fukuidayo

人と組織と、fukui's blog

32歳にして会社を辞め、小説家になることを志し、食うために起業したある男のblogです。

2011年08月

29

リーダーシップをめぐる旅 その1

まだ不完全なものではあるけれど、リーダーシップというものについて、
自分なりに考えていることが、まとまりつつあるので、何回かに分けて書いてみたい。

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リーダーシップという曖昧な言葉に強烈に惹かれはじめたのは、2008年の秋頃からだったと思う。
そう、その年は、リーマンショックがあった年だ。

僕は当時、東京で企業の採用や人材育成に関する仕事をしていた。
リーマン・ショック後の人事部の課題はもう、判で押したように一様で、どこにいっても、ひとつのことしか言われなかった。

「閉塞した状況を打破できる、リーダーシップのある人材が欲しい。クリエイティビティに溢れる人材が欲しい。」

というものだった。

気持ちはわかる。

ビジネスの先行きが暗くなる中で、閉塞した状況を打破できるだけのリーダーシップがあり、クリエイティビティにあふれた救世主のような人材がいれば、どんなにいいことだろう。

しかし、現実にはそうやって「リーダーシップとクリエイティビティ」にあふれた人材を採用したり、育てたりする施策をとることが出来る会社は皆無だった。口ではそういう救世主のような人材を求めつつ、多くの企業が実際に行うことが出来たのはコスト削減だった。

リーマン・ショック前の10年間で、多くの企業が既に絞れるだけ絞っていたにも関わらず、だ。
1998年から2007年の間、国内企業はトータルで


経常利益を25兆円増やした。(28兆円→53兆円)
一方、人件費は22兆円削減している。(147兆円→125兆円)



この間、労働人口は減っていない。
日本企業は10年間かけて、人に対しての投資を削減し続け、
その上に利益といいう名の砂上の楼閣を立ててきた。

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景気の悪化。
そこを生き延びるために将来の成長余力を失うまで、コスト削減をしなければならない状況。
この閉塞した状況を打破する方法はないか。

ヒントはやはり、閉塞した状況を打破することが出来る、

リーダーシップとクリエイティビティを持った人材

をひとりでも多く見出し、育てることにあるのではないか。

いつしかそう強く思うようになった。
しかし、リーダーシップとは何だろう?
リーダーシップを持った人材はどのように育つのか、育てることが出来るのか。

答えは見えなかった。
当然、顧客である人事部にも自分の考えを伝えることが出来なかった。

当時、書籍に書いてある答えでは満足できなかった。
どれも、複雑すぎる。綺麗すぎる。論理的すぎる。
そんな風に感じた。

リーダーシップは10や20の要素に分解できるようなものだろうか。そうではない気がした。
では、リーダーとしての経験のない学者が分析して書くことが出来るようなしろものだろうか。そうではない気がした。
リーダー達が様々な血を吐くような体験の中で、苦しみながら見出したものではないだろうか。

今必要なのは、理屈で導きだされた答えではない。
分析で導きだされた無難な答えでもない。

唯一自信のある答えが出せるとしたら、自らが体験を持って学んだものだけではないだろうか。
多くのリーダーと出会い、語り、共通の体験をする。
そうしてはじめてリーダーシップというものに関しての理解が深まるような気がする。

そう考えた時から、僕のリーダーシップをめぐる旅は始まったように思う。






5

心の弱さを感じる日、単純な自分。

昨日、実に3ヶ月半ぶりにブログを書いたところ、多くの方から激励のメッセージを頂きました。
本当にありがとうございます。

考えていたように仕事が上手くいかないと、一人でいるときは必要以上に考え込んだり、落ち込んだりすることもあり、我ながら「なんて心が弱いんだ!」と思ったりするわけですが、そういうときにこのようなメッセージを頂くと本当に励みになります。

感謝いたします。

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心の弱さに関していうと、以前よりもはるかに自分の心の弱さを感じることが多くなりました。
「起業したのにこういうことではダメだろう。」と思いつつ、 以前は気づかなかった相手の気持ちを理解できることが増えてきたようにも思います。

