以前務めていた会社で、僕は非常に多くのことを学んだわけですが、その会社で行われた研修の中で、最も印象に残っているのは「システム思考」に関する研修です。

その研修を学ぶまでの僕は、どちらかというと猪突猛進型のビジネスマンで、気合と根性、そしてリーダーシップがあれば何とかなる。という現場の指揮官でした。そう、誰もが一度は見たことがある、悪い人じゃないんだけれど、迷惑な上司。という感じの人物だったんではなかろうかと思っています。

※自己弁護しておくと、こういうタイプは意外と現場では強かったりするわけです。それなりに成果も残したりするわけです。気合と根性が状況を打開する場面というのは確実に存在します。しかし、部下にも犠牲を強いるので、使いどころが難しい人物かもしれませんね。

さて、そんな僕が仕組みの重要性に本格的に目覚めたのは、このシステム思考の研修を受けてからなのではないかと思います。もっとも、仕組みの重要性を知らなかったかというと、そんな事はなくて、常日頃から、「仕組みをつくれ」「良循環構造をつくれ」「勝ちパターンが重要だ」と周囲に言いまくっていたわけですけど、具体的な方法論に落とせていなかった。

だから、口だけで終わっていたのです。
そんな恥ずかしい口だけ男だった僕を、一人前の男にしてくれたメソッドが、このシステム思考だったのです。

システム思考とは何かというと、要素と要素を因果で結び、ひとつの図に構造化する技術と、僕はとらえています。(かなりバクッとした解釈ですが、これぐらいでいいんじゃないかと思います。)


■システム思考を用いた構造化の技術

システム思考には、いくつかの簡単なルールがあります。

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  1. 要素には名詞を用い、まるで囲む(できるだけネガティブでないワードを用いる)
  2. 要素と要素を矢印でつなげる(正の影響は通常の矢印。負の場合は「-(マイナス)」をつける)

以上で終わりです。
とても簡単な作業だと思いますが、この作業をすることによって要素と要素の因果関係が明らかになります。また、要素を矢印で閉じることにより循環構造が出来ているかどうかを確認することが出来ます。今回のケースでいうと、良質な記事を書くことが閲覧者の増加につながり、閲覧者の増加が良質な記事を書くことにつながる。という良循環構造が出来ています。(体力の管理が重要になってきますね。)

これはあくまで参考例ですが、ビジネスが良循環構造にはまると、自律的に成長を続けます。「構造から考える事を得意とする戦略家」は常にこのような図を頭に思い描いて、ビジネスのモデルをつくるわけです。

戦略家じゃない人は知らず知らずのうちに、負の循環構造を作り上げてしまう場合が多いです。例えば次のようなケースです。

sales

  • 顧客が減っているので、気合と根性で営業を増やす。
  • 無理やり仕事をとるので、サービスの品質が下がる。
  • 品質が下がるとクレームが発生する。
  • クレームは顧客を減らす。
こんな感じです。思い当たる人はいないでしょうか。このような悪循環構造に陥っている場合は、どこかで因果を断ち切らねばなりません。


■ビジネスモデル立案の実践例

かつて新卒採用を仕事として手がけていたとき、システム思考を念頭において、どのようなサイトを作ればいいか考えました。

当時は(今もですが)、採用サイトの黎明期であったこともあり、いち社会人として余りオススメしたくない企業でも、お金さえ払えば、見目麗しく就活サイトにのることが可能な時代でした。

recruiting

こういうビジネスは長くは続かないだろうと思いましたし、メジャーなサイトがそのような戦略できているのであれば、同じ戦い方をしても勝てないだろうと思い、良質で、正しい情報を載せる。ことを心がけました。掲載基準を厳しく設け、掲載の依頼があったときも基準に達しなければ断るようにしました。(これはお金のない当時はかなり厳しい決断でした。)

時代も良かったのだと思いますが、見る目のある就活生が集まり、あまりよろしくない企業は載せても人が集まらないので、使わないようになり、良質な企業が集まる、利用してくれるサイトが出来ました。

今は、優良な企業は黙っていてもネットで知れ渡る時代になったので、このモデルは十分有効に機能しない時代になりました。今は、もうひと工夫もふた工夫が加えられ、改良されています。

ただ、いずれにしてもこういった良循環構造をつくるという強い意志があり、社内で合意が得られていたために、本能に逆らって、顧客からの依頼を断る。ということができたのだろうと思います。

今、頑張れば頑張るほどしんどくなるなぁ…。
と感じている人は、システム思考の技術を使って、現在のビジネス、そして将来のビジネスを構造化してみると、いろいろなことがスッキリ見えてくるかもしれません。

それでは、また。


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