加盟国でデータが得られた25カ国中第14位(図4)。ドイツに抜かれ、2006年の第13位から1つ順位を下げた。先進7カ国でみると米国、フランス、ドイツに次ぐ第4位となっている。
日本の労働生産性は、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた、高度経済成長期には世界1位だった。失われた20年を迎え、ゆっくりと生産性は低下していった。良く言われるのは、製造業の生産性は今でも世界のトップクラスだが、サービス業の生産性が極めて低い。というものだ。

しかし、僕はいいたい。労働生産性の国際比較を持ち出して危機感を煽るのなんて、そろそろやめようよ。ということを。もっと、中身を見る必要があると思うのだ。

規制産業の存在と硬直的な労働市場、イノベーション不足がよく生産性低下の原因として挙げられるが、それらは失業率の国際比較を見るとよくわかる。

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3

ビジネス視点からBOP市場を語る その1

ビジネス視点からBOP市場を語る
 その1:BOP市場の特徴
 その2:ターゲット市場の特定
 その3:マーケティング・ミックス Product / Price / Place / Promotion
 その4:日本企業への提言
 その5:市場を開拓する人材要件
最近、日本でもようやくBOP市場を対象にしたビジネスが注目を集めるようになってきた。昨年、経済産業省でもBOPビジネス政策研究会が発足し、今年は本当の意味でBOP元年といえるような年になるかもしれないと感じている。

僕自身はGiftという香港に本部のある独立系シンクタンクの日本事務局メンバーでもあるし、この大きな可能性を秘めた市場に関しては、大変興味深く調べているが、日本でのBOP市場の取り扱いに、不満な面がないわけでもない。

それは、BOP市場を語るときに、何かと社会起業とセットで語られたり、BOPビジネスの成功には志や多文化コミュニケーションの姿勢が必要といった点ばかり強調して語られる点だ。

もちろん、BOPビジネスは社会起業の側面もあるし、志だって必要だ。しかし、ほかのビジネスだってそうだろう。社会に貢献する、高い志を持つ。それを大前提としたうえで、全力を尽くしてしたたかに取り組まなければ成功などおぼつかない。そして、成功しなければBOP市場を持つ国々とwin-winの関係を築くことすらできないのだ。

そこで、あえてビジネスの側面を強く打ち出してBOP市場を語るエントリを何回かにわけて書きたいと思う。(多分、BOPがらみのエントリは週一ぐらいのペースでゆっくりと書いていきます。マーケティングやイノベーション、人と組織の面からBOPの紹介を試みます。)


BOP市場とは何か


BOP(Bottom of The Pyramid)とは、2002年に著名な経営コンサルタント、C.K.プラハラード氏によって産み出されたコンセプトだ。ネクスト・マーケットという書籍で日本にも紹介されたその論文の中で、プラハラード氏は40億人以上の以上の人々が1日2ドル以下(世帯年収1500ドル以下)で暮らしていると示し、彼らを救済すべき弱者ではなく、意欲的な起業家であり、顧客であると考えよ。と訴えた。

これは革新的な提言だった。途上国の貧困層を食い物にするのでも、援助するのでもなく、手に手をとって互いに経済発展して行くことがもっとも持続可能な発展形態だと提示したのだ。

論文発表後、氏の予言通りBOP市場は急速な勢いで発展を始めた。次の系統だった調査は、WRI( World Resources Institute )のTHE NEXT 4BILLON だった。この調査レポートの中で、BOP市場は、base of the economic pyramid と表現を変え。世帯年収3000ドル以下の層が、全世界で40億人いること、彼らを対象にした消費者市場の規模は5兆ドルに達することを明らかにした。(同時にその上の所得層にいる、世帯年収の所得が3000~20,000ドルの層の市場規模は12.5兆ドルに達することも示した)

