fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

人と組織

27

営業の思い出。立場の逆転はいつでも起こりうる。

以前、勤めていた会社で営業のマネジャーをやっていた時の話。

営業のマネジャーなので、当然チームのメンバーから営業の報告を聞くわけです。企業側は営業というものを受け慣れていて、営業が稚拙だったり、業界の常識的な情報を、訳知り顔で話されたりすると、「あぁ、また時間を無駄にしてしまうのかな。」という気分になって、つい邪険に扱ってしまうこともあるわけです。

ただ、やっぱり大半の方は、つまらない話や稚拙な営業であったとしても、ニコニコしながら聞いてくれたり、時には未熟な営業担当を育てるよう促してくれる方もいらっしゃるわけです。

95%はこういう素敵なお客さん。

でも、年にほんの1~2回は変なお客さんに会うこともあって、営業担当者が怒り心頭で帰ってくることもある。たとえば、

「担当者同士がデキていて、ずっとイチャイチャしていて、こちらの話を全然聞いてくれなかったんですよ!」


という報告を受けたことがある。商談中に、目配せしあって笑い合ったり、体を触りあったりしていたそうな。1000~2000件の営業報告を受けたと思うけど、これを超えるインパクトの報告はなかったかな。

まぁ、入社2年目ぐらいの若手の男女社員だったから、社内でデキていてもおかしくはないと思う。会議室なので、先輩や上司の目もないし、つまらん営業の話なんて何度も聞いているし、でついついイチャイチャしちゃったのかもしれないですね。でも、壁に耳あり、障子に目ありだと思うんですよね。

あと、

「こちらの発言や提案を全否定した上で、いかに僕たちの会社と扱っている商品に価値がないかを1時間以上にわたって力説されました。」


という報告もあった。営業という仕事をやっていると、勤めている会社や商品をdisられることはよくあることなので、特に気にもとめてなかったのですが、面白かったのはその後日談。この方は務めていた有名企業を退職し、私達が属していたのと同じ業界で、独立・起業されたそうです。

立場が逆転して、発注する側だった人が発注される側になったわけですね。
独立後、この方の噂は聞かなくなりましたが、元気にやっているのでしょうか。少し気になります。


雇用の流動性が高まり、転職や起業する人が増える時代になると、こういった立場の逆転を経験する人の数もきっと多くなると思うんですよね。その時に、やっぱりどのように仕事をしてきたか、どのように人に接してきたか。というのは見えないところで自分のブランドになると思うのです。


創業経営者に人格者が多いのは、disられる経験と、人に救われる経験の両方をたくさんしてきたからなんでしょうね。



ぼくも過去を振り返って、どうしてあんな態度をとってしまったんだろう、と思うことが多いです。過去の反省を活かして、誰に対しても真摯に振る舞えるようになれればいいのですが。

18

何故、優秀な学生と出会えないのか。

「優秀な学生と会えない(採用できない)。」

これは僕が採用のお手伝いをしていたときに良く受けた質問だ。

「最近の学生は○○だ!」(○○にはネガティブワードが入る)


こういった話も、採用活動をしているとたまに聞いた。優秀な人はどこにいるの?と聞かれたときに僕は次のように答えていた。

「優秀の定義にもよりますけど、今も昔もそこら中にたくさんいますよ。」

今、僕は学生の前に出ることがなくなり、ある種の隠遁生活を送っているけれど、それでも優秀だと感じる学生とはブログやTwitterを通じて日常的にコミュニケーションをとっているつもりだ。今でも、紹介しようと思えば、多くの経営者や採用担当者が唸る人材を何人も紹介する自信がある。

もちろん、経営者や採用担当者の中には、学生が優秀すぎて目移りしてしまう。という人もいると思うが、仮に優秀な学生に本当に出会えていないとしたら、何が原因なのだろうか。

僕は3つほど理由があるのではないかと思う。続きを読む »
7

タダでも雇いたくないのが、企業。

経済環境が悪くなって雇用が厳しくなると当然、タダでもいいから働かせてくれ、実績見て雇ってくれ。という話が出てくる。中国は日本よりも雇用の需給ギャップが激しいから、日本より早くこの流れが表面化してきている。中国に比べると日本はまだ、企業に期待しすぎだし、家庭や政府に甘えることが許されている。

例えタダであっても、企業に雇用されることのメリットはたくさんある。
  1. 企業内にある様々なノウハウを学ぶことができる。
  2. 仕事を通じて人脈を築くことができる。
  3. 力を発揮すれば雇用につながる。
僕自身は、大学3年の時に立ち上がったばかりのネットベンチャーでインターンシップを始めたときに、タダでいいから働かせてくれ。というお願いをした。実際には、月に2万円の給与を頂いた。数カ月後には月に5万円になり、1年後には15万円になった。

