湯川鶴章のIT潮流 : 強者に挑む場合は戦いのルールを変えろ

今回、退社するに当たって社の幹部から「お前のように社を代表しているような知名度のある記者が辞めるとなれば、波紋が大きいのだからよく考えて行動してほしい」と言われた。
(中略)
そんな僕がここまでこれたのは、やはり一人だけ違うルールで戦ってきたからだと思う。周りの人間は全員、経済記者としての王道を歩もうとしていた。うちの会社の場合、経済記者の王道とは、日本銀行の記者クラブのキャップを経験して、マクロ経済について論じる記者になるということだ。IT産業の専門記者というと、その王道を歩めなかった落ちこぼれということになる。


今の時代、この考え方って凄く大事だと思う。すごく共感する。


表現の仕方は違うけれど、人生の変革 - 現代の「身分制度」を乗り越えるのエントリで、僕はほぼ同じ論旨のことを述べたつもりだ。

Chikirinの日記 : 人生は早めに諦めよう!

にあるように、早めに「人生の天井」を知ったほうが幸せだ。とする見解もあるけれど、やはりそれではダメだと思う。(もしかしたら、Chikirinさんも、何かに拘るのではなく、勝てる分野、幸せになれる分野で勝負しなさい。と言っているだけかもしれないが。)

昔に比べると、価値観の多様化が進んでいる分、特定の分野で活躍することは以前より難しくないと思うのですよ。ビジネスに例えると、ニッチ・マーケットを狙う。ということになるのだろうか。

僕の好きな話に「夕日評論家」の話がある。

夕日を見るのが好きで好きでたまらなくて、毎日夕日を見て、感想を周囲の人につぶやいていたら、なんだか夕日の専門家みたいになって、ラジオに出演して夕 日の解説をするようになって、それで食っていけるようになったって人の話だ。(同じような話で、ナマコ研究家のバージョンもある。)

良くできた創作だとは思うけれど、こういう生き方が出来る人が徐々に増えてきていると思うのですよ。
だとしたら、挑戦しないほうが逆にリスクになりつつあるんじゃない?

そんなことを考えるここ最近です。


#追記

アゴラ : デフレ化するキャリア より

城繁幸さんの記事。それにしても「デフレ化するキャリア」ってすごくキャッチーなネーミング。城さんは人事部に勤めておられたので、社内でキャリアがデフ レ化していくにも関わらず、会社や仕事に拘泥されている人を多く見てこられたと思うので、問題意識も人一倍大きいだろう。

産業構造的にコモディティ化しやすい商品が多いにも関わらず、その分野の開発に携わっている人は専門分野を突き詰めることを要求される。いざ、その事業が衰退をはじめると行き場がなくなる。優秀な人であれば、同業種の勝ち組に転職という道もあるのだろうが、雇用・賃金体系が硬直的なため、多くの人は一カ所に居続ける。中途半端に現行の給与が高いから他に行くインセンティブがないし、リスクをとってチャレンジする気にもなれない。まぁ、黙っていてもあと15~20年 勤め上げれば定年だ。豊かさが新たなイノベーションや成長を阻害していると言えるかもしれない。

こういう閉塞感溢れる環境の中から、新たなヒットを飛ばした例ってあるんだろうか。いや、そりゃあるだろうけど、極めて難しいんじゃないだろうか。