BOP市場は5年前に比べて確実に、そして急速に豊かになっていた。

ドラッカーによると、人口動態の変化は確実に起こる未来だという。また、成長領域でビジネスに取り組むことはビジネス成功の第一条件だ。(参考:就職せずに起業して、成功するために必要なこと その3)若年人口を多く抱え、多産多死型の社会から多産少死型の社会に移行中のBOP市場は将来確実に成長する市場なのだ。


BOP市場の特徴

まずはじめに、BOP市場の特徴に関して述べる。特徴を理解し、機会として利用することができれば、市場進出の手助けとなるだろうし、理解不足であれば、逆に大きな参入障壁となることだろう。

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大競争時代の大学教授:ポール・サミュエルソンに捧ぐ

昨年末、偉大な一人の経済学者が世を去った。その名をポール・サミュエルソンという。

サミュエルソンは、シカゴ大学で学士号を取得し、ハーヴァードで経済学博士号を得た。25歳の時には既に年齢よりも多くの博士論文を出し、その優秀さで知られていたが、ハーヴァードで職を得ることは出来ず(真偽定かではないけれど、当時はユダヤ差別が激しい時代だったらしい)、MITで教鞭をとった。1940年のことだ。

当時、MITは理工系の大学としては既に名が知れ渡っていたが、経済学科ではほとんど知られておらず、ハーヴァードに比べると一段下に見られていた。当時のアイヴィー・リーグの大学はしばしば反ユダヤ的だったそうだが、MITはそういう差別もなく、あらゆる意味でアウトサイダーといっていい大学だった。

天才数学者はこう賭けるでは、MIT時代のサミュエルソン教授を次のように評している。
MITが理工系に焦点を向けていたことは、サミュエルソンの才能にはぴったりだった。サミュエルソンは経済学を数理科学と見ることにした。それは当時としては異例の方向性だった。アダム・スミスから、ジョン・メイナード・ケインズを経て、経済学はほとんど講話で、ハーヴァードでも経済学は講話だった。サミュエルソンはMITで経済学を数学にした。サミュエルソンは、物理学者と同じように微分方程式になじんでいた。その論文は「定理」だらけだった。サミュエルソンは数理と鋭利な機知を組み合わせ、その講義や発表を、偉大で退屈な経済学者の話とは違うものにした。(中略)

MITの経済学科の名声を、ほとんど一人で自分のそびえ立つような高さの水準に上げていた。
サミュエルソンは「経済学」と名づけられた教科書を書き、それは長年のベストセラーとなった。そして1970年にはノーベル経済学賞を受賞し、ノーベル経済学賞はサミュエルソンに賞を与えるために生まれた。とまで言われた。

さて、サミュエルソン評に関しては、多くの方が様々な視点から語られているので僕からの言及はこれぐらいにしておく。経済の専門家から見れば、また違った意見もあることと思う。

僕がこの一文を読んだときに感じたことは、これからの時代、サミュエルソン的な教授が、大学経営のために求められるようになるだろう。ということだ。
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27

地方新聞の逆転戦略:実は今が一番のチャンス?


My Life in MIT Sloan : 日本の出版社が直面するイノベーションのジレンマ

にインスパイアされて原稿を書きます。出版社ももちろん厳しいのだけど、新聞社も厳しい。雑誌社はクオリティの高い取材とコンテンツ編集が強みの一つなので、クオリティを高めつつ、コスト削減。という道をしっかりと歩めば、縮小均衡を実現することも可能かもしれません。

しかし新聞社はどうか。新聞社の特徴は速報性と解釈にあります。しかし、その速報性は既にインターネットメディアに一歩も二歩も遅れを取り、ニュースの分析・解釈に関しても、紙面で伝えられる情報には限りがあるため、右なり左なり一方向的な見解を述べるに留まるしかなく、現在ではネットによる多面的な解釈の前に遅れをとっています。

