東京出張のついでに、久しぶりに後輩と飲んだ。ブログをチェックしてくれていたようで、最近僕が取り組んでいる事業について聞かれたので、簡単に商品の特徴や市場の可能性について話した。

後輩:いや~。なんか、話を聞く前は、fukuiさんが苔とか油を扱っていると聞いて、なんというかfukuiさん流の冗談だとばかり思ってましたけど、思ったより、いや思った以上にスゴい可能性あるじゃないですか!

fukui:(それにしてもこいつは後輩のくせに相変わらず上から目線だな…)まぁ、ITとかと違って余り皆やらない分野だからね。ニッチ市場で差別化された技術があると強いよね。まぁ、ビジネスのセオリーっちゃあセオリーなんだけど。

後輩:確かにそうなんですけど、話を聞く前は、fukuiさんがついに怪しげな商品に手を出してダークサイドに落ちたものだとばかり思ってましたよ!!

fukui:(…先輩に対してもうちょっと言い方はないのかね。コイツは…)

後輩:まぁ、fukuiさんが楽しそうでなによりですよ。ところで、その事業を行っていく上での問題点とか不安点とかってあるんですかね。

fukui:まぁ、ひとつは展開スピードだね。限られたリソースでやるので、東京のベンチャー企業みたいに、一気にお金を集めて、ずば抜けて優秀な人材を採用して、のるかそるかのような大胆な事業展開は出来ない(しにくい)。

物事をものすごく単純化していうと、東京の強みはその市場の大きさにもあるけれど、優秀な人材の確保の容易さにもある。東京経済圏の人口は3500万人だけど、これは富山県の約30倍。若年人口の割合でいうと、差はもっと開く。

東京のベンチャー企業の有利さは、優秀な人材を圧倒的な低コストで雇い入れることが出来ることにあるんだ。これはシリコンバレーのベンチャーにも言えることだけどね。但し、企業が成長した場合にはその優秀な人材に報いなければいけない(株式を渡したり、20代で役員にしたり)ので、後々は実力以上に高コストになっていく。時には、企業の成長・実力を自分の実力と勘違いする人が出てくるのもこの層だね。

もちろん僕なんかも勘違いしつつあって、分不相応の評価を頂いていたし、後輩の成長を阻害していると感じるようになったから会社を離れることになったわけだけどね。新卒人材の学校を卒業してから数年間の成長というのは、本当にスゴイものがある。

後輩:fukuiさんって思いが強いくせに変なところで客観的ですよね。そういう客観的な視点は尊敬しますよ。ところで、fukuiさんは今のところ地方で、ルパン型組織のチームをつくり、ビジネスをされようとしているわけですが、ルパン型組織って、極めて優秀なプロフェッショナルを集める必要があるわけですよね。僕自身、地方のことをよく知らないので、大変失礼なことを聞くのですが、地方に極めて優秀な人材っていうのは、実際のところいるんですか?

fukui:確実に、いる。びっくりするような力を秘めた人がフツーに身近にいたりする。例えば富山には、PAワークスという会社があって、これはレイトン教授攻殻機動隊の絵をつくっているアニメーターの会社なんだけど、日本はもちろん世界を代表する会社になりつつあるけれど、本当に富山の奥地に会社を構えてたりして る。これはソフトの分野だけど、富山は製造業の会社なので、ハードの部分で技術をもっている人はもっと多いよ。僕が扱おうとしている苔や油もそういう技術のひとつと言えるかもしれないし。

後輩:そういう人たちは何故、地方にいるんですかね?

fukui:人 の発揮能力は与えられた環境によっても大きく異なってくる。能力は同じでも、東京の大会社で力を発揮できなかった人が、地方の中小企業で責任ある仕事を任せられることで大きく花開くことがある。単純に自分が活躍する環境を求めた結果、地方に行き着き花開くというケースだ。但し、基本的に地方は人材不足に陥りがちな構造を抱えている。東京と地方の人材獲得の構造を理解するためには、三国志を思い浮かべるといい。

後輩:三国志ですか?魏・呉・蜀の。

fukui:そう。人材という視点でいうと、東京が圧倒的な国力を持っていた魏。名古屋や大阪のその他の大都市が呉、地方が蜀って感じかな。蜀の滅亡の一因は人材不足にあったわけだけど、地方行政は人材の確保・育成戦略をきちんと練らないと、今後は滅亡する蜀のような運命を辿るだろうね。

後輩:詳しく知りたいですね。

(次回に続く)

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#歴史が教えてくれることは多い。歴史はただ事実を知るだけでなく、その裏にある構造を読み取ることで、現代から未来への洞察を与えてくれるものだと思う。

#どうでもいいが、ここに出てくる後輩に僕は虞翻というあだ名をつけている。何故、虞翻かというと、こちら。予想通り、彼も田舎に引っ込んで今は週に2回ほど東京で仕事をする生活をしている…。


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