fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

戦略とか、戦術とか

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電子出版の普及によって、出版社はプロフェッショナル・ファームになる。

昨日、出版社の方と電子出版に関してディスカッションした。
KindleやiPadの普及によって、電子書籍が一般的なものになっていくと、出版社もそれを見越して戦略を立てなければならなくなる。

Kindleで電子出版を行えば、様々な条件はつくものの著者の印税(正確には情報配信料などの言葉を使うのが適切か)を70%まで引き上げることが可能になる。

紙の場合は、著者に入る印税は10%程度だから、この印税はまさに破壊的だ。情報の配信や複製にコストが掛からないのだから、Amazonとしては、30%の取り分でも十分儲かる。ネットの世界ではプラットフォームを抑えてしまったものが圧倒的に強い。

出版社が今まで果たしてきた役割は、発掘・編集(企画)・印刷・流通・販促だ。電子書籍の場合、印刷と流通にかかるコストはゼロになる。出版社に残る付加価値は発掘・編集(企画)・販促だけになる。

発掘・編集(企画)・販促という残された部分で付加価値を残せる存在にならなければ、出版社自体、時代に淘汰されてしまうだろう。

故にこれからの出版社に求められるスキルは、
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日本の出版社を壊す、勝間和代という黒船


本日は勝間和代さんの本当の凄さについて書こうと思う。
極端な言い方をすれば、勝間和代さんは、KindleやiPadが出る前に日本の出版社を壊してしまった、のだと思う。

僕自身は、随分長い間、勝間さんの本のタイトル(年収10倍アップとか)に抵抗があって、長い間ずっと購入せずにいたのだが、読まず嫌いもフェアではないだろう。と思い、最近になって一通り読んだ。

読んでみたところ、勝間さんの本のメッセージには共感できたし、主張も合理的だと感じた。自己啓発本として、わかりやすく、変にスピリチュアルな所もなく好感が持てた。

さて、ここからが本題なのだが、ある出版社の方から次のような話を聞いた。
勝間さんの書籍が売れるのはありがたいことなんですが、正直我々としては微妙な気持ちなんです。勝間さんは編集担当の意見を受け入れず、自分の意見を通されますし、書籍のマーケティングに関しても、ブログやメディアを通じて自分でやってしまわれる。正直、僕らは印刷するだけですから、存在価値を問われています。いらないんですよ。
勝間さんが、編集泣かせという話は時々聞くが、本当かどうかはわからない。ただ、感覚としては編集担当の提案よりも「どうすれば売れるか」はよく理解されているのではないかと思う。

編集担当と著者は常に二人三脚で作品を作るわけではない。著者の力量は3つの要素に分解できる。
  1. 知名度
  2. 文章力
  3. コンテンツ
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地方新聞の逆転戦略:実は今が一番のチャンス?


My Life in MIT Sloan : 日本の出版社が直面するイノベーションのジレンマ

にインスパイアされて原稿を書きます。出版社ももちろん厳しいのだけど、新聞社も厳しい。雑誌社はクオリティの高い取材とコンテンツ編集が強みの一つなので、クオリティを高めつつ、コスト削減。という道をしっかりと歩めば、縮小均衡を実現することも可能かもしれません。

しかし新聞社はどうか。新聞社の特徴は速報性と解釈にあります。しかし、その速報性は既にインターネットメディアに一歩も二歩も遅れを取り、ニュースの分析・解釈に関しても、紙面で伝えられる情報には限りがあるため、右なり左なり一方向的な見解を述べるに留まるしかなく、現在ではネットによる多面的な解釈の前に遅れをとっています。

いまや、新聞社は産業全体が風前の灯といっていい、と思います。

さて、新聞社の不況は数字面でも現れており、1月29日に発売予定の電通メディア白書2010では、2009年の新聞広告市場を、8200億円→6500億円(21%ダウン)と報じている模様です。(株式会社アールリサーチのBlogより引用)

また、リーマン・ショックがあった08年のデータで恐縮ですが、新聞社の財務状態も07年から08年にかけて軒並み厳しくなっており、08年以上に厳しい年となった09年は更なる落ち込みが予想されます。

newspaper

さて、八方塞がりな情報では新聞各社としても打てる手は限られており、経営コンサルタントの大石哲之氏などはご自身のブログの中で、再建戦略を次のように述べておられます。

大石哲之公式ブログ : 新聞社の経営を任されたら?


結局、マスを狙っていくしかないかな。戸別に配信できるというのは、けっこう強い。他の媒体にない強みなのだから、それを生かす方向で。(中略)読者半減でも、コストを7割下げて、高収益を確保。ま、後ろ向きなリストラ主義な戦略だけど。(中略)

でも、いまの法律や組合だと、人を削減できないし、賃金も下げられないし、年金も削減できないから、結局、コストは削減できず、会社が潰れるまで、みんなが吸い取って、最後は破綻だね、という話。(中略)

反対に、新聞のはなしだと、かならず出る、特化。なにかに特化して、高収益にするといっても。現在の伝書鳩みたいな記者に、ブロガーみたいに専門的かつわかりやすい記事を書けっていっても、無理でしょ。外国のジャーナリストから見ると、記者クラブの記者は、記者とおもわれてなくて、役所の広報という分類らしいから。
というわけで、
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世界で戦うとはどういうことか - Amazonに学ぶ

