完全教祖マニュアル (ちくま新書)完全教祖マニュアル (ちくま新書)
著者:架神 恭介
販売元:筑摩書房
発売日:2009-11
おすすめ度:4.0
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TwitterのTL上で話題になっていたので、読んでみました。思いのほかいい本だったと思います。
本の魅力は、僕が言葉を尽くして説明するよりも、書籍内の見出しを見て頂くのが一番よく伝わると思いますので、いくつか興味を惹いたタイトルを列挙します。
  • 教祖はこんなに素晴らしい!
  • 既存の宗教を焼きなおそう
  • 大衆に迎合しよう
  • 現世利益をうたおう
  • 偶像崇拝しよう
  • 弱っている人を探そう
  • 金持ちを狙おう
  • 他教をこきおろそう
  • 甘い汁を吸おう
  • 奇跡をおこそう
こんな感じ。これでもほんの一部です。

そう、完全教祖マニュアルは教祖になるための方法と利益をマーケティング視点で合理的かつ冷静に、面白く書いた本なのです。


誤解してもらいたくないのですが、僕自身は宗教は多くの人に救いと生きる指針を与えてきた素晴らしいものだと思っています。一方で、宗教がもとで多くの争いや不幸せが起きたことも知っています。

宗教は社会を安定させるために、時の為政者が神の名を借りていきるためのルールを作ったものだと思っています。また、世界最大の組織であることも知っています。本質的だからこそ、1000年、2000年という時を超えて受け継がれてきたのだと感じています

多くの便利なツール同様、使い方がよければ薬になるし、使い方が悪ければ毒になる。宗教とはようはそういうものだと思います。

さて、僕はこの本のメリットは3つあると思います。
  1. さまざまな宗教の歴史や特徴について手早く理解できる
  2. ビジネスのヒントが得られる
  3. 宗教を力にし、(悪い)宗教に騙されない知恵を得ることができる
以上です。少し詳しく見ていくことにしたい。

1.さまざまな宗教の歴史や特徴について手早く理解できる

さて、この本では、教義を作るのが面倒くさければ、伝統派宗教のひとつに入って、矛盾を探せば良い。と問いています。たとえば、ある宗派で「肉を食べちゃダメ、女性と付き合っちゃダメ、毎日5回神に祈りなさい」と言っていたとします。これは、この宗派が生まれた当時はそうしたほうがいい理由があったのです。(たとえば、特定の動物の肉を食べると病気になりやすい地域があったりしました。)ただ、それはテクノロジーが発展した現代においては時代遅れになっているケースも多いので、そういった教義で「おかしいぞ?」と思うところを探し、その矛盾を突いて新しい宗派を起こせばよい。と語っています。

「肉も食べたいよね、嫁さんもほしいよね。神に祈るのは一日一回でいいよ。神はそんなに器が小さくないよ!!」


こうして仏教やキリスト教の中にさまざまな宗派が生まれた様を説明しています。(もちろん、あまりにモラルが低下するとその反動で、ストイックな宗派が生まれます。)不謹慎かもしれませんが、ひとつひとつに例えを用いているので、非常にわかりやすく楽しんで読めます。歴史と時代をからませて考えることで、宗教がよりよく理解できるのです。

2.ビジネスのヒントが得られる

すでに、宗教はある意味、世界でもっとも巨大な組織です。その組織がどのようにして生まれ、どのようにしてまとまり、信者を獲得していったのか。これを知ることはビジネスに十分応用が利きます。たとえば、どういう人をターゲットとして狙えばいいのか。どうやって商品の魅力を販売すればいいのか。新たな発想を得るきっかけになります。

3.宗教を力にし、(悪い)宗教に騙されない知恵を得ることができる

宗教の良い点を述べています。信じることによって得られる力や、宗教組織に属することのメリットを非常に論理的に説明しています。一方で、世の中には人を不幸にしたり、特定の人物の利のため動く宗教も存在します。これは宗教に限らず、ビジネスでも同じような組織はありますし、政治だって同じような組織があります。

悪い組織というのはどういった点がダメなのか。どのようにして生まれるのか。それを理解する知恵を与えてくれます。


本を読んでの感想。読むことで得られることを簡単にまとめてみました。
少しふざけた感じで書いてはありますが、著者は良く調べて書いたのだろうと思います。
興味のある人はぜひ読んでみてください。