minoru活動の拠点を富山に移してから、僕の重要なテーマのひとつに、

「地方での起業。誰にでも出来る起業。」

が加わりました。
起業には大きな起業小さな起業があると思っています。

大きな起業というのは、広く大きくお金を集め、短期間で急成長を志す起業。
小さな起業というのは、会社に頼りきりだった、収入と支出(税金や社会保障)を自分でコントロールするための起業。

市場が小さく、周囲の信用・信頼がものをいう、地方での起業を考える場合、
まずは小さな起業を成功させ、時間をかけてゆっくりと事業を成長させていくのがいいのだろうな~と、思います。

というか、大都市・地方問わず、世の中の99%の起業は生きていくため、自己実現をするための、小さな起業だと思うし、それで構わないと思います。

さて、本題。

そんな小さな起業の秘密を探るため。
そして、地方で起業する人を増やし、事業の新陳代謝を加速させ、地方を活性化させるために、
富山のLiTa Clubで、僕がコーディネーターの一人となって、「富山で独立・起業セミナー」を毎月1回開催しています。

毎回、起業1年前後ぐらいの人に、「起業してぶっちゃけどう?」ということを赤裸々に聞いていくこの企画。
「既に成功した起業家」というわけでもないから、親近感も湧くし、学ぶところも多いです。

既に、17回めとなった、8月10日の回でお呼びしたのは、
名前詩人 西田 実氏

リクルート、リクルートコスモス時代のエリートサラリーマン時代を経て、複数のベンチャー起業の成長に貢献。
働き過ぎが祟ったのか、アルコール依存症と躁鬱病を発症。

療養のため富山に戻り、3年半。
自分自身の心の治療のために学び始めた、「書」「うつのカウンセリング技術」が西田さんの第二の人生のきっかけとなりました。

最初の1年半は、「生きる意味を綴る詩」を書き、売ることで
月の売上が2万円(持ち出しのほうが多い状態)だったそうですが、

真剣に独立され、事業として取り組み始めてから、1年。現段階では、
売上が60万円/月まで伸びているそうです。

もちろん、現在の事業でこれ以上の売上を実現するのは難しい面もありますが、今後別事業の構想も含め、
250万円/月の売上を描くところまではきているとのこと。

250万円の月商を達成したら、年商3,000万円です。

ほとんど固定費がかからない状態で、自分と数名のアルバイトスタッフで回せるとしたら、これは本当に立派な事業ですし、その後の展開もおおいに考えられます。

そんな西田さんが、独立されてから意識して取り組んでこられたことのポイントを、
僕なりに下記の7つにまとめてみました。

1)家族の理解
2)2万円×5倍×5倍
3)質と量 ~圧倒的な行動量が質を高める~
4)がら空きのポジションで勝負する
5)メディア活用による無料PR
6)無料で配る
7)顧客の笑顔を実現する

以下、詳しく紹介したいと思います。 
1)家族の理解

まず、地方での企業を考えるにあたって、最重要のポイントのひとつがこれだと思います。
長い闘病生活の間、西田さんを支えてくれたのはお兄さんだったそうです。
実家に住み、兄が生活を支えてくれたお陰で、立ち直ることが出来た、と。

これは何も西田さんに限ったことではないと思います。
起業するにあたり、家族の理解をえること、家族の協力を得ることは何よりも大切なことだと思います。

起業するにあたって、一時的に収入が減るぶんを、家族とリスクヘッジする。
旦那さんや奥さんとリスクヘッジする。

実家率が高かったり、生活コストが安い地方ならではの起業を成功させるには家族の理解・協力を最初に取り付けておくことが大切です。

2)2万円×5倍×5倍

今回のセミナーで最も印象に残ったのが、この西田メソッド
ご自身の体験に基づいて導かれた法則ですが、非常に印象的なものでした。

これは、

まず、月2万円の売上をつくる。
その後、その2万円を5倍(月10万円)にする方法を考える。
その後、10万円の売上を更に5倍(月50万円)にする方法を考える。

というものです。

これは、これから起業を志す人にすごく勇気を与える考え方です。
月2万円の売上であれば、サラリーマンを続けながら副業でも行えます。
子育てや家事に取り組みながら、主婦でも実現できそうです。