AmazonがKindleの電子書籍に関して印税を35%から70%に引き上げるという発表をした。クリエイターにとっては戦略の幅が広がるし、収入源も多様化する。出版業界にとっては脅威極まりない話ではあるが、多くのクリエイターにとってはありがたい話ではないだろうか。

しかし、この時期にAmazonが印税を35%から70%に引き上げるという発表をしたことに関しては、国際競争の厳しさと、その怖さみたいなものを同時に感じたことも事実だ(AppleのタブレットPCの発表に先んじてぶつけてきたように思う)。きっかけはこの記事。赤字がエントリ主が警鐘を鳴らしている部分だ。


fladdict:Amazon70%印税ルールの各条項を深読みする
・KindleとKindle Storeの全オプション(Text to Speech等)を受け入れなければならない。このオプションは将来的に拡張される場合がある
正直によめばText To Speech対策。オーディオブック著作権者と全米盲人協会からの、板ばさみ状態の現状を脱出するための条文。個人的にはこの条文が毒入りケーキの毒の部分。 この条文を受けいれた瞬間に色々なものにサインすることになる。将来Kindleがオンデマンド印刷や全文検索、書籍前半30%の無料試し読みをしようが、すべて同意したことになる。

・その本の販売価格はAmazonが最安値(あるいは他の競合と同価格)でなければならない。
競合殺し条文。今度はプラットフォーム戦争用の毒。 今後Appleなりソニーなりが、まったく新しいデバイスやビジネスモデルを考えたとしても、出版社がそれを導入することが非常に難しくなる。 価格競争で他の陣営につけば、世界でもっとも売り上げの上がるストアでの印税率が70%から35%にストンと落ちることになる。(中略)
この条文にもう1つ、トラップがあることに気づいた・・・。この条文のキモは、条文1「書籍の価格帯は$2.99~$9.99」との組み合わせだ。 70%ロイヤリティを取得する為には、iTunesストアで同書籍の販売で、最頻度価格帯である$2.50以下での販売を放棄しなければならない。 つまりiTunesストアでの価格競争アドバンテージを完全に失う。iTunesにおいて$2.50以下で販売した場合、Amazonでのロイヤリティは35%に制限される。これは完全な踏み絵だ。

この戦略の奥深さには舌を巻く。
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ライブドアがリードする新時代のメディア戦略 その2

さて、昨日のエントリではライブドアが仕掛けるブログメディアの、その優れた戦略眼に関して解説した。今日はその続きとして、ライブドアの方針に不安や問題は無いのか。を考えてみたい。

一番気になるのは、tabbata氏自身が述べておられる「良質の記事」の定義だろう。
ツッコミどころもあるが、極めて斬新な「問題提起」型の記事のほうが、退屈で無難な「模範解答」型の記事よりも、遥かに「良質」だと言える
この定義をそのまま利用すると、編集者が上手にコントロールしないと、いくつかの問題が発生すると思われる。第一の問題点は読者の質が下がる可能性がある。ということだ。全てがそうというわけではないが、「問題提起型」の記事は、下記のような特徴を持つことも多い。
  • 客観的なデータを示していない。あるいは意図的な解釈をしている
  • 論理ではなく、感情での議論に終始している
  • 客観的視点ではなく、ポジショントークになっている
  • 偏見に満ち、倫理観に欠ける
心当たりはないだろうか。

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17

ライブドアがリードする新時代のメディア戦略


湯川鶴章さんがライブドアと組んで新しいblogメディアを立ち上げられた。IT潮流時代から、記事はずっと追っていたのだが、今回のメディア:Tech Waveも近いうちに軌道に乗ることだろう。

成功したビジネスの横展開というのは、非常に成功しやすい。共通で利用できるパーツが非常に多く、相互にシナジーをもたらすからだ。例えば、トヨタであれば、ボディやエンジンに関する基礎技術は車種が異なっても使い回しがきくし、マイクロソフトで言えば、ユーザーインターフェースなどは、使い回しがきく。予備校や資格の学校であれば、校舎や集客の仕組みは既にあるわけだから、学べる科目を増やすこと自体は難しくない。

今回のTech Waveの立ち上げで凄いと感じるのは、BLOGOSで実現したモデルをさくっと横展開したところだが、仕掛け人のtabbata氏は完全に「ブログメディア収益化の仕組み」が見えているようだ。

ライブドアのメディア事業部長のtabbata氏の言葉を読み取っていくと、ブログメディアのマネタイズには3つのポイントがあるようだ。 
  1. 良質の記事を定期的に投稿する
  2. 検索エンジン経由でのユーザー流入を増やし、コンテンツマッチ広告のCTRを高める
  3. 媒体そのものを低コストで運用する(営業部員や編集部員を自社で持たない)
言ってしまうとポイントはこれだけなのだが、もちろん以上のことを実現するためにtabbata氏は非常に細かな工夫をされている。(そして、それらの工夫は同時に他のメディアの参入障壁となっている。)

どういった工夫をしているのか、
TABLOG:検索経由でのユーザー流入は、ブロガーへの印税収入だ!
を追いながら見ていくことにしたい。


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プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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