fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

事業家養成講座

2

氷見の寒ブリはなぜ有名になったのか?プロモーションは難しく、救いがない。

プロモーションについてブログを書こうと思っているけれど、なかなか考えがまとまらない。

これまで様々な企業のプロモーションに携わってきて、経験的に言えることは、元祖「ゲリラマーケティング」のJ.K.レビンソンのいうように、1発のメールや1回の広告で効果が出ることは少なく、継続して広告していく中で、どこかで急にブレイクするタイミングがあることだ。

もちろん、ブレイクするまでの辛い期間にあきらめずに継続することと、ゆっくりとでもいいので継続的に改善を続けていくことが大切だ。これを続けるのはとてもむずかしく、苦行のように感じられることも少なくない。

----

昔聞いた話でとても参考になったのが、「氷見の寒ブリはなぜ有名になったのか?」という話だ。

不漁の時期にはキロ1万円。一本10キロとして、10万円の値をつけることもある氷見の寒ブリは、今や完全にブランド食材になったけれど、寒ブリがブランドになるまでには様々な工夫があったという。

その工夫で一番印象に残っているのは、有名になるまで一定の量を流通させる。というものだ。
漁協や市、そしてもちろん市民が中心となって、周辺に「氷見の寒ブリ」という非常に貴重で美味いものを贈り物で配りまくる。

食べてみるとやっぱり美味い。今度は自分で買おうと思う。贈り物に使おうと思う。
そんなことが繰り返されて、ブランド化が進んでいったという。

話題作りがうまいところは、この一定の量を流通させる。という作戦をうまく使う。
著名人や発信力のある人に、無料で、あるいは、安い価格で体験してもらい、体験談を宣伝として使う。

もちろん、本当にモノが良くなければ口コミでは伝わらない。
モノに自信があり、その体験を積極的に他に広めたい。という人が増えてはじめてクチコミがおこる。

promotion_success

こう考えていくと、プロモーションで大切なことは、序盤ブレイクする時までいかに粘るか。
ということに尽きるような気がしてくる。

(図で示したプロモーションの成功パターンは、広告代理店の方や、人気ブログを運営している方などは、アクセス数や問い合わせ数が綺麗にこのグラフのようになるのでご理解頂けると思う。)

ハイパワー・マーケティングを訳した、金森氏なんかは、「プロモーションを考えるときは札束に火をつけて燃やす覚悟が必要だ。」と述べる。極端な話かもしれないけれど、一理ある。
 
プロモーションに資金をかけることが出来れば一番いいけれど、資金をかけれないことだってある。
実は、そんな会社が大半だし、そういう会社はちょっと頑張って広告を出して、その効果の少なさに愕然として、二度と広告にお金を使わなかったりする。慣れていないと、覚悟が決まらないと、なかなか広告にお金を使えない。お金をドブに捨てているかのように感じてしまう。

その上、会社の状況や商品、手持の資金量によって最適なプロモーション方法は異なってくる。広告代理店やネットマーケティング会社に勤めていたプロを雇っても、必ずしもその会社に適切なプロモーションプランを立案できるとは限らない。

分野を絞れば成功者はいるし、プロモーションやマーケティングのプロという人はいるが、
そういう人はすぐに売れっ子になり、これまた高いコストがかかるようになる。

以前、私が勤めたことのある関連会社が、社運をかけて5億の広告を某大手広告代理店に発注した。売り出し中の有名女優を使い、大都市をジャックするかのような広告をうった。考えていたような成果はまるで出ず、会社の経営が大きく傾いた。広告やプロモーションに慣れていない企業が突然社運を賭けてこのような広告を打つと、往々にして悪い結果になりがちだ。

広告に慣れていない。
広告代理店の営業担当を見極める力がない。
商品そのものが練り上げられていない。

おそらくもっと他の広告のやり方があったのだろう。
もう少しリスクを抑えつつ、広告に対しての知識・経験を積んでいく必要があったのだろう。

ブレイク出来ないままに、資金が尽きることは多い。
引き際が肝心だが、粘り強さも大切だ。明日ブレイクがくるかもしれない。

どう続けるか。
これほどまでに、プロモーションは難しく、救いがない。


----

いま、僕が住む富山の八尾では、おわら風の盆という祭りを行なっている。
人口2万人強の町に、3日間で25万人を超える観光客が訪れる。

おわらが有名になったのは、風の盆恋歌の影響だと思うけれど、それはブレイクのきっかけに過ぎず、それ以前も、それ以後も、おわらはおわらとして、泰然として町にあった。言ってみればそれは、八尾の町が時間をかけ継続して育ててきた町の宝だ。



