最近マーケティングに関して僕自身の問題意識が非常に高まっています。

それはたぶん広告代理店にいる友人から聞いた、広告をつくり販売するというモデルは限界。今は商品の企画から入るコンサルティングに業態転換しようとしている。という話と、新人研修で飛び込み営業や名刺交換営業をして疲弊している新人社員の話をよく聞くからかもしれません。

marketing
この機会にまとめておこうと思いまして、マーケティングの流れをちょっと図にしてみました。

ここでいうと、外部環境分析から成果の検証・標準化というところまでが、マーケティングになります。しかし、残念ながら、このプロセスに初期段階から携わることの出来るマーケターは多くありません。

例えば、「広告を出したい」という依頼を広告代理店が受けたとしても、どこに広告を出すか。どのような広告をつくるかというのは、この図でいう、最後のマーケティング・ミックスのPromotionというほんの一部に過ぎません。

この Promotionの効果を最大化するために、広告代理店につとめるマーケターは、企業戦略を理解し、ターゲットと商品コンセプトを理解し…と、その前のプロセス全てを顧客以上に理解し、Promotionに取り組まねばならないわけです。(マーケターに限らず、デザイナーであれ、セールスパースンであれ、優秀な人ほど全ての背景を理解した上で仕事にとりかかるはずです。)

このPromotionの前段階のプロセスが良ければ問題ないのですが、悪ければPromotionでどれだけ頑張ってもお金をどぶに捨てるようなものなんですよね。

とはいっても、広告代理店としては仕事を断るわけにはいかないから、精一杯頑張ってそれぞれの担当するプロセスに関して仕事をするわけです。成果がでないと恨みを買ったりもしますから、それはそれでなかなか因果な商売なんですけどね。

それならいっそのこと広告代理店の営業たるわれわれが商品企画までタッチしてやるわい!という流れは自然な流れだと思います。

ま、やってみるとわかると思うのですが、ヒット商品をつくるというのはトンデモなく難しいし、時間もかかることなので、今の給与水準を保ちながら事業内容を切り替えるのはかなり難しい、茨の道だと思います。吉と出るか凶とでるかわかりませんが、どちらにせよ、その方向に舵をきるしかない。ということなのかもしれません。(本気でそれをやれるマーケターがいたら、たぶん独立した方が楽にくっていけると思います。)

スティーブ・ジョブズみたい な人が理想のマーケターなのかな。(顧客ですら気付いていない)市場のニーズをしっかり抑え、細部に渡ってマネジメントする。一貫してマーケティングをコ ントロール出来る人がいるかいないかが、これからの企業の成長には欠かせないものになってくるのでしょう。

話はかわって新人研修なのですが、どんな仕事をするにしてももはやセールスだけで完結することって殆どないので、新人研修は飛び込み営業や名刺交換以外にマーケターを育成する研修を重視するようにしたほうがいいと思うんですよね。

今の営業部長さんたちが、飛び込み営業で貴重な経験を積んだ20年前、30年前であれば、人情や情熱をかって、買ってくれた顧客もいると思うんですが、最近は顧客は人情や情熱だけではなかなか買ってくれない時代になってますし、仮にかってくれたとしても、モノを買いさえすれば必ず満足してもらえるというわけでもなく、営業担当なり商品なりに真の力がないとかえって迷惑をかけることになりかねませんから。自分をかって買ってくれた人に迷惑をかけてしまったらもとも子もないですよね。

ついでに企画・製造・マーケティング・セールスを過度に機能別に分けている組織があれば、その切り分けをやめて、セールス担当も可能な限りこのマーケティ ングのプロセスに加わってもらうとか、全員マーケターとして育成すべく組織をかえるとか、そういう動きをそろそろはじめてもいいんじゃないかな。と思っています。

そうはいってもなかなか難しいのかもしれませんが、ひとつだけ言えることは、これだけものが売れない時代になっている以上、10年前20年前以上にマーケティングが大事で身近なものになっているということですかね。

それにも関わらず、社会に出た新人がマーケティングの全容に携われるようになるまで時間がかかり、専門的な訓練をつめないのは人材育成の視点からいって相当痛いと思います。小規模な商品やサービスであっても構わないので初期段階でこういったマーケティングのプロセスを全て経験させてあげたいものだといつも感じます。

もちろん新人にもレベルがあって、うちではマーケターとして育成出来るような人材は入社しないよ。という声もあるかもしれませんが、まぁそれはそれで採用時点でかなりの問題を抱えていることに他ならないわけでして。

いかがでしょうか。


ちなみに、マーケティングの最終的なゴールは売れる仕組みをつくり、販売を不要にすること。といわれていますが、これはブランドの構築とほぼ同義だと思うんですよね。ブランドがもたらす効果を簡潔に表すと、顧客の購買の意思決定を早める。価格にプレミアムをつけることが出来る。と言われていますが、まさに最近のAppleを見ていると、ブランドの価値って凄いな。と思います。もちろんそれは長きに渡る不断の努力とイノベーションによってもたらされたものですが。


※追伸

なにかいいマーケティングの本ないかと思ったのですが、イマイチ自信をもってオススメできるものがぱっと思いつきませんでした。これは良かった!という ものがあれば、是非教えてくださいませ。企業の規模によっても、問題意識を感じているところによっても随分違いは出てくると思うのですが。