先日、「ゲームで学ぶ、企業経営」というセミナーを開催しました。
経営者や、その予備軍の方の参加も多く、僕自身大変刺激になりました。

よく設計されたビジネス・シミュレーションゲームは、個人の性格を色濃く反映するものですが、今回利用した「THE・商社」でも(手前味噌ながら)その傾向は結構出ていたように思います。

動くタイプか、考えるタイプか


ビジネスゲームを行うと、行動が得意なタイプ戦略が得意なタイプ2種類に分かれることが多いです(もちろん、強いひとは両方できますけどね)。チェスや将棋などは考えることが得意なタイプが勝つものですが、今回利用した「THE・商社」は交渉(営業)やチーム内での意思統一も重要になってくるので、必ずしも考えることが得意なタイプが有利になるとは限りません。

最初に美しい戦略を立てても、思ったように交渉したりチームをまとめたりできないと序盤に十分な資源が得られず、戦略が崩壊するというケースが結構あります。頭脳もお金も集めたが失敗した、という組織は決断力と行動力に乏しいケースが多いように思います。(そういう組織って多いんじゃないでしょうか。)

特に序盤から中盤にかけては、巧みに交渉をまとめる行動タイプが強かったりします。しかし、その後は戦略を上手く形にしたチームが勝つ傾向が強いです。

現実社会もこのようなケースっておおいにあって、社長一人で作り出せる売上は2億まで。みたいな経験則がまことしやかに語られたりしますが、行動と思考のバランスをチームで巧みにとっていくことが成功には必要なのだろうと思います。(もちろん、事業構造の違いによって、社長一人で作り出せる売上の上限は2億になったり10億になったりはしますけれど。)

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経営者には、事業の序盤は個人の行動力や営業力が強く必要とされ、中盤以降は戦略を描いたり、組織を効果的に運用するスキルが求められるのだと思います。

これが、一社員であれば、以前のエントリ(古い大企業に見られる構造的な問題) に書いたように、「俺は戦略家タイプなのに、作業ばかりやらせてけしからん!」みたいな意見もまかり通るような気がしますが、経営者になるとそうもいかないので、自ら学んで、フェイズに合わせて自己を変革するなり、自分を補完してくれるパートナーを見つけるなりしないといけないのだろうな、 と思います。

この変革のタイミングに来たときに、うまく組織や戦略を切り替えることができればいいのですが、実際はとても難しい。

売上が2億に達するまで会社を支えてくれたメンバーが時に必要なくなったりします。
それまで上手く行ってきたやり方を捨てなければならなくなったりします。

それまでしなくてよかった大きな投資の決断をしなければならなくなったりします。

頭ではわかるのですが、いきなり、社長が信頼するコンサルタントという方が取締役になったりすると、それまで会社を支えてきた従業員としては面白くなかったりしますよね。そうして、従業員の間に亀裂が入ったりします(もっとも、優れたコンサルタントは人の心をつかみ、マネジメントするのも上手なものですが。)

これまで上手くいってきたやり方を抜本的に変える必要も出てきたりします。一人一人の顧客に向き合ったアットホームなタイプが持ち味だったのに、ITを使った仕組みでの対応に切り替えなければいけなくなったりします。

過去の成功体験の一部を捨てなければいけないのが、このタイミングなのだろうと思います。それが出来るかどうか。

壁を突破すると言うのは考えている以上に大変なことだろうと思います。

もちろん、自分と身の回りの人が食べていく分には2億の売上を長期的に確保出来ればそれで十分だったりしますから、何のために現在の身の丈にあった売上を超えて稼がねばならないのかはまた別に考えなければいけないことではありますが。

shosha

※経営者やその予備軍の方の参加が多かったので振り返りも盛り上がりました。
短期目標はしっかり書けるものの、(僕も含めて)5年後の目標となると、
手が止まる人も多かったかな‥。