究極的に言うと、一気に広めようとせず、氷見の寒ブリや八尾のおわらのように、ブレイクするまで続けることが出来るだけの構造をつくってしまうことが必要なのかもしれない。そうすれば時間を味方につけることができる。他にないユニークなプロダクトを扱っているならば、それが唯一無二の方策かもしれない。


 実践的ゲリラマーケティング―小企業のための成功する広告戦術
実践的ゲリラマーケティング―小企業のための成功する広告戦術

ハイパワー・マーケティング
ハイパワー・マーケティング

14

水を30倍売る営業マンの話

ここ10年ほどの間にオフィスでよく見かけるようになったものにウォーターサーバーがある。
最近は家庭でも見かけることが多くなった。

1ガロンほどの水が定期的に配送されてくる、というビジネスモデルで、美味しくて安全な水をペットボトル等よりも安い値段で飲むことが出来る。

この水を他の営業マンの30倍売る男(Yちゃん)の話をしたいと思う。  

----

僕 「そういえば、Yちゃん元気にやっとんがけ~。なんかA社に勤めとったときとか、B社の時とかみたいに大変なことになっとらんけ」

Y母 「 最近は元気にやっとるみたいよ。なんか結構仕事も慣れてきたらしくて、他の職場への異動とかの提案もされたらしいけど、『水売りたい』っていって、今の仕事続けとるわ。」

僕 「それはよかったね。しかし、水を売って歩くって面白いのかね~。」

Y母 「わからんけど、いま会社のトップ営業マンらしいよ?この前○×っていうテレビにも出とったわ。売れたらやっぱり面白いがじゃないけ?」

僕 「へ~(まぁ、地方のテレビなんて出るの簡単だからな~)それはすごいね、 この前までなかなかいい職場がなくて転々としとったんにね。よかったね~。トップって、どれぐらい売っとんがけ?」

Y母 「なんかよくわからんけど、他の人の30倍売っとるらしいよ?」

僕 「は!?30倍?

Y母 「そう、30倍。」

僕 「他の営業マンの30倍売る営業マンなんて聞いたことないよ?3倍の間違いじゃないの?」

Y母 「それが30倍らしいよ。30倍売っとるけど給料あんまり変わらんって悲しんどるわ。笑」

僕 「なんでそんなに売れるの?Yちゃん営業とか販売とかの勉強しとったけ?」

Y母 「ぜんっぜん。勉強とかぜんっぜんやってないが。」

僕 「じゃあ、なんでそんだけ売れるが」

Y母 「友達が買ってくれるらしいよ?」

僕 「友達?」

Y母 「そう、野球部時代の友達がなんか買ってくれるらしいよ。友達だけじゃなくて、その友だちの親御さんとか、近所の人とか。Yちゃん水売っとるから、買ってあげてって。みんな喜んで買うらしいよ。」


そこには僕のしらない世界が広がっていた。


続きを読む »
7

事業を創造・推進できるのはどういう人か

Learnputの営業時間が終り、オフィスを片付けながら社長の平木さんと「事業を創造・推進できる人はどういう人か。」という話題になった。

実はこれには模範解答があって、素早くEAチェーンを回すことが出来る人、となる。

EAチェーンとは、以前このブログでも紹介した、今すぐできる「戦略思考」の教科書 ビジネス本を何冊読んでも身につかない人のための「戦略思考」の教科書で述べられている概念で、E(Experiment:実験)とA(Adapt:適用)を素早く繰り返すことを指す。

ビジネスの基本は、G-PDCAサイクルを回すこと(Goalを定め、Plan-Do-Check-Actionを繰り返すこと)だが、頭でっかちの人やリスクを極端に恐れる人は完全無欠のPlanを建てることに固執する余り、結果的に事業機会を逃してしまったり、より正確な情報(=すなわち実験の結果)を得る機会を失ってしまったりする。

日本の大企業のように、事業を実行に移すまで数多くの稟議を回さなければいけないような職場であれば、一人ぐらいは最悪の辞退を想定するあまり、挑戦意欲に欠ける人がいる。そんな人が一人でも入れば事業推進の許可は降りない。あるいは骨抜きにされたものになってしまう。