いまや、新聞社は産業全体が風前の灯といっていい、と思います。

さて、新聞社の不況は数字面でも現れており、1月29日に発売予定の電通メディア白書2010では、2009年の新聞広告市場を、8200億円→6500億円(21%ダウン)と報じている模様です。(株式会社アールリサーチのBlogより引用)

また、リーマン・ショックがあった08年のデータで恐縮ですが、新聞社の財務状態も07年から08年にかけて軒並み厳しくなっており、08年以上に厳しい年となった09年は更なる落ち込みが予想されます。

newspaper

さて、八方塞がりな情報では新聞各社としても打てる手は限られており、経営コンサルタントの大石哲之氏などはご自身のブログの中で、再建戦略を次のように述べておられます。

大石哲之公式ブログ : 新聞社の経営を任されたら?


結局、マスを狙っていくしかないかな。戸別に配信できるというのは、けっこう強い。他の媒体にない強みなのだから、それを生かす方向で。(中略)読者半減でも、コストを7割下げて、高収益を確保。ま、後ろ向きなリストラ主義な戦略だけど。(中略)

でも、いまの法律や組合だと、人を削減できないし、賃金も下げられないし、年金も削減できないから、結局、コストは削減できず、会社が潰れるまで、みんなが吸い取って、最後は破綻だね、という話。(中略)

反対に、新聞のはなしだと、かならず出る、特化。なにかに特化して、高収益にするといっても。現在の伝書鳩みたいな記者に、ブロガーみたいに専門的かつわかりやすい記事を書けっていっても、無理でしょ。外国のジャーナリストから見ると、記者クラブの記者は、記者とおもわれてなくて、役所の広報という分類らしいから。
というわけで、
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24

ベーシック・インカム論に関する私的まとめ

山森亮さんのベーシック・インカム入門を読んだ。

ベーシック・インカムとは簡単にいうと、全国民一人一人に、一律・一定の金額が支給される制度のことだ。(ベーシック・インカム入門では、成人に10万円、子どもに7万円を支給するという例を出している。同様に、後述する弾言では、一律5万円を支給するという家庭を想定している。)

僕がベーシック・インカムという考え方に関して意識するようになったのは、小飼弾さんの弾言を読んでからなのだけど、最近になって下記のBlogを読み、自分なりに調べてみようと思い立ったのだ。

若き学生のための読書BLOG
みんなが就くべき「労働」というのは、賃労働を前提としている。賃労働というのは、その報酬として給料が支払われるような労働のことを指す。このモデルの「みんなが賃労働に就くべきだ」という理想は、現在いくつかの問題を抱えている。例えば、専業主婦のことを考えてみてほしい。専業主婦は、直接に賃金を生み出さない家事労働をしている。だが専業主婦は、夫の賃労働を支えるという点で、間接的に賃労働に貢献していると言える。同じことは専業主婦以外にも当てはまる。直接にお金を生み出さないが、あらゆる形で社会に貢献している人はたくさんいる。従来の保険保護モデルは、彼らのような賃労働に従事していない人たちを「賃労働をしていない」という理由で、評価することができなかった。
実際に家事はすごく大変だ。にも関わらず、正当に評価されていない気がする。他にも、機械やITに代替出来る仕事や、公共事業という形で無理やり創り出している仕事の存在が、国民一人当たりの生産性を低下させる一因になっているんじゃないかと思う。

上記のような代替可能、あるいは無理やり創り出している仕事をしている人1000人にベーシック・インカムという形で生きていくに必要なお金を支給し、労働時間を個々人が心からやりたいと思う好きなことに費やせば、1000人のうち1人ぐらいは、ブレイクする人が出て、1000人分の税金を払うことにつながるんじゃないかとも考えてしまう。

実際は他の政策同様にベーシック・インカムで解決される問題もあれば、新たに発生する問題もあるだろう。ただ、長期的に見たらベーシック・インカムに似た制度は先進国の間で徐々に取り入れられていくと思われる。

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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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