このインターンシップで、僕は素晴らしい経験をした。当時の僕はインターネットに繋がるパソコンも持っておらず、ExcelやPowerPointの使い方も知らなかった。全てこのインターンシップ先に教えてもらった。続きを読む »
6

モチベーションに関して、難しく考えるのをよそう

昨日、ある企業の方から「組織のモチベーションが下がって困っている。」という話を聞いた。
長引く不況で、組織のモチベーションが低下している企業も多いだろう。

モチベーションをマネジメントするサービスを提供する企業も存在するが、あんまりモチベーションに関しては難しく考えない方がいいと思うのだ。組織の構成員のモチベーションが下がる原因の大部分は、業績の悪化に起因するものだからだ。業績の悪化が、
  1. 頑張っても業績向上に繋がらない(対組織)
  2. 業績向上に繋がらないから、個人の評価にも繋がらない(対個人)
  3. 頑張っても社会に好影響を与えない(対社会)
組織、個人、社会に対して、頑張っても報われないという徒労感から、現状に関しての閉塞感が発生しているのだ。

この関係をきっちり把握していないと、経営者は判断を誤るし、個人は行き場を見失い心が病む。モチベーションを上げれば業績向上につながると言う理屈もわからなくはないが、今の仕事のやり方を変えなければ、たぶん根本的解決にはならない。今の仕事のやり方そのものを変える方向に、モチベーションの向上が活かされるのであれば、まぁいいことだと思う。

最近、社会企業の考え方が流行っているのは、少なくとも社会に対しては好影響を与えられるような気がするからではないだろうか。また、自己啓発ブームは、自分を磨けば少なくとも自分自身は報われるという確信からのようにも感じる。(もちろん、自分を磨くことで、組織や社会に好影響を与えられるようにもなるが。)

このような時代に経営者が取り組まなければいけないのは、業績向上につながる戦略を描くこと(あるいは受け入れること)だし、何はともあれ黒字化を実現することだろう。

一方、個人が取り組まなければならないのは、業績を向上させるために考えることだ。頑張っても報われないというのは、これまでの戦略が通じ無くなっていることを示すシグナルなのだから、違うやり方を見いだせねばならない。慎重に策を練り、経営者に提案し、意見を通さねばならない。どうしても意見が通らず、それがストレスになっているのであれば、それは組織を離れる時期だろう。

組織も個人もやみくもに頑張るのではなく、頑張れば報われる環境を作る。その意識が大事だ。

もちろんこの考えは政治や行政にもあてはまる。
どうも最近はその点が理解されていないような気がするが。
28

大競争時代の大学教授:ポール・サミュエルソンに捧ぐ

昨年末、偉大な一人の経済学者が世を去った。その名をポール・サミュエルソンという。

サミュエルソンは、シカゴ大学で学士号を取得し、ハーヴァードで経済学博士号を得た。25歳の時には既に年齢よりも多くの博士論文を出し、その優秀さで知られていたが、ハーヴァードで職を得ることは出来ず(真偽定かではないけれど、当時はユダヤ差別が激しい時代だったらしい)、MITで教鞭をとった。1940年のことだ。

当時、MITは理工系の大学としては既に名が知れ渡っていたが、経済学科ではほとんど知られておらず、ハーヴァードに比べると一段下に見られていた。当時のアイヴィー・リーグの大学はしばしば反ユダヤ的だったそうだが、MITはそういう差別もなく、あらゆる意味でアウトサイダーといっていい大学だった。

天才数学者はこう賭けるでは、MIT時代のサミュエルソン教授を次のように評している。
MITが理工系に焦点を向けていたことは、サミュエルソンの才能にはぴったりだった。サミュエルソンは経済学を数理科学と見ることにした。それは当時としては異例の方向性だった。アダム・スミスから、ジョン・メイナード・ケインズを経て、経済学はほとんど講話で、ハーヴァードでも経済学は講話だった。サミュエルソンはMITで経済学を数学にした。サミュエルソンは、物理学者と同じように微分方程式になじんでいた。その論文は「定理」だらけだった。サミュエルソンは数理と鋭利な機知を組み合わせ、その講義や発表を、偉大で退屈な経済学者の話とは違うものにした。(中略)

MITの経済学科の名声を、ほとんど一人で自分のそびえ立つような高さの水準に上げていた。
サミュエルソンは「経済学」と名づけられた教科書を書き、それは長年のベストセラーとなった。そして1970年にはノーベル経済学賞を受賞し、ノーベル経済学賞はサミュエルソンに賞を与えるために生まれた。とまで言われた。

さて、サミュエルソン評に関しては、多くの方が様々な視点から語られているので僕からの言及はこれぐらいにしておく。経済の専門家から見れば、また違った意見もあることと思う。