事業家を志す人であっても、企画畑出身だったり、熱心に企画を建てるためのスクールには通ったけれど、実戦経験が不足している場合にも、このような事態に陥りやすい。

PDCAかEAチェーンか、というのは言葉遊びだと言われるかもしれない。
結局のところどちらも必要なことなのだから。

ただ、言葉には魔力がある。
PDCAを重視する組織は統制や自己管理に強みを発揮し、EAチェーンを重視する会社は創造性に強みを発揮するようになるという可能性は十分ある。

実際、PDCAという言葉が生まれ、日本企業に次々と導入されるようになった1970年代に比べ、現代のビジネス環境は大きく異なっている。

  • 試作品の作成が容易だ。一人の天才的なクリエイター、プログラマがほんの一昼夜で試作品を完成させたりする。そのような開発ツールや開発環境、開発に関する情報のストックが3,40年前と比べはるかに充実している。
  • 試作品の市場へのPRが容易だ。顧客データベースの充実と、インターネットの登場により、特にソフトに関してはすぐに市場の反応を見ることが出来るようになった。(ハードは一定の数を量産しないと市場に評価を問えない、という意味でソフトよりも若干ハードルが高い。)

以上のような環境にいるからこそ、ビジネスを前に進めるためには、さくっとつくって、実験し、より詳細なデータを取り、商品・サービスを市場に適応させていく。というプロセスが重要になるのだ。

実験(Experiment)を重視することによるメリットはいくつかある。

・より詳細なデータを取ることが出来るようになる。
・実験の結果を持って、上司やステークホルダーを口説きやすくなる。(予算を得やすくなる。)
・実験を通じて、思いがけない成果、効果を発見することがある。

以上のようなところだろうか。
コンサルタント風に言えば、ホームランを狙うな、ヒットを積み上げろ。となる。
実験という形で成果と信頼を得ていき、最終的なゴールを達成するのだ。
もっとわかりやすくいうと、まず僅かな予算でトライアルし、実績を持って多くの予算を獲得し、その結果で持って必要なだけの予算を獲得するのだ。

かの黒澤明も名作7人の侍を作ったときには、予算を集めきれず、最初に与えられた予算で、まず前半部分を作り、それを見た資産家たちに残りの映画を撮る予算を出させたという。

このように実験と適用を繰り返しながら、最終的なゴールを達成する絵を描く。
実績と信頼を勝ち取り自然に事業を進めるざっくりとした絵を描くというのが、現代的なPlanのたて方と言えるかもしれない。

自分が属する組織に少し創造性が欠けている、と感じているのであれば、
EAチェーンを素早く回す。という概念をインストールすべく動いてみてはどうだろう。


3

分析とは何か/定量分析の3つの型

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」分析とは何か。

この問いに対して、明確な答を持つ人はそう多くはないだろう。

マッキンゼーで新人の教育担当をつとめ、脳科学のPh.D.を持つ安宅( kaz_ataka )氏はその著書、「イシューからはじめよ」の中で分析の本質を次のように述べている。


「分析とは比較、すなわち比べること」


安宅氏によると、分析の大半を占める定量分析においては、比較というものは3つの種類しかないと述べている。それは、比較、構成、変化だ。

pattern

比較は、何らかの共通軸で二つ以上の値を比べること。
構成は、全体と部分を比較すること。
変化は、同じものを時間軸上で比較すること。


安宅氏によると複雑に見える分析も基本的にはこの3つの組み合わせで出来ている、という。

ただ、その表現方法は多彩だ。
比較、構成、変化という基本のパターンをかけ合わせるだけでも実に多様な表現が実現されるという。

pattern2

以前、僕はデータ分析に自信を持ち始めたきっかけについて書いたが、この中で僕は残念ながら変化(同じものを時間軸上で比較すること)にしか触れていないことになる。

もちろん、それだけでも深い洞察は出来るのだけど、比較や構成という視点が加わるだけで、その分析の質はきっと何倍にも高まることだろう。

もっとも安宅氏は、こういった分析の型が大事と言っているわけではない。
より重要なことは、本当に答えを出すべき問題(=イシュー)を見極めることだと述べている。

イシューを見極めることによって、アウトプットの質を圧倒的に高め、投下する時間を徹底的に削ることが可能になる、とも。

分析は、イシューを検証するためのひとつのツールに過ぎないのだ。
自分の中に問題解決のための原理、原則を持っている人は強い。そして、早い。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
著者:安宅和人
英治出版(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

