つい先日、Twitterで「賢い人ってどういう人?」みたいな議論があった。
議論が面白かったので、僕もちょっと書いてみようと思う。

立て続けに同じ本( 教育×破壊的イノベーション )からの引用で恐縮だが、ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナー氏が提唱されている、多元的知能理論に関して紹介する。ガードナーは「IQ」や「EQ」と呼ばれる狭い範囲の知能の定義を超え知能には8つのタイプがあるということを提唱した。かっこ内はその能力に優れた代表的人物だ。

  1. 言語的知能(ウォルト・ホイットマン)
  2. 論理・数学的知能(アルバート・アインシュタイン)
  3. 空間的知能(フランク・ロイド・ライト)
  4. 運動感覚的知能(マイケル・ジョーダン)
  5. 音楽的知能(ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)
  6. 対人的知能(マザー・テレサ)
  7. 内省的知能(ジークムント・フロイト)
  8. 博物学的知能(レイチェル・カールソン)

8パターンすべての知能を兼ね備えている人は少なく、多くの人は2~3の秀でた知能を持っている。と、書籍では述べられている。例として、アルファベットの暗記が出来なかった少女が体を使ってアルファベットを表現することで、言語的知能の発達を促し、その分野に関しての知能を開放した様が描かれている。
これは、私たちが外国語を学ぶ際にも使える方法で、1に優れている人であれば、「読み・書き」特に英語で日記やコラムをつづるというやり方が語学の発達を促すし、6に優れている人であれば、ガンガン話したほうがいいだろう。また、2に優れている人であれば文法から学んだほうが良いかもしれない。5であれば音楽や「聞く」という行為を通じて学ぶのが得策か。

高校受験や大学受験は、1や2の能力で判断されることが多い。だから、論理的思考力に優れた人や、言語的能力に優れた人、数学が出来る人は「賢い」と判断される。しかし、本当の「賢さ」や「知能」というものはもっと幅広いものではないだろうか。

企業の採用試験では、言語的知能や論理・数学的知能に加えて、対人的知能を見られることも多い。だから1や2の能力(だけ)で学生時代を生き抜いてきた人は、急に就職の時につまづいたりする。(そういう人は6の能力を必要としない職場に勤めればいいだけなのだが。)

宗教家なんかは、6と7の能力に秀でていたりするのだろうし、料理人なんかは、味覚が必要なのはもちろんだけれど、3(盛り付け)と4(技術)と6(対人的知能)の総合芸術のような気もする。

知能を幅広く捉えることで、社会全体の効用も高まるはずだ。ひとつの能力を伸ばし、成功体験を積むと自己信頼感が高まり他の知能も伸びることが知られている。一流のスポーツ選手や芸術家が他の分野でも才能を発揮するのは、そういう自己信頼感が他の知能に好影響を与えていることもあるだろう。むろんそれは、一流のビジネスパースンにも当てはまることだ。

「僕(私)はこの分野の知能が優れている!」と思って人生を生きた方が一人一人は幸せに生きることが出来ると思うし、自分自身の秘められた力を開花することにもつながると思う。本当にモノになりそうだったら、現在抱えている仕事を辞めて、他の知能を活かす道に転身したっていいと思うし、仕事を辞めなくても、自分が得意とする分野で思う存分知能を磨き、発揮することは、仕事や他の分野(恋愛など、かな?)できっと好影響をもたらすはずだ。