僕がこの一文を読んだときに感じたことは、これからの時代、サミュエルソン的な教授が、大学経営のために求められるようになるだろう。ということだ。
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26

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト を読んで


「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)
著者:酒井穣
販売元:光文社
発売日:2010-01-16
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

Twitter上で「良書」と紹介されてたいので、読んでみることにした。

僕は人と組織の問題にとても興味を持っているし、そういった仕事を長い間してきたのだけれど、人材育成に関する本の90%(感覚値)は読むに値しない本だと思っている。何故なら、個人の価値観を押し付けるものであったり、特定の環境でしか参考にならない主張が多いからだ。

そういった書籍に比べると、「日本で最も人材を育成する会社」のテキストは良く考えられて作られている。
  • まず、ターゲットが明確だ。具体的な社内教育を欲している人事にフォーカスしている。
  • 主観を廃し、客観的な立場で述べらている。
  • 育成対象の成長に合わせた方法を提案している。
  • 様々な文献をわかりやすく紹介しており、更に深く学習する際の参考になる。
値段も手頃なので、教育や採用に携わっている方には是非読んで頂きたいと思う。
ここでは、僕が共感した点と、なるほど!と思った点をひとつずつ紹介したい。
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20

事業家はどのような環境(企業)で生まれるのか

昨日、興味深いエントリを読んだ。

市場価値の高い人材を輩出する企業とは

もともとスローガン株式会社が配信しているメールマガジンの編集後記を抜粋した記事のようだ。事業を創造することができる事業家型人材はどのような環境(企業)で生まれるのか、を論じている。

人材輩出企業の条件は何でしょうか?答えは明確です。

1つは、できあがっていない組織であること
2つは、成長産業で勝負する成長企業であること


この2つが大きな要素です。

賢い人はもうお気づきかと思いますが、上記2つの要因が重要であるとすると、人材輩出企業は、時代とともに変遷するという事実があります。

内容に関しては大筋同意だが、出来上がっていない組織であるかどうかは人材輩出企業であることと関係がない。この条件をそのまま当てはめると、成長領域で勝負しているベンチャーが全て当てはまることになってしまう。これはミスリーディングに繋がりかねない。

成長領域で勝負しているベンチャーを挙げると、2000年前後であればインターネットカンパニーが全てあてはまるし、2004年前後だったら、モバイルカンパニーや、不動産金融の企業がそれに当てはまったろう。

それらの会社はどうなったか。多くの会社は現在では事業規模の縮小や倒産を余儀なくされてしまったのではないだろうか。

もちろんそこに入って力をつけ、事業創造に携わるようになった人も多数いる。しかし、その影で後悔している人も一部にはいるはずだ。

故に僕であれば、人材輩出企業の条件をあえて二つに絞るのであれば、次の2点を挙げたい。
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19

組織文化って何?組織文化がもたらす効果

採用の仕事をしていると、必ずといっていいほど出てくる言葉が「社風」だ。

ただ、この社風って正直良く分からない。wikipediaで見てみると、
社風とは、その会社の風紀、性情を表すもので、一般に、体育会系、家族的、軍隊的、官僚的、野武士、お公家等の言葉であらわされることが多い。社風と企業倫理の実践は別のものであるが、いわゆるイケイケの社風の場合、企業倫理の徹底が末端の社員や経営者全般に行き届かないことがあり、不祥事を引き起こす場合もある。
とある。ますます良く分からない。いわゆるイケイケって何だよ!と思わず、ツッコミを入れたくなってしまう。まぁ、OB・OGと話していると何となく感じることとか、オフィスやセミナーの雰囲気で何となく感じるものは確かにあるので、社風の存在そのものを否定することはないけれど、「考えるな、感じろ!」とばかり言っていてもしょうがないので、もう少しわかりやすく、納得出来る言葉で社風なるものを表現してみたいと思う。
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31

Twitterを活用した採用活動、就職活動

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24

都市を離れ、地方で働くことのメリット


アゴラ : 人口の都市集中が必要だ - 池田信夫

人口の都市集中が必要だ という意見がある。
地方にはロクな仕事がなく、バラマキをしても生産性が低いので、余計な補助金を減らして、生産性の高い都市へ労働供給せよ。という意見だ。
これはもっともな意見だが、僕自身はこれらの意見とは逆行して、1年半以上前から実家のある富山に帰ってきて仕事をしている。生まれ育った土地を愛する気持ちももちろんあるけれど、富山で生活することに十分なメリットを感じたからだ。人によっては、都会を離れ地方で暮らしたほうが居心地よく生活出来る人も多いのではないかと思う。その点に関して少し僕の見解を述べたい。

地方での生活を困難にしている要因は主に次の4点と考えられる。
  1. 仕事の問題
  2. 友人の問題
  3. 娯楽の問題
  4. 教育の問題
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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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