28

「人と組織」のプロジェクトデザイン

世の中は様々なプロジェクトで溢れています。スポーツの大会で優勝を目指すのもプロジェクトだし、学園祭で素晴らしい発表をするのも、新しいビジネスを立ち上げるのもプロジェクトといえるでしょう。

何らかの達成すべきゴールがあり、ゴールを達成するための計画があり、計画を実現するための組織がある活動は全てプロジェクトと定義できるのではないでしょうか。

来年は、それら世にあふれる「プロジェクト」を効果的に進め、成功に導く技術(=プロジェクトデザイン)に関して自分なりの考えをまとめ、形にする年にしたいと思っています。

----

多くの人がそうであるように、僕もいままで大小様々なプロジェクトを手がけてきました。思っていた通りの(あるいはそれ以上の)成功をおさめたプロジェクトもあれば、自分にとっても、参加してくれたメンバーにとっても苦い思い出となったプロジェクトもあります。

僕自身が手がけ、上手く行ったプロジェクトを振り返ってみると、全てに共通していることは、

1)プロジェクトを成功させるために必要なメンバーを揃えた。

ことだと思っています。プロジェクトの成功に必要な機能を洗い出し、その機能を満たす信頼に足るメンバーを集めた。僕の場合は、これがプロジェクト成功に必要な最低限の条件でした。

機能には、わかりやすい機能もあれば、そうでない機能もあります。わかりやすい機能としては、例えば特殊なスキルが挙げられます。デザインに秀でているとか、営業が得意、とか‥。わかりにくい機能としては、皆を盛り上げる。とか、皆のコミュニケーションを円滑にする。とか、立場の異なる人や顧客の意見を吸い上げることが出来る人。というのがいます。

いずれにしても、必要な機能を洗い出し、そういう能力・資質を持った人を集めること。
僕の場合はこれがプロジェクトの成功に一番必要なことでした。

しかし、人を集めるには情熱と技術が必要になります。

続きを読む »
27

営業担当者、中小企業経営者のための「戦略思考」最初の一冊

今すぐできる「戦略思考」の教科書 ビジネス本を何冊読んでも身につかない人のための賢いコンサルタントや学者が書く本は内容が高度過ぎ、あるいはトップマネジメント向き過ぎて、中小企業の経営者や一介の営業担当である僕(わたし)には、遠い世界のことに感じてしまう。

そんな人にオススメするのが、筏井哲治(ikatetsu)が書かれた、今すぐできる「戦略思考」の教科書です。




■営業担当者、中小企業経営者のための「戦略思考」最初の一冊


僕がこの本を一読して感じた感想は、営業担当者、中小企業経営者にとっての「戦略思考」最初の一冊。というものです。なぜなら、超一流のセールスマンが書いた、「戦略の教科書」だからです。

著者である筏井氏は、叩き上げの営業担当者です。
それも、並の叩き上げではありません。

----

彼は東京の大学を卒業したのち、(おそらく都内にも無数の有望な就職先はあったはずですが)地元である富山の零細IT企業でプログラマとして働き始めます。

プログラミングのみならず、営業も事務も全て自分でやらなければいけない毎日ですが、いつしかそれにも慣れ、顧客の信頼を得はじめた頃、一念発起して東京で勝負しようと思い立ちます。

入社したのは東京にある三菱商事系の情報子会社。そして、職種は営業担当。ここで彼は、誰も売れず、誰も買わない、ある監視ソフトウェアの営業担当になります。ほとんど窓際です。おそらく、北陸の零細IT企業出身のプログラマに会社もそんなに期待していなかったことでしょう。

しかし彼は、ここで頭角を表します。本を読み、売り方を研究し、その監視ソフトウェアを売って売って売りまくったのです。それこそ、周り中びっくりするぐらいに。その実績が認められ、彼は世界一のソフトウェアメーカー、マイクロソフトに半ばヘッドハントのような形で入社を決めます。

そしてそこでも彼は売って売って売りまくり、2009年には歴代最高スコアでトップスピーカーの賞を受章します。マイクロソフトは月単位、部署単位でトップ営業が生まれるような企業ではありません。しかも歴代最高スコア。本当のトップといっていいでしょう。

----

そんな彼が経験の中であみ出した様々な「思考の技術」がこの本には詰め込まれているのです。それは、小手先のテクニックではなく、大型商談をする営業担当者全てが心がけるべき、王道の技術といっていいでしょう。