まずは2万円の売上をつくる。
それが実現できた後、どう5倍にするか集中して考える。

もしかしたら、行動量を増やすだけでいけるかもしれない。
PRをしっかりすれば、いけるかもしれない。
考えることを絞り込むことで、現実的な解が得られます。


3)質と量 ~圧倒的な行動量が質を高める~

西田さんは、1日何十枚という数の書を書かれるそうです。
技術が足りないぶん、数を書くことを意識されるとのこと。

依頼主の名前から発想を広げ、詩を書かれるので、大変じゃないかな?と思うのですが、
数を書けば書くほど、自分の引き出しも増え、書きやすくなる。技術も向上するそうです。

僕も起業して、1年ぐらい経ってから、「数」を意識するようになりました。
それから、いろいろなことが好転するようになったのですが、質にこだわって最初から仕事を選んでいると、仕事も増えず、技術・サービスも向上せず、ということであまりいい結果にはならなかったと思います。

「価格を下げるのはいつでも出来る。値付けを高くする」というのが、マーケティングの世界で声高に言われていた時代もありますが、数をこなすことで、質や単価を上げていく。という方法は小さな起業をする起業家には必要な姿勢のような気がします。


4)がら空きのポジションで勝負する

これは西田さんが強く言っておられましたね。
マーケティング的にいうと、ポジショニングを考え、競合が存在しない場所を探し出し、ニッチ市場で勝負する。ということになるでしょうか。

富山にはすでに、Satoshiさんと大蔵さんという名の売れた書家の方がいるので、その御二方と違うポジションで勝負しよう、と考えられたそうです。(具体的にはお二人の1/3の価格+名前をキーワードにした書に特化、という所だったそうです。)


5)メディア活用による無料PR

西田さんは、本当に頻繁に富山の地方メディア、北日本新聞に出ておられます。
BtoCの事業を展開されていらっしゃるので、新聞に出るたびに売上があがるそうです。

取材のネタが出来ると、知り合いの新聞記者に直接電話をされるそうです。
そうすると、記者が取材に来てくれる、と。

富山の地方紙は常にネタに困っている。という面はありますが、
やはり、西田さんのほうでもメディアに取り上げられやすいネタづくりをしっかりされているのでしょう。
何かのきっかけで1回目取材に来てくれることはあると思いますが、それ以降、継続的に
関係を築き、取材し続けてもらう、ということは本当に大切だし、大事なことですね。

これは僕もできていません。
これから真剣にやっていこうと感じたことのひとつです。


6)無料で配る

西田さんは事業を始められた当初、知人を中心に詩を書き、それを無料でプレゼントしていたそうです。
お金がない間はどうしても広告を打てません。だから、宣伝塔になってくれそうな人に無料で体験してもらい、宣伝してもらう。これってお互いにハッピーなことですよね。

特に時間はあるけど、お客さんがいない、起業したばかりの頃にはとても重要なマーケティング手法だと思います。


7)顧客の笑顔を実現する

西田さんが意識されているのは、究極的には周囲の人を笑顔にすることだそうです。
その対価として、報酬が得られる、と。基本的ですが、一番大切で、ノルマや目標に追われるとついつい忘れがちなことですね。

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月3万円ビジネスさて、いかがでしたでしょうか?独立・起業はいつかしたいけれど、勇気が出ない。
という方はまずは西田さんを習って、月2万円の売上をあげてみることを意識してみてはいかがでしょうか。

その後の月10万円、月50万円という売上は後でついてくるようにも思います。


最後に書籍の紹介を。
その名も「月3万円ビジネス」
著者と僕は少し価値観は異なりますが、

非電化・ローカル化・分かち合いで楽しく稼ごう。
月3万円のビジネスを10持とう。


というアイディアを書籍の中で伝えておられます。

月3万円のビジネスを10持つといっても、全く別の分野のビジネスを10持つのは かえって大変だと思うのですが、最初の月3万円のビジネスを作るあたりの発想は役に立つのではないかと思います。あるいは月3万円稼げる顧客ないし、販売ルートを10個持とう、という感覚でしょうか。

いずれにせよ、この書籍に書いてあることをそのまま実行するのは難しいですが、
地方での起業ということを考えた時に参考となる視点はいくつかあると思います。