fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

富山JC

3

今まで生きてきた中で一番嬉しかった思い出

誰にでも忘れられない思い出はある。
ましてや、それが高校時代のスポーツの思い出であればなおさらだ。
僕の場合、人生に一番の影響を与えたのは、あの夏のインターハイ予選だった。


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つい先日、富山青年会議所(富山JC)の合宿に参加するハメになった。
合宿の中心は、「プレゼンテーションスキルの磨き方」で、これは思った以上に良い内容だったのだけれど、その研修の中の小さな模擬演習に、

「自分が今まで生きてきた中で一番嬉しかった思い出を1分で話しなさい。」

というものがあった。
マインドマップを活用したりして、うまく1分で話がまとまるように内容をまとめるのだけど、
僕は何を勘違いしたか、「初めてのエッチ」というタイトルでマインドマップ、及びプレゼン内容をまとめてしまった。

すっかり話す気まんまんで準備をしていたのだけれど、
最初にプレゼンターとなった方が話されたのが、

高校時代の陸上部で参加した駅伝の大会で、
(自分は怪我で参加出来なかったけれど)後輩が頑張ってくれて優勝した。

という話だった。

これがまた、非常に良い話で、僕も思わずもらい泣きした。
そして同時に、僕の中に自分の人生を変えたといってもいい、あの夏の出来事が
急に鮮やかに思い出されたのだ。


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僕は体も細いし、そんなに運動神経も良くないのだけれど、
祖父が偉大な柔道選手だったこともあって、祖父ちゃん子だった僕は小学校1年から柔道をしていた。
最終的には大学3年まで続けたので、15年間は柔道に取り組んだことになる。

高校でももちろん柔道部に入った。
高校はいわゆる県内有数の進学校で、一部のスポーツは非常に強いけれども、
柔道はなんというか、もう練習もそんなに真面目にしないし、ある意味廃部寸前の状態だった。

進学校の柔道部で、しかもそんなに強くないとこれはこれでみじめなのもので、
まぁなんというか、強豪校からはゴミのような目で見られたりする。

僕と同時期に柔道部に入ったのは何人かいたけれど、僕ともう一人、後に主将になるMという男が
中学での実績もあり、1年次からレギュラーだった。

例え弱小校でも中学での実績があり、真面目に練習を続ければ
(僕たちは3~4人、いつも同じ顔ぶれで練習をしていた。)
それなりに、勝てたりもするもので、団体戦ではいつもベスト16には残る強さ。

本当はベスト16から上にもいけたのだろうけれど、
ベスト16の段階で、いつも3-2で負ける。ポイントをとるのは僕ともう一人、未来の主将のMだ。

これは1年の時からそうで、かつては実績もあった先輩たちが、練習もそんなにしないようになり、
早々に負けて帰り、あと一歩のところでベスト8に進めないのを非常に悔しく思っていた。

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しかし習慣というものは怖いもので、
いつしかそのような状況にも慣れ、3年になり、僕は副主将、Mは主将になった。
ベスト16どまり。スコアは3-2。

どちらかというと、僕はお調子者で盛り上げ役。
「いつもと違った形で練習しようぜ~」といっては、面白い遊びを考えつくタイプだった。

Mはまぁそんな僕に合わせてくれていたけれど、
最後には黙って自分の責任を果たす男で、練習もきちんとやって帰る男だった。

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それなりに充実した柔道人生をあゆみ、最後の大会になる。
ベスト16の時にあたったのは、昨年インターハイに出場している強豪校だ。

まぁ、正直僕は負けたと思った。
僕の相手は、僕の2倍以上体重があり、130kg越えの巨漢だった。
知らぬ間に、自分のゴールを、「いい戦いをする。」に変えた。

先鋒で出た1年生は早々に負け、次鋒の僕が出る。
いい戦いをしたいところだったが、開始57秒。あっさりと潰され負ける。
不思議と悔しさはなかった。

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中堅も負け、副将戦になる。副将として出るのは、主将のMだ。
(今日は5-0で負けるな。まぁ、それもしょうがない。)
本当にそう思った。

Mも70kg程度で、体格は僕とそんなに変わらない。
相手は110kgあり、動きも俊敏な県の指定強化選手。


勝ち目はない。
あとはどれだけ、いい勝負をしてくれるか。
それだけ。

試合がはじまる。

1分‥1分30秒。
いつ投げられてもおかしくない、強烈な技を、Mは何故か耐える。受け流す。
相手のチームから、ヤジが飛ぶ。
「そんなやつ1分以内に片付けろ。」と。
当然の意見だ。

何故か、相手の攻めが単調になり、焦りから技が大振りになりはじめる。
2分過ぎる。

相手が内股をかけたところ、Mは巧みにそれを返し、逆に投げる。
きれいな1本だ。

誰が見ても、その瞬間に勝負が終わったことがわかる、それほどの技をMはかけた。
僕は自然と涙が出た。

その後、試合は4-1で負けた。

しかし、僕は誇らしかった。
同時に、自分が恥ずかしかった。

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僕と彼との間にあった違いは何なのだろう。
困難な状況に直面したときに、いつもあの試合のことを思い出す。