続きを読む »
26

使えるツール:立場も使える時間もばらばらな人が集まってプロジェクトを進める時に

年末になり、仕事も一段落して少しずつ時間が取れるようになってきたので、先週半ばぐらいから、来年の計画を立てはじめています。ばっちり見えているプロジェクトもあれば、これから少しテコ入れしていかなければならないプロジェクトもあります。

この機会にプロジェクト推進に関しての自分の考えをまとめ、ついでにいろいろな人からツッコミを頂きながら更にノウハウに磨きをかけていこうと思います。


■プロジェクト推進のツール

能力のある人だったら、Eメールだけで凄くいいマネジメントをするのだと思いますが、僕はそこまで自信がないので、ある程度ツールに頼るようにしています。

世の中にはいろいろなプロジェクト推進のためのツールがありますが、いろいろ試した結果、僕はGoogleSites に結局のところ落ち着きました(今のところ)。理由としては、

  1. 無料である
  2. ウェブベースのツールである
  3. Gmailは皆持ってる、あるいは簡単に取れるので、権限の管理が簡単。改変の履歴も残る。
  4. GoogleSpreadSheetsやカレンダーなどウェブベースのフリーツールと相性がいい
  5. 利用ユーザーが多く、継続的にブラッシュアップされる
  6. HTMLを用いてちょっとしたカスタマイズも可能

といったところなのですが、もう少し詳しく説明すると次のようになります。

・無料である。ってのは大事なことで、社外の様々な立場、組織に属する人とプロジェクトを進める場合、誰でも気軽に使うことが出来るツールじゃないと使ってもらえない。

・ウェブベースのツールじゃないと、インストールしたりするのがめんどくて使ってもらえない。

・権限の管理が簡単じゃないと使ってもらえない&権限の管理が出来ないと、情報共有ツールとして危険。

・Officeじゃなくて、原則SpreadSheetsやDocsを使ってドキュメントを管理するってのも大事なことで、紛失の恐れがなく、バージョンの違いによる使いにくさもなく、改変の履歴が残るのはステキ。

・継続的にブラッシュアップされるし、利用したことがある人は徐々に増えていくし、Googleだから当分はバージョンアップが中止になることもないだろう。

・ウェブに詳しい人がいれば、高度なカスタマイズも可能。

こんな感じになります。

続きを読む »
9

パン・ハム・レタス/デザインの価値

パンとハムとレタスは既にあった。
カードをしながら食事を摂りたいと考えたある紳士が、ハムとレタスをパンに挟んで食べることを思いついた。
こうして、サンドイッチが生まれた。

この短い伝説は「デザイン」が持つひとつの価値を端的にあらわしている。

既に保有しているモノの価値を掘り起こし、結びつけ、パッケージし直し、時代のニーズにあった新たなものにつくりかえる。そこに付加価値が生まれ、時に爆発的にヒットする。

もともとある価値を掘り起こすわけだから、投資に必要なコストは少なく、市場に投入するまでの時間が短時間で済む。

衰退市場で苦戦している企業が「事業ドメインの再定義」を行うことで、復活するケースもこの"デザイン"があたったケースと言える(メーカーからの脱皮を遂げたIBMなんかが良い例か)だろうし、任天堂が得意とする枯れた技術の水平思考も、価値を掘り起こし、パッケージし直し、時代のニーズにあったものにつくり変えている例と言えるだろう。

簡単か、と言われるとそうでもない。

しかし、資源に限りがある企業経営者や行政担当者にはこういった視点が必要だ。
強みは既にある。それをいかに結びつけ、パッケージし直し、世に送り出すか。

最近はそういった仕事にこの上ない魅力を感じている。
13

意思決定、ふたつの思考

チェスや将棋など、洗練されたシンプルなゲームを遊ぶときに、

  1. 多くの選択肢を考えて、その中から最適なものを選ぶ、という人と
  2. 思いついたひとつの発想を夢中になって実行しようとする人

以上のように、思考のスタイルは大きく2種類にわかれる。深く考えず手を進める人もいるかもしれないが、それは除外する。もちろん強いのは、「多くの選択肢を考え、最適なものを選ぶ人」なのだが、残念ながら僕は「ひとつの発想を夢中になって実行する」傾向がある。