多くの人が、自分の弱い心と毎日闘いながら日々を生きているようにも思います。
人生が順調なときは人は誰でも強気になることができるし、人に優しくしたり、いい言葉をかけることもできる。

でも本当に大事なことは、人生があまり上手くいっていないときに、自分でそれを乗り越えることができるか、人に対して変わらず接することができるか、なのだろうと思います。

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経営という視点でいうと、どんな経営者も売上や手元にあるキャッシュと、自分の感情の関連を否定することはできないのではないかと思います。

会社の業績が落ち込んでくると、急に周囲にあたりはじめたり、取引先に無茶な要求をしたり、経営判断が極端に鈍る人がいます。人にあたることはしたくありませんが、経営判断が鈍るというのは自分でも感じる時があります。

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この気持は万国共通のものかもしれず、本日も海外の方と電話でやり取りをしていたときに、要領を得ない返答があったり、急に感情的な反応をされたり、ということがありました。そういえば、国内外限らず、2~3週間に一度ほどは、こういう感情的なやり取りが国内外、相手を問わず、発生しているような気がします。

やり取りの中で僕にも非がないとは言えず、やるべき仕事がいろいろある中、正味3時間ほど悩みました。
自分でも「この悩んでいる時間は無駄だ!」と思い、いったん忘れて目先の仕事をしようと取り組むのですが、なかなか仕事に本腰が入りません。

少し自分でも情けないな、とは思ったのですが海外の話なので、「師匠に相談してみよう!」と思いたち、師匠に相談の電話をしました。師匠のアドバイスは的確で、

「会って話が出来ているうちは大丈夫。問題ない。」
「すぐに会いに行って、目を見て話しなさい。」
「相手に都合の悪いことがあってもそれは協同でビジネスをやっている仲間なわけだから、都合の悪いところをシェアして、一緒にリスクを追いつつ、一緒に解決する姿勢を取りなさい。」

ということでした。

言われて見れば、本当に基本的なことばかりなんですが、ついつい(遠いので)電話なりメールなりで済まそうとしてしまっていた自分がいたように思います。

電話の後、自分でもびっくりするぐらい心が軽くなりました。我ながら単純です。
よく考えたら、たいした問題ではなく、関係を強化するチャンスだったわけです。

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最終的に、心の弱さは自分自身で乗り越えていかなければいけないわけですが、
周囲の人の励ましやアドバイスは、心の弱さを乗り越える強い力になります。

そういうことを最近は本当によく感じます。





4

会社を創業して1年がたちました。

7月29日、会社を創業して1年がたちました。
創業前に多くの方に言われたことですが、

「会社は意外と潰れない。」 

そのとおりだな、と思いました。
ヒーヒーいいながらも、なんとか運営出来ている自分がいます。

会社をつくってみてよかったことはいろいろあります。
思いつくままにつらつら挙げてみると、

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1)自分のことがよくわかる。
 → 会社の業績が良くても悪くても全て自分のせい。言い訳できないからこそ、自分を客観的に評価できる。

2) 経営者の言葉で話せる。
 → 同じ経営者の立場に立たないと話してもらえないこと、相談してもらえないことがあります。

3)マーケティングに強くなる。
 → インプットとアウトプットをものすごいスピードで繰り返すわけですから、当然ですね。

4)人の縁や信頼、目に見えない「関係の力」を強く感じる。
 → 本当はもっと早くから気づくべきでした。多くの人に支えられて生きていますね。

5)お金とセットで考えるようになる。
 → 投資に対してのリターンの感覚はシビアになります。骨身に沁みます。
   とはいえ、投資しなければはじまらないわけですから、深いです。

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こんな感じですかね。
 
頭で考えていることと、やってみること、やって成果を出すことの間には凄く大きな断絶があって、起業することで、少なくとも

頭で考えていること を やってみること

に変えるジャンプは出来るわけです。そして、意外と自分がやれないことに気づく、と。
これは成長なんだろう、と思います。

あと、紙に書く効果というのもものすごく実感してまして、今年に入ってから、売上や利益、経費の目標と実績をすべて書きだして毎月紙に貼ってます。毎日10回近く目を通していると思いますが、これはメチャクチャ効果があります。自分の脳を会社の数字にフォーカスさせるわけですね。