諦めない気持ち‥。それは大事かもしれない。
でも本当に大切なのはそれではない。

僕が、少し気を抜くときに、彼はいつもの自分のやるべき仕事をやっていたのではないだろうか。
見えないところで、黙々と努力していたのは彼ではなかったか。


努力したからといって奇跡がおこるとは限らない。
しかし、ごくまれに、努力した人にだけ奇跡がおこることがある。


あの夏の日、確かに僕の中で何かが変わった。




28

富山JCの驚くべきリーダーシップ研修

今年に入ってから暫く順調にBlogの更新を続けていたのですが、8日以降、ぱたっととまってしまいました。これはズバリ猛烈に忙しくなったからなのですが、何で忙しくなったかというと、

飲み会の余興で行う(最近何かと話題の)karaのダンス練習に忙殺されていたからです。
仕事が終わる19:30頃から開始し、21:30まで2時間練習。これを2日に一度の頻度で行ってました。

‥書いてみて、思いましたがそんなに忙しくないですね。

多分、2日に1回、2時間という練習頻度が、自分のブログを書くペースにぴたっとはまって、書けなくなったということだと思います。

不思議なことに平均年齢33.5歳のむさい男8人で夜な夜な集まり、動画を見ながら振り付けとダンスを確認していくと、最初はなんとも思わなかったkaraの5人のメンバーがどんどん可愛く見えてくるという不思議な現象にも直面しました。(まぁ、心理学的にいうと単なる単純接触効果なんですけどね!)



まぁ、そんなことはどうでも良くて、なんでこんな余興をやることになったかという話をしたいと思います。


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13

一人で戦局を打開することは大変難しいけれども

例えば何万人という人間が絡む、戦争や政治の世界では、一人の兵士が果たせる役割などたかが知れている。どんな勇者がいても、一人で戦局を打開することなんて出来やしない。

政治や大企業の中で働いている人の中には戦局を動かすだけの力のない自分の立場を嘆きたくなる人もいるだろう。

一方、そういう厳しい現実があるからこそ、アニメや漫画には、一兵卒の活躍からはじまり英雄譚へとストーリーが昇華する物語が描かれるわけだし、それを読んで僕たちはワクワクする。

戦局を変えた白い悪魔の物語が「ガンダム」なわけで、一隻の潜水艦が国際政治を動かせるかどうか夢想した作品が「沈黙の艦隊」だ。戦場の圧倒的な巨大さと小さな軍隊の頼りなさを描いた物語としては、(マイナーだと思うけれど)PS2の「絢爛舞踏祭」なんかがいい味だしてたと思う。ほんの小さなボタンの掛け違いの連鎖をおこすことが出来れば、銀河に100年の平和をもたらすことが出来るというような、ミクロからマクロへの挑戦という設定は、現実には大変厳しいからこそ、ロマンをかきたてられる。

では、現実世界では、自分という一人の小さな個人が大きな組織を動かすことは出来ないのか。というと、完全に不可能というわけでもなく。

例えばディー・エヌ・エーを例に挙げると、モバゲータウンを開発した一人のエンジニアや、「怪盗ロワイヤル」の開発者なんかは、確かにディー・エヌ・エーの大きな変化を産み出す震源地となったわけだ。

もっとも、じゃあ彼らのようなスーパーな結果を残さねば組織は動かせないのか。というと必ずしもそうではない。彼らを採用してきた採用担当者や、知恵を蓄えてきた開発陣、ここまで企業を存続させてきた営業・マーケティング担当者一人一人が大きな変化を産み出す活動に一役買っているわけで、そう考えると、一人一人の小さな努力や生み出してきたちょっとした「違い」がバタフライ・エフェクトとなって、世界を変える。なんてことが起こりうるのが人生の面白いところじゃないかと思う。

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さて、猛烈に前置きが長くなってしまったけれど、こんなことをふと考えたのは、やはり県の青年議会の活動の影響だろう、と思う。続きを読む »
25

青年議会への参加:地方行政を身近に感じた一日

事業を行っている友人に

「県の青年議会の議員になってみたら?」

とすすめられたので、とりあえずものは試しと応募してみた。

僕のきらめくような才能が応募用紙ごしに伝わったのか、
こいつは明らかにヒマそうだし、出席するだろう。と思われたのか、
はたまた、応募者が少なかったのか、

真実は定かではないけれど、どうやら受かったようで、35度を超える猛暑の中、最近めっきり着なくなったスーツを来て、県庁まで足を運んで説明を聞いてきた。(※余談だけれど、僕同様明らかにスーツを着慣れていない人が何人かいて、おもしろかった。)

まぁ、これが想像以上に面白く、興味深かったのでちょっと感じたことなどを記しておこうと思います。

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自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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