これはかつて上司に指摘されたこともあるし、僕自身も仕事がうまくいかないときは、大体「ひとつの発想」にとらわれてしまっているケースが多い。
孫正義は、最初の事業を興すときに、毎日ひとつの発明をするという取り組みを365日にわたって続け、その中で最も最適と思われたプラン ―自動翻訳機を形にし、最初の事業資金を得ることに成功した。
これなんかは、「現実社会で」多くの選択肢を挙げ、最適なものをひとつ選んだ分かりやすい例だと思う。

ただ、現実社会では必ずしも「多くの選択肢を考え、最適なものを選ぶ人」が成功するとは限らない。これは、選択肢を考えるのに時間をかけすぎて、最適なチャンスを失ってしまうからだろう。いってみれば、チェスや将棋の持ち時間がなくなってしまった状態だ。現実にはそのようなケースが非常に多い。

また、戦場に霧がかかったような状態であれば、動くことによって見晴らしの良い状況になることも少なくない。これはリスクを抑えたトライ&エラーにあたる。

だから実際には、時と場合に応じて最適と思われるだけの時間をかけることが重要。という非常につまらない答えに落ち着きがちなのだけれど、自分がどのような傾向(思考の癖)があるかを把握しておくだけでも、意思決定の精度は随分高まるのではないかと思う。

例えば僕の場合は、ひとつの発想に夢中になる傾向がある。

だから、僕みたいな人は時間にさえ余裕があるのであれば、可能な限りプランを出し、最も良いものをひとつ選ぶという活動をする努力をしてみるべきなのだろう。

シンプルなゲームは、自分の思考の傾向を客観的に掴むのに役に立つ。
現実の世界は油断していると際限なく複雑になっていく。
その現実の波から逃れるために、僕は時々ゲームをする。

9

モーツァルトは短命だったのか

最近聞いた面白い話に、モーツァルトは短命だったのか。という話がある。

天才作曲家モーツァルトは5歳で最初の作曲を行い、35歳で死を迎えるまで700以上もの曲を書いている。35歳で死んでいるので、確かに十分生きた。とは言い難いのではないかと思う(※)。

しかし、
「Sカーブ」が不確実性を克服するという書籍を著したセオドア・モディスは、作曲家としてのモーツァルトは生ききった。と述べている。

どういうことかというと、導入期-成長期-成熟期-衰退期という4つの分類にわけて事業や市場の成長をとらえるSカーブ(もともとはプロダクトライフサイクル理論)の概念に基づき、モーツァルトの年齢と作曲数をプロットすると、綺麗に正規分布の形でカーブが描かれ、その正規分布の形で予測される「一生の作曲数の91%を生み出した」時点でモーツァルトは死んでいるそうなのだ。

このデータをもってセオドア・モディスは、「モーツァルトは、作曲者としては十分生きた。」と述べているわけだが、ロマンチックな表現をする物理学者もいたものだと思う。

scurve

続きを読む »
自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

記事検索
最新コメント
推進中プロジェクトのご紹介

株式会社プロジェクトデザイン

ビジネスゲーム研修の開発・実施 人と組織のコンサルティング 株式会社プロジェクトデザイン

純国産品の精油、エッセンシャルオイルの製造・販売

はてなブックマーク
見た、読んだ、役立った
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

今すぐできる「戦略思考」の教科書
今すぐできる「戦略思考」の教科書
超一流のセールスマンが書いた「戦略の教科書」
紹介エントリ

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
営業/データをもとに大型商談を科学
紹介エントリ

となりの億万長者
となりの億万長者
資産形成/資産形成の原理原則がデータと共に
紹介エントリ

ラクをしないと成果は出ない
ラクをしないと成果は出ない
フツーの人のために書かれた仕事術
紹介エントリ

すごい会議
すごい会議
トップマネジメントが経営に行き詰まったときに
紹介エントリ

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
社長失格
転ばぬ先の杖として/成功譚以上に学ぶものは多い
紹介エントリ1

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
ネクスト・マーケット
BOPという新たなコンセプトを世に提示したバイブル
紹介エントリ

ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)
ミクロ経済学
大人になってから経済学に興味を持った人のための入門書
紹介エントリ

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか
プロフェッショナルの条件
読むたびに新たな発見がある一冊
紹介エントリ1

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する
教育×破壊的イノベーション
教育関係者に/新しい教育の形を提示
紹介エントリ1

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
貧乏はお金持ち
雇われない生き方を模索し始めたときに
紹介エントリ

信長の洞察力 秀吉の速断力―歴史に学ぶ組織管理 (学研M文庫)

  • ライブドアブログ