ビジネスモデルという言葉はよく聞きますが、実際のところ既に出来上がっている自社のビジネスを投資家や会社説明会に来る学生など、第三者に説明するために図にまとめた。というケースも多いのではないかな。と思います。

新たな利益を獲得するためにモデルを組み立てるのではなく、既に出来上がったビジネスを説明するために「ビジネスモデル」という言葉を用いているのはもったいないと思うのです。

もちろんビジネスプランコンテスト等もありますが、参加メンバーでなんとなくブレストをして生み出したり、たまたま知った面白いビジネスモデルを流用したり、一人のアイディアマンが思いつきで考えたりするものも多いと思います。

僕自身もビジネスモデルって言葉ばかりが空回りしているものだと思っていたし、「ビジネスモデルを書くだけだったら誰でも出来る。実行できなきゃ意味がない。」とか、「ビジネスモデルが必要なのは大企業だけ」といった変な思い込みを随分長い間していました。

そんなビジネスモデルに対するちょっとした不信感をを変えてくれた2冊の書籍が、「プロフィット・ゾーン経営戦略」と「ザ・ プロフィット」です。

これらの本は世の中に存在するビジネスモデルを22(または23)のパターンに分類しています。もちろん実際にはビジネスモデルは無数にあるのだと思いますが、興味深い点は、大きな利益を産み出すことが出来るビジネスモデルに絞って、紹介している点です。1999年と2002年に出版された本なのですが、本質的な内容が書かれているので、今でも一切古さを感じさせません。


■紹介されているビジネスモデルの例

インターネットを用いて、自宅にいながらにして1億円を超える年収を実現した行政書士として有名な金森重樹さんという方がいらっしゃいます。金森さんは、ザ・プロフィットで紹介されたスイッチボードモデルにインスパイアされて、仕事のやり方を変えられたそうです。

金森さんは行政書士として仕事を始めた頃、FAXを用いたダイレクトメールを出すことで、大量に仕事の注文を受けることができたそうなのですが、仕事をすればするほど忙しくなって、寝る暇もなくなった割に、仕事を受けることのできるエリアが限られているために、随分もったいないと感じられたそうです。そこで、仕事を依頼したい人と、仕事を求めている人をマッチングさせる配電盤(スイッチボード)となるサイトを構築することにしたそうです。

switch


これにより、金森さんは行政書士の仕事をせずとも紹介料等で仕事が成り立つモデルを確立されたとのこと。空いた時間は別のビジネスに向けられたそうです。

スイッチボードモデルは、紹介されている22(あるいは23)のモデルのひとつに過ぎませんが、個人経営者だった金森さんでも実現できましたし、書籍ではこのモデルを用いて成功・再生した企業の例として、チャールズ・シュワブが挙げられています。ビジネスモデルを理解し、役立てることは、規模を問わず役立つようです。

ちなみに書籍には、そのビジネスモデルを成功させるために必要な条件、プロセスが整理されていますので、これも参考になる点だと思います。


■ビジネスモデルをどう役立てるか

ビジネスモデルについて学んだとして、それをどう役立てるか。ということは、学ぶこと以上に重要なことだと思います。これに関して僕は一つアイディアをもっているのですが、

自社でそのモデルに取り組むとしたら、どうやったら出来るか。

これをひとつひとつ真剣に考えてみることだと思うのです。この本を読み終わったあと、
  • 22のビジネスモデルをしって、そこで満足して終わる人
  • 22のビジネスモデルをしり、そのうち自社に向きそうなものを選ぶ人
  • 22のビジネスモデルをつかって、自社の変革パターンを22通り(あるいはそれと同じぐらい)考えてみる人
と、大体3段階ぐらいにわかれると思います。ビジネスモデルは自社を分析・整理するために使うものというよりも、新しい未来を切り開くために使うべきもの。

高収益な体質への変革が求められる今のような時代だからこそ、このモデルは自社とは関係ない。と切り捨てるのではなく、役に立てるにはどうしたらいいか。という視点で考えてみるのが面白いのだろうと思います。


プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新
著者:エイドリアン・J. スライウォツキー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:1999-08
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのかザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか
著者:エイドリアン・J・スライウォツキー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2002-12-14
おすすめ度:4.5
クチコミを見る