自分がいかにできないか、でいうと、
プロジェクトデザインという社名の通り、価値があると感じたプロジェクトをどんどん立ち上げようと、この1年で大きなものだけでも4つぐらいプロジェクトに取り組みました。

そのうち2つは、計画していた半分ぐらいの成果。
もう2つはしぶとく続けていますが、まだまだ赤字の状態です。

shosha_play
研修コンテンツ開発という第一の仕事。コンテンツはTHE商社
時間はかかりましたが、全国各地の企業・大学へと導入が進んでいます。
THE商社からはじまる企業変革コンサルティングも行っています。(創業時)

LearnPut
平木柳太郎さんにご縁を頂き、富山のビジネスプラットフォーム
LearnPutの取締役に就任させて頂きました。(10年12月)
このスペースから、毎月続々と企業家が生まれております。

allstaff (1)
温暖化対策、省エネの切り札として、富山県産の苔を用いた
屋上・壁面・室内緑化事業HappyMossをはじめました。 (10年12月)

iphone 111
貿易事業を手がけるため、師匠に従って中国、オセアニア、南アジアへと。
国が変わればビジネスのやり方もかわる。衝撃を感じました。(11年2月~)

 IMG_0226
本当に日本人に必要な経済・金融・資産形成教育を行うために、
投資アドバイザー会社、経済誌と協同開発しているFortune
THE商社の次の主力商品に育てる予定です。(11年7月) 


自分では、「人材育成の講師」とか「コンサルタント」という立場から一歩引いて、「事業家」になりたい、実践者になりたい、という思いを常日頃から思っていたわけですが、「講師」や「コンサルタント」という仕事は僕が10年間のキャリアで培ったことであり、得意なことでした。実際、この「得意なこと」のおかげで、現在は収入を得ることが出来ている状態です。

一方で「事業家」としてはまだ半人前、ヨチヨチ歩きもままならない状態です。
この力を伸ばしていかなければいけないのですが、それはこれからの経験次第ですね。

ひとつ良かったことは、「実践者でないコンサルタントに価値はあるのかなぁ~」と常に疑問を感じていたのですが、自らが実践者になってみることで「コンサルタント」という職業の価値はよくわかりました。僕も依頼していますが、個人的にはコーチよりもコンサルタントのほうが好みです。

これは僕が未熟だから、ということもあると思うのですが、自らの中に答えがあるというよりは、ブレない指針を提示してもらいたいのです。いつか、そこから脱却する日は間違いなく来ますが。

いずれにせよ、今考えていることは、

挑戦を続けること、と労働時間を長くして、会社の収益を上げることですね。
「自分の労働時間を短くせよ」とは先輩経営者によく言われることですが、それは次のステップかな、と。
今はずいぶん楽しているような気がします。

それでは、また。

----

※お知らせ

毎月1回、自分自身の経験を通じて学んだ、今しか伝えることが出来ない内容をセミナーの場で伝えています。
参加者は毎回8~10人程度。興味のある方は、blogで書けないこと、取り組んでよかったこと、現段階の僕が思う気をつけるべきことなどお話させて頂きますので、是非ご参加ください。(参加費はLearnPutの会員は無料、一般は1,000円です。)

kigyo


毎月の開催日はこちらから
http://argo-navi.net/mielca_learnput/PublicSeminarCalendar.aspx?jigyoCd=&jigyoCd2=&jigyoCd3=&category=
 
今月は8月6日 13時から開催です。
http://argo-navi.net/mielca_learnput/PublicSeminar.aspx?gId=1&sId=1&eId=474





自己紹介
プロジェクトデザイナー。富山県在住。人と組織の問題に興味があります。小説の原稿の断片、日々感じる社会や経済に関する疑問、書評を徒然